2020年度(令和2年度)山下記念研究賞詳細

  山下記念研究賞は,研究賞として本会の研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な論文を選び,その発表者に贈られていたものですが,故山下英男先生のご遺族から学会にご寄贈いただいた資金を活用するため,平成6年度から研究賞を充実させ,山下記念研究賞としたものです.受賞者は該当論文の登壇発表者である本会の会員で,年齢制限はありません.本賞の選考は,表彰規程,山下記念研究賞受賞候補者選定手続および 山下記念研究賞推薦内規に基づき,各領域委員会が選定委員会となって行います.本年度は36研究会の主査から推薦された計51編の優れた論文に対し,慎重な審議を行い決定の上,理事会(2020年7月)および調査研究運営委員会に報告されたものです.本年度の下記受賞者には,3月に開催される第83回全国大会で表彰されます.

<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO MPS EMB

<情報環境領域>
DPS HCI IS IFAT AVM GN MBL CSEC ITS UBI IOT SPT CDS DCC

<メディア知能情報領域>
NL ICS CVIM CG CE CH MUS SLP EIP GI EC BIO CLE

コンピュータサイエンス領域

●時系列データのshapeletsを学習するpartial AUCの最大化手法
[データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2020)(2020/3/2)](データベースシステム研究会)
yamaguchi

山口 晃広 君 (正会員)

2004年3月 神戸大学理学部数学科 卒業.
2006年3月 神戸大学大学院自然科学研究科数学専攻 修士課程 修了.
2006年4月 株式会社東芝 入社.
2011年4月~2015年3月 名古屋大学大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター 研究員として出向.
2015年4月 名古屋大学大学院情報科学研究科情報システム学専攻 博士後期課程 入学.
2018年3月 博士後期課程修了.博士(情報科学).
現在,東芝研究開発センターにて,機械学習・データマイニングの研究に従事.

[推薦理由] 本論文では,時系列データの分類機と分類に有効なshapeletと呼ばれる波形パターンを,任意のFPR(False Positive Rate)の範囲におけるpAUC(partial Area Under the ROC curve)を最大化するよう同時に学習する手法を提案している.shapeletを用いて時系列データを分類するためのpAUC最適化法はこれまでにないものであり,提案する学習アルゴリズムは時系列の長さの線形オーダーで効率的に動作することを示している.医療・製造・保守分野の標準的なベンチマークデータを用いた評価実験により提案手法の有効性を示しており,山下記念研究賞にふさわしい論文として推薦する.
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●交通経済学に基づく人の時間価値を考慮したタクシー配車戦略の最適化
[データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2020(2020/3/3)](データベースシステム研究会)
hikima

引間 友也 君 (正会員)

2016年 京都大学経済学部経済経営学科 卒業.
2018年 京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻 博士前期課程 修了.
同年 日本電信電話株式会社 入社.現在に至る.

[推薦理由] Uberなどに代表されるタクシー配車サービスは世界中で普及しており,関連するビッグデータを活用することによってそのサービスの質や利便性を向上することが期待されている.本研究ではこの問題に対して,交通経済学における「時間価値」の概念を導入し,利用者の移動に対する好みを考慮したタクシー配車戦略の実現に取り組んでいる.問題を非凸な二段階最適化問題として定式化するとともに,最適化アルゴリズムとして二部グラフ最大重みマッチング問題に対する近似保証のある近似解法を提案している.さらに実データを使った評価実験により手法の有効性を示している.技術的な水準も高く,山下記念研究賞にふさわしい論文として推薦する.
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●探索に基づくローカルリファクタリングの検出
[2020-SE-204(2020/3/2)](ソフトウェア工学研究会)
tsutsui

筒井 湧暉 君 (正会員)

2018年 東京工業大学工学部情報工学科 卒業.
2020年 東京工業大学情報理工学院情報工学系大学院 修士課程 修了.
同年 株式会社コーエーテクモホールディングス 入社.
現在に至る.

[推薦理由] 既存のリファクタリング検出手法は,関数の内部に閉じて行われるローカルリファクタリングの大部分を検出できないという問題を抱えている.本論文では,ローカルリファクタリングの検出を原始的な操作列を探索する問題と捉え,版間の差分を最小化する操作列を導出する手法を提案している.オープンソースリポジトリに含まれるローカルリファクタリングをパターンとして整理した点,整理した結果に基づき従来手法を着実に改善している点,実験を通して手法を丁寧に評価している点から,論文の完成度はきわめて高い.版管理システムを用いたソフトウェア開発支援への応用も大いに期待できる.以上より,山下記念研究賞にふさわしい論文である.
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●重み付きグラフの最大マッチング問題における脳型計算を用いた近似解法の検討
[2020-ARC-240(2020/2/28)](システム・アーキテクチャ研究会)
ueno

上野 洋典 君 (学生会員)

2017年3月 東京大学工学部計数工学科 卒業.
2019年3月 東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻 修士課程 修了.
2019年4月 東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻 博士課程 進学.
現在に至る.

