2026年01月29日版:千葉 直⼦(財務担当理事)

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    企業における学会活動の意義とは

    千葉 直子財務担当理事)

     情報処理学会に限った話ではないが、産業界からの学会参加が減少しているという話はよく聞く。情報処理学会の正会員数も、学界(アカデミア)の減少に比べ、産業界の減少が大きい状況にある。

     私自身は20年以上、企業の研究所に所属しており、学会活動の意義を感じてきたものの、次世代を担う若手の企業研究者はどのように考えているのだろうと思い、周囲の複数の若手研究者に意見を聞き、AIで集約・整理し、マインドマップ化してみた。ちなみに、学会活動といっても多種多様な内容があるが、こちらはあくまでも企業研究者が学会に参加し発表や聴講をする観点での意義となっている。下記のマップでは重複意見を排除しているが、①と②の意見がとても多かった。ヒアリング前は、ジェネレーションギャップがあるかもしれないと思っていたが、結果的にはギャップは感じず、非常に共感する内容となっていた。
     今後AIがさらに進化・普及すると、学会に参加しなくても広範囲の情報を効率的に収集できるかもしれないが、最新研究の動向把握という観点ではおそらく学会参加の意義はあるだろう。また、他研究者の発表を見て「自分も頑張ろう」「うかうかしていられないな」とモチベーション向上につながることや、他組織の方との新たなネットワーキングは、おそらくこの先も変わらないメリットなのではないか。私自身も、異動や職務の変化で学会活動から10年ほど遠ざかっていたのちに復帰したところ、分野の動向把握やネットワーキングなどの意義を改めて実感したところである。

     さらに、今回ヒアリングした若手研究者から直接的には出なかったが、論文執筆からプレゼンまでの学会発表というプロセスを通じて、研究者の「論理構成力」や「プレゼンスキル」などの向上の機会、育成の場としても有効だと感じている。社内の限られたメンバ間での議論から離れて、幅広い分野の人にわかりやすく伝わるように記載し、緊張感のある場面で発表するという経験は研究者の成長につながっている。

     今回、企業研究所の立場で学会参加の意義についてまとめてみたが、技術の進化の速さやそれによる社会影響を考えると、産業界でもR&Dという組織に限らず、システム部門やサービス企画部門などもっとさまざまな組織が魅力に感じてくれるような場を提供することも学会にできることかもしれないと感じた。
     
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