萩谷 昌己 君

フェロー

萩谷 昌己 君(正会員)

[対象業績]「記号処理プログラミングから分子プログラミングまでプログラミング言語の研究」

  昭和57年京都大学数理解析研究所助手,昭和63年京都大学数理解析研究所助教授,平成4年東京大学理学部助教授,平成5年東京大学大学院理学系研究科助教授,平成7年東京大学大学院理学系研究科教授,を経て,現在東京大学大学院情報理工学系研究科教授.本会CS 領域財務委員, CS 領域委員長,調査研究運営委員長を歴任.元理事(調査研究担当).

[業績推薦理由]

 萩谷昌己君は,各種のプログラミング言語,すなわち, Lisp に代表される記号処理言語, Lispを理想化した関数型言語, Prologに代表される論理型言語,さらにJavaに代表されるオブジェクト指向言語に関して,様々な処理系の開発を行うとともに,意味論,型理論,検証系などの基礎理論に関する研究を幅広く推進して来た.東京大学の学生時代は佐藤雅彦氏とともにHyperlispの実装に関与し,京都大学の助手時代は湯淺太一氏とともに,Common Lispの仕様に完全に従ったKyoto Common Lispの開発に注力した. またGMWウィンドウシステムの開発にも加わり, 現在のJavaと同様の役割を果たす並行オブジェクト指向言語であるG言語の設計を担当した. 基礎理論の分野では,型理論, 高階単一化,部分評価, 抽象解釈,バイトコード検証,モデル検査等において数々の業績をあげている.一方,文書作成とプログラミングを融合したパラダイムである「Proving-as-Editing」も提唱した. このように,萩谷昌己君は計算機システムのプログラミングを極めたと言っても過言でない. 近年は計算機システムのプログラミングには飽き足らず,自然システム,特に分子システムや細胞システムを「プログラム」することに意欲を燃やしており,具体的には主としてDNA分子を用いて,汎用的なプログラム可能な分子システムを構築することを目標に研究を継続しており,科研費の特定領域「分子プログラミング」の代表として研究を牽引している.