[推薦理由] 従来のノイマン型と異なる情報処理方式としてニューロモーフィックコンピューティング(脳型計算)が注目を集めている.本研究では,脳型計算をグラフ問題に適用するという新しいアプローチを提案するものである.重み付きグラフの最大マッチング問題を近似的に解く手法を示し,厳密解に近い解が得られることを明らかにした.また,提案したアルゴリズムを実行する脳型計算型アーキテクチャを FPGA に実装し,その有効性を示している.脳型計算は今後のコンピュータ・アーキテクチャ研究における重要な方向性の一つである.本研究は従来のニューラルネットワーク応用とは一線を画し,新しいアプリケーションとしてグラフ問題に着目したものであり,脳型計算の適用範囲を拡大する価値あるものである.よって,山下記念研究賞受賞候補として推薦する.
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●動的スクリプト言語の高効率実行を目的としたプロセッサアーキテクチャの拡張
[2020-ARC-240(2020/2/28)](システム・アーキテクチャ研究会)
mashita

眞下 達 君 (正会員)

2017年 日本学術振興会特別研究員 (DC1).
2020年 九州大学大学院システム情報科学府情報知能工学専攻 博士後期課程 修了.博士(工学).
2020年 東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻 特任研究員.
現在に至る.
汎用プロセッサアーキテクチャの研究に従事.
2017年 IEEE FCCM 2017 Best Paper Award受賞.

[推薦理由] 動的スクリプト言語は幅広い分野で利用されているものの,その実行時オーバヘッドが大きな課題となっている.特に,仮想マシン上のオペランドの処理では多くのメモリ・アクセスが必要となり,実効性能の低下要因として深刻な問題を引き起こしている.この問題を解決すべく,本研究ではアーキテクチャ拡張によりプロセッサ性能を大幅に改善する新しい方式を提案している.多くが整数命令の実行となる特徴に着目し,浮動小数点物理レジスタの未使用空間を活用してメモリアクセスを大幅に低減する.また,通常はバックエンドにて処理されるオペランド番号の取得をフロントエンドへと移行することで実効効率を高める.動的スクリプト言語の処理効率改善は今後のプロセッサアーキテクチャ研究における重要な方向性の一つであり,新しい知見をもたらすものである.よって,山下記念研究賞受賞候補として推薦する.
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●低アクセスレイテンシを実現する不揮発メモリ向けユーザー空間ファイルシステム
[コンピュータシステム・シンポジウム(ComSys2019)(2019/12/11)](システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)
matsuzawa

松沢 敬一 君 (学生会員)

2003年 東京大学理学部情報科学科 卒業.
2005年 同大学大学院情報学環・学際情報学府 修士課程 修了.
同年(株)日立製作所入社.現在.同社研究開発グループ・テクノロジーイノベーションセンタに所属.
ストレージシステムの研究開発などに従事.

[推薦理由] 不揮発性メモリの読み書き性能が向上するにつれ,ファイルシステムなどのソフトウェア処理のオーバヘッドが顕在化している.本研究では,ユーザ空間上でライブラリとして動作する新たなファイルシステムを提案している.ファイルアクセス処理をユーザ空間内で完結してコンテキストスイッチを不要とすることで性能低下を抑制する.また多くのアプリケーションがディレクトリツリーの一部を排他的に使用することに着目して,プロセス間のデータ共有を避けることでも性能低下を抑制する.本研究は,喫緊の解決が求められる課題に対して,新たな着眼点で解決手法を提案しており独創性を有する.評価実験において有効性が確認できたことから今後のさらなる発展が期待される.以上から,本研究を山下記念研究賞に相応しい研究であるとして推薦する.
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●ビアスイッチFPGAの部分的再構成における書き換えスイッチ数の最小化
[DAシンポジウム2019(2019/8/28)](システムとLSIの設計技術研究会)
doi

土井 龍太郎 君 (正会員)

2015年3月 大阪大学工学部 卒業.
2017年3月 大阪大学大学院情報科学研究科 博士前期課程 修了.
2020年3月 大阪大学大学院情報科学研究科 博士後期課程 修了.
2020年4月 日本電気株式会社 入社. 現在に至る.
博士 (情報科学).

