【セッション概要】日本のGDPの75%は、サービス産業が稼いでおり、サービス産業が日本の産業の中心になっていることが分かる。コールセンターや介護などのサービスに従事しているスタッフは、高い顧客満足を目指し、膨大な業務量をこなしてきた。その結果、顧客満足は向上し、業務の生産性も高まってきている。しかし、サービススタッフの待遇の改善は遅々として進んでいない。これからは「サービスの価値を高める」ことにより注力し、サービス産業の収益性を高めて、社会にとってかけがえのないサービスに従事している人たちに、豊かになってもらわなければならない。
サービスサイエンスフォーラムでは、「サービスサイエンスと幸福学をつなぐ」、「サービスの価値を高めるサービスプロセスモデル」、「サービスの価値を高めるカスタマジャーニ」を3名の有識者に紹介してもらい、パネルディスカッションで議論を深めたい。
司会:柴崎 辰彦
(富士通株式会社グローバルサービスインテグレーション部門 戦略企画統括部 統括部長)【講演概要】『幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。』これはロシアの小説家、トルストイの言葉からの引用ですが、個人が主観的に感じる「幸せ」は百人百様のようで、大きく分けると4種類に区分されることが慶應義塾大学大学院の前野隆司教授による研究によってわかってきています。私たちは、顧客満足の先にある『顧客の幸せ』価値がどんなものなのか?を明らかにし、さらに幸せのメカニズムを応用して、既存のビジネスモデルに『顧客の幸せ』価値を付加する試みにチャレンジします。
倉増 京平
(電通isobar株式会社 Experience Marketing Div. ビジネスプロデューサー)【講演概要】サービスサイエンスが研究されるようになり15年近く、研究と共に情報技術や社会環境もまた進展してきており、サービス産業自体も新しい視点や考え方で捉え直す試みが増えてきている。価値共創やサービス・ドミナント・ロジック等に注目が集まる一方で、学術的研究や既存事例分析と比較して、実際に実務で実践するための足掛かりとなるような具体的な知見や方法論はまだ少ないと言える。今回は、これまで研究されてきたサービスプロセスモデルを基に、理論よりも実践に拘り、共創の視点を加えたアップデートを研究してきた成果を発表する。
佐藤 秀樹
(日本電気株式会社 NEC ものづくりソリューション本部 主任)【講演概要】私たちは、30年以上も前から顧客満足の向上を目指して努力してきた。この努力の甲斐があって、高い顧客満足を得ている企業が増えてきた。しかし残念なことに、顧客満足を高めた企業の業績は必ずしも向上してはいない。このような背景のもとに、顧客のロイヤリティを高めることが重要と叫ばれるようになったが、ロイヤリティの有効な向上策は具体化されてこなかった。ところが最近、このロイヤリティを高めるためにカスタマージャーニーが有効だと主張されている。本講演では、本当に価値あるカスタマージャーニーを紹介する。
カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスの商品を認知して、購入し、さらに購入後に活用や運用し、商品のリピーターや推奨者になるまでを「顧客の旅」と捉えたプロセスのことである。その一連の顧客の行動や心理を時系列で可視化したものをカスタマージャーニーマップと呼んでいる。カスタマージャーニーを明確化すると、顧客志向の価値ある施策の立案につながるため、マーケティン部門で盛んに取り組まれるようになっている。
渡部 弘毅
(ISラボ株式会社 代表)司会:柴崎 辰彦
(富士通株式会社グローバルサービスインテグレーション部門 戦略企画統括部 統括部長)パネリスト:倉増 京平
(電通isobar株式会社 Experience Marketing Div. ビジネスプロデューサー)パネリスト:佐藤 秀樹
(日本電気株式会社 NEC ものづくりソリューション本部 主任)パネリスト:渡部 弘毅
(ISラボ株式会社 代表)パネリスト:諏訪 良武
(ワクコンサルティング株式会社 エグゼクティブコンサルタント 常務執行役員)2019年2月5日(火)
プログラム[09:30〜12:30]
会場:1F特別101-103一体