- [10:00-10:20]「概要・趣旨説明」 嶋田 義皓(国立研究開発法人科学技術振興機構)
- [10:20-11:10]「量子コンピュータとソフトウェア」 藤井 啓祐(大阪大学)
- [11:20-12:10]「量子プログラミング言語の研究: 静的解析から量子プログラム統合開発環境へ」 蓮尾 一郎(国立情報学研究所)
- [13:40-14:30]「現在の量子コンピュータ(NISQ)上で役に立つプログラム実装と実行ツール」 ロドニー バンミーター(慶應義塾大学)
- [14:40-15:30]「量子回路の設計手法に関する研究動向」 山下 茂(立命館大学)
- [15:40-16:30]「量子ソフトウェア開発環境の実際」 小野寺 民也(日本アイ・ビー・エム)

コーディネータ:嶋田 義皓
国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー
【略歴】JST 研究開発戦略センターフェロー。博士(工学、公共政策分析)。2008年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。2008年日本科学未来館科学コミュニケーター、2012年JST戦略研究推進部主査を経て、2017年4月より現職。2018年に政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策プログラム博士課程修了。専門分野は、物性物理、科学コミュニケーション、ICT、科学政策。
量子コンピュータとソフトウェア

講師:藤井 啓祐
大阪大学大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 電子光科学領域 教授
【略歴】2011年3月京都大学大学院工学研究科 博士課程終了。博士(工学)。大阪大学大学院基礎工学研究科 特別研究員、京都大学白眉センター特定助教、東京大学光量子科学研究センター助教を歴任。2017年10月から京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻、特定准教授(卓越研究員制度テニュアトラック)。JSTさきがけ研究員、大阪大学大学院基礎工学研究科招聘准教授、情報処理推進機構(IPA)未踏ターゲット事業、ゲート型量子コンピュータ、プロジェクトマネージャーを兼任。株式会社QunaSys(キュナシス)技術顧問。
量子プログラミング言語の研究:静的解析から量子プログラム統合開発環境へ
本講演では、量子プログラミング言語の研究の現況と将来について、静的解析の視点から俯瞰的紹介を行います。量子プログラムの開発においては実行リソース(=実際の量子コンピュータ)が限られているゆえ、ユニットテストを中心とした動的解析アプローチの応用可能性が限定的です。ここで、(対象が量子プログラムであっても)古典コンピュータで実行できるという静的解析の利点が非常に有効になると考えられます。このような新しい応用に向けて存在する次のチャレンジについて展望をお話します: 1) 静的解析の伝統的目標である安全性(バグ不在)から飛躍し、量子ビットの安定性や性能などの新たな目標に対応すること、2) 発展著しい量子コンピュータのハードウェア・アーキテクチャに寄り添ったプログラミング言語及び静的解析手法の開発、3) (量子)具体的計算―(古典)静的解析の間でユーザーが適切な抽象度を選択できるような柔軟性を付与すること。

講師:蓮尾 一郎
国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 准教授 システム設計数理国際研究センター センター長
【略歴】国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 准教授、システム設計数理国際研究センター長、学術博士(Radboud University Nijmegen, 2008)。京都大学数理解析研究所助教、東京大学大学院情報理工学系研究科講師・准教授を経て現職。2016年10月から JST ERATO 蓮尾メタ数理システムデザインプロジェクト研究総括を務める。専門は理論計算機科学、特にシステム検証、プログラミング言語理論、物理情報システム、情報科学における数学的構造に興味を持つ。第一回藤原洋数理科学賞奨励賞、国際会議 CONCUR 2014 最優秀論文賞(卜部夏木氏と共同受賞)、国際会議 ICECCS 2018 最優秀論文賞(Etienne Andre 氏,和賀正樹氏と共同受賞)などを受賞。ACM、SAE、日本数学会、日本ソフトウェア科学会、計測自動制御学会、自動車技術会 各会員。
現在の量子コンピュータ(NISQ)上で役に立つプログラム実装と実行ツール

講師:ロドニー バンミーター
慶應義塾大学 教授
【略歴】1986年にカリフォルニア工科大学で工学および応用科学の学士課程、1991年に南カリフォルニア大学で計算機工学の修士課程を修了、2006年に慶應義塾大学で計算機科学の博士号を取得。近年の主な研究テーマは、量子コンピュータと量子ネットワークのアーキテクチャ。他に、ストレージシステムやネットワーク、ムーアの法則後のコンピュータアーキテクチャの研究にも従事している。現在、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス環境情報学部教授および慶應義塾大学量子コンピューティングセンター副センター長。 Quantum Internet Research Groupのco-chair、Quantum Internet Task Force のアドバイザリーボード、WIDE Projectのボードメンバーも務める。AAAS、ACM、APS、IEEE会員。
量子回路の設計手法に関する研究動向

講師:山下 茂
立命館大学 情報理工学部 教授
【略歴】1993年京大・工・情報卒。1995年同大大学院修士課程修了。同年NTTコミュニケーション科学基礎研究所・研究員。2000年JST今井量子計算機構プロジェクト研究員(兼務)。2003年奈良先端大・情報科学研究科・助教授を経て2009年より現職、情報学博士(京大)。IEEE Transactions on CAD Best Paper Award、丸文学術賞、情報処理学会山下記念研究賞等受賞。2019年文科省さきがけ量子情報処理領域アドバイザー。
量子ソフトウェア開発環境の実際
講師:小野寺 民也
日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 副所長
【略歴】1988年東京大学大学院理学系研究科情報科学専門課程博士課程修了。理学博士。同年日本アイ・ビー・エム(株)入社。以来、同社 東京基礎研究所にて、基盤ソフトウェア等の研究開発に従事。現在、同研究所副所長、量子アルゴリズム&ソフトウェア担当部長、同社 技術理事。本学会第41回(平成2年後期)全国大会学術奨励賞、同平成7年度山下記念研究賞、同平成16年度論文賞、同平成16年度業績賞、各受賞。本学会長期戦略担当理事、同量子ソフトウェア研究会幹事、ACM (Association of Computing Machinery) Distinguished Scientist、日本ソフトウェア科学会フェロー、量子ICTフォーラム量子コンピュータ技術推進委員会副委員長。