[推薦理由] 本論文はFPGAのエネルギー効率向上を目的とした不揮発性ビアスイッチFPGAに関する論文である.ビアスイッチ FPGA では,プログラム変更時に意図しないビアスイッチが書き換えられるスニークパス問題の回避方法が議論されてきた.本論文ではこれまで議論されていなかった部分的再構成についてスニークパスを回避しつつ書き換え回数を最小化する手法を提案し,最大77%の書き換え回数削減を達成している.本成果はビアスイッチFPGAの再構成時間削減および長寿命化に貢献するものである.本論文は高エネルギー効率な再構成デバイスの実現に大きな指針を与える価値の高い論文であることから,山下記念賞受賞論文として強く推薦する.
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●MOSFETの統計的選択によるレファレンス不要なCMOS温度センサの設計
[2019-SLDM-189(2019/13/13)](システムとLSIの設計技術研究会)
harada

原田 彰吾 君 (学生会員)

2019年3月 九州大学工学部電気情報工学科 卒業.
2019年4月 京都大学大学院工学研究科電気工学専攻 修士課程 入学.
現在に至る.

[推薦理由] 本論文は温度センサに関する論文である.μW未満の電力で動作する温度センサとして,異なるバイアス電圧で動作するMOSFETの温度特性差を利用したものが提案されている.しかし,安定した正確なレファレンス電圧源が必要である点が問題である.本論文では,MOSFETのしきい値電圧のばらつきを利用することであるしきい値電圧差を持つMOSFETの組を統計的に選択する温度センサ方式を提案しており,レファレンス電圧源不要で0度~100度の範囲で誤差±1.2℃を達成している.本論文は温度センサについて低消費電力化・低コスト化を実現する価値の高い論文であることから,山下記念研究賞受賞論文として強く推薦する.
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●実対称帯行列の固有値問題に対する分割統治法の分割戦略
[2019-HPC-169(2019/5/10)](ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)
hirota

廣田 悠輔 君 (正会員)

2008年3月 東京工科大学コンピュータサイエンス学部コンピュータサイエンス学科 卒業.
2010年3月 名古屋大学大学院工学研究科計算理工学専攻 博士課程(前期課程) 修了.
2013年3月 神戸大学大学院システム情報学研究科計算科学専攻 博士課程後期課程 修了,博士(計算科学).
2013年4月 理化学研究所計算科学研究機構 特別研究員.
2018年4月 東京電機大学未来科学部情報メディア学科 助教.
2020年3月 福井大学学術研究院工学系部門情報・メディア工学講座 助教.
現在に至る.

[推薦理由] 研究対象である,実対称帯行列の固有値問題に対する分割統治法は,広く用いられている手法で,汎用性の高い問題設定である.本研究では,まず分割方法の任意性に対して精細な性能評価モデルを構築し,本モデルの最適化問題を解くことで,適切な分割戦略を見出し,その有用性を数値実験で示している.関連研究との比較も十分に行われており,研究内容の信頼度も高い.上記の通り,本研究はHPC分野において重要な課題である固有値計算の高度化に対する貢献が大きく,山下記念研究賞に相応しい研究であると評価できる.
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●大規模GPUクラスタにおけるResNet-50/ImageNet学習の高速化
[2019-HPC-170(2019/7/24)](ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)
honda

本田 巧 君 (正会員)

2014年3月 広島大学工学部第二類情報工学課程 卒業.
2015年9月 広島大学大学院工学研究科情報工学専攻 博士課程前期 修了.
2017年3月 広島大学大学院工学研究科情報工学専攻 博士課程後期 修了, 博士(工学)
同年 株式会社富士通研究所 入社, 現在に至る.

[推薦理由] 近年様々な応用分野で重要性を増しているディープニューラルネットワークの学習高速化に関する研究である.対象とするニューラルネットワークの巨大化に伴い,分散並列処理による高速化が有効となるが,バッチサイズを小さくしすぎると,プロセス間の通信コストが問題となる.一方で,バッチサイズを大きくした場合,学習精度が低下するという問題が生ずる.本研究では最新のフレームワークの採用,学習率の調整に加えて,通信コストの削減,バッチLARS計算のGPU実装等の実装上の工夫を行い,2048基のGPUを用いて,ミニバッチサイズ81,920でResNet-50の学習を74.7秒(学習率:75%)で行った.本研究は,機械学習の高速化において貢献が大きく,山下記念研究賞に相応しい研究であると評価できる.
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●Centaurus: A Just-in-Time Parallel-Parser Generator for Ad hoc Data Processing
[(2019/7/26)](プログラミング研究会)
 

佐藤 重幸 君 (正会員)

東京大学大学院情報理工学系研究科数理・情報教育研究センター助教.
2015年 電気通信大学にて博士(工学)を取得.
東京大学,高知工科大学を経て,2018年から現職.
プログラミング言語の実装技術(特にコンパイラやドメイン特化言語)と並列プログラミング(特に並列パターン)に関する研究に興味を持つ.

[推薦理由] データ交換ではテキストデータは頻繁に扱われるため,該当する部分を効率よくアドホックに処理できることは有用である.本論文では,軽量でアドホックなデータ処理のため,Centaurusというジャスト・イン・タイム方式の並列構文解析器の生成のためのライブラリを提案している.LL(*)に基づく構文解析器を動的に生成することで,提案ライブラリはPythonの関数を呼び出すだけで並列に入力データを処理することを可能にしている.アドホックな並列のデータ処理を支援するための設計・実装について説得力のある説明がされ,そのシステム設計は非常に秀逸である.さらに,実験によりその有効性を示している点も高く評価できる.よって,本賞にふさわしい研究発表として推薦する.

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●観測範囲に制限のある条件下で収集された移動履歴データを用いたマルコフ連鎖パラメタの推定手法
[2019-MPS-126(2019/12/12)](数理モデル化と問題解決研究会)
kohjima

幸島 匡宏 君 (正会員)

2009年 東京工業大学工学部情報工学科 卒業.
2012年 東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻 修士課程 修了.
同年 日本電信電話株式会社 入社.
2019年 東京工業大学情報理工学院数理・計算科学系 博士課程 修了.博士(理学).
現在,NTTサービスエボリューション研究所 研究主任. 機械学習の研究に従事.
International Conference on Artificial Neural Networks 2017 Best Paper Award,電子情報通信学会第74回論文賞など受賞.

[推薦理由] マルコフ連鎖 (MC: Markov Chain) は確率的に変動する対象をモデル化する汎用的な手法であり,古くからの代表例でもある待ち行列やマーケティング,生物学への適用だけでなく, 近年では, 大都市の車や人の流れの分析にも広く用いられている.本研究では,センサー遷移データを用いて元のマルコフ連鎖のパラメタを推定し,観測不可能な状態を含む全状態間の遷移確率を復元することを目的としてセンサーマルコフ連鎖(CMC)の逆問題として定式化し,CMC の理論に基づく損失関数を用いた新しい手法の提案を行い,実データを用いた実験により手法の有効性の検証を行っているため.
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●Autoware on Many-core Platform: NoCベース組込みメニーコアプロセッサ向け自動運転プラットフォーム
[組込みシステムシンポジウム(ESS2019)(2019/9/6)](組込みシステム研究会)
azumi

安積 卓也 君 (正会員)

2008年 日本学術振興会特別研究員(DC2).
2009年 名古屋大学大学院情報科学研究科 博士後期課程 修了,博士(情報科学).
2009年 日本学術振興会特別研究員(PD) .
2010年 立命館大学情報理工学部 助教.
(2011年 - 2012年) カリフォルニア大学アーバイン校 (客員研究員).
2014年 大阪大学大学院基礎工学研究科 助教.
2017年 (独)科学技術振興機構 さきがけ研究員(兼任).
2018年 埼玉大学大学院理工学研究科 准教授.
組込みソフトウェア・自動運転プラットフォームに関する研究に従事.

[推薦理由] 本研究発表は,NoC をベースとした組込み向けメニーコアプロセッサ(256コア)を用いて,自動運転プラットフォームを動作させるため,構造化されたメッセージ通信を提供するミドルウェア及びそのソフトウェア開発フレームワークを提案している.さらに,自動運転のアルゴリズムでディープラーニングと並び処理負荷が高い,自己位置推定のアルゴリズムをメニーコア上で並列化し,既存研究よりも,50倍高速化に成功している.提案フレームワークを用いて,実車(Lexus)での低速自動運転を実現しており,実用的にも評価できる.本研究は,低消費電力の組込み向けハードウェアでの自動運転プラットフォームを先行して実現したものであり,山下記念研究賞に値する特に優れた研究発表であると判断しここに推薦する.
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情報環境領域

●アンライセンスバンドを使うLPWA規格の実フィールドでの比較評価
[2019-DPS-179(2019/5/24)](マルチメディア通信と分散処理研究会)
takahashi

高橋 幹 君 (正会員)

1999年3月 慶應義塾大学理工学部機械工学科 卒業.
2001年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科 修士課程 修了.
2001年4月 KDDI株式会社入社,現在に至る.
主に無線関係の技術動向調査に従事.

[推薦理由] IoTやスマートシティなど,様々な場所にセンサデバイスを設置した場合の通信手段として,LPWAが注目されている.本論文では,アンライセンスドバンドを使用するLPWAについて,その性能を実環境で測定した結果をまとめ,それぞれの環境で適したLPWA規格について考察している.周波数を共用するアンライセンスバンドにおいては,設置環境により性能が大きく変化する.そこで,森林,郊外都市,屋内など様々なLPWAの利用が想定される環境で測定を行った結果は大変有意義である.このため,本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●大規模環境における攻撃グラフを活用したセキュリティ対策立案方式
[マルチメディア通信と分散処理ワークショップ(DPSW2019)(2019/11/4)](マルチメディア通信と分散処理研究会)
inoguchi

井ノ口 真樹 君 (正会員)

2011年3月 大阪大学基礎工学部情報科学科 卒業.
2013年3月 大阪大学大学院情報科学研究科 博士前期課程 修了.
2013年4月 日本電気株式会社 入社.現在に至る.
無線ネットワーク,情報セキュリティ技術の研究に従事.

[推薦理由] 重要インフラや工場において,サイバーセキュリティリスク対策の重要性は高まっている.本論文では,大規模環境において攻撃グラフを活用したセキュリティ対策立案方式を提案している.本手法では,分析対象ホストを段階的に増やすことでグラフの生成コストを削減している.実際に14台のホストからなるネットワークで検証し,所要時間を98%削減できることを示している.サイバー攻撃への大規模システム全体としてのセキュリティリスク対策は今後も重要となっていくと考えられるため,本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●ウェアラブルコンピューティングにおける聴力自在化技術の提案
[インタラクション2020(2020/3/9)](ヒューマンコンピュータインタラクション研究会)
watanabe

渡邉 拓貴 君 (正会員)

2012年3月 神戸大学工学部電気電子工学科 卒業
2014年3月 神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻 博士前期課程 修了
2017年3月 神戸大学大学院工学研究科電気電子工学専攻 博士後期課程 修了
2017年4月 北海道大学大学院情報科学研究院情報理工学部門 助教,現在に至る.
博士(工学).ウェアラブル・ユビキタスコンピューティングに関する研究に従事.情報処理学会,ACM各会員.

[推薦理由] 人の聴力は自分で制御することが難しく,必要のない情報まで取得したり,重要な情報を逸失したりすることがある.本研究では,マイクとスピーカを搭載したイヤホン型のウェアラブルデバイスに着目し,ユーザの聴力を自在に操作する手法を提案した.具体的には,マイクで取得した外界音の周波数を操作し,変換後の音をスピーカでユーザに提示する.5種類の周波数操作方法を考案し,プロトタイプシステムを実装した.さらに,聴力の自在化によって実現できる7種類の想定アプリケーションを提案した.
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●飲食サービス業におけるVR業務訓練システムの開発
[2020-HCI-187(2020/3/16)](ヒューマンコンピュータインタラクション研究会)
ohtsuki

大槻 麻衣 君 (正会員)

2011年 立命館大学大学院理工学研究科 博士後期課程 修了.博士(工学).
2011年 同 大学総合理工学研究機構 ポストドクトラルフェロー.
2012年 University of Toronto,  Joint training visitor Post-Doc student.
2014年 筑波大学システム情報系 助教.
2019年 産業技術総合研究所 研究員.
xR(人工現実感,拡張現実感,複合現実感),3次元インタフェース,遠隔コミュニケーション等の研究に従事.

[推薦理由] 本研究では,飲食サービス業において特に実店舗で訓練が難しい要素である「気づき」と「優先順位判断」に着目した VR 業務訓練システムを開発した.提案システムでは,VR 空間に再現した実店舗モデルを用いて訓練を行い,訓練者の認知や判断の途中経過を指導者が客観的に捉えることを目指す.訓練者は複数のテーブルに対して並列して接客業務を訓練することができ,また,指導者はリアルタイム,あるいは後からその様子を見て採点可能である.
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●防護動機理論に基づくIoTを用いた土砂災害関連情報計測システムの評価
[2020-IS-151(2020/2/28)](情報システムと社会環境研究会)
ueyama

上山 遥路  君 (正会員)

2017年 明石工業高等専門学校専攻科建築・都市システム工学専攻 卒業.
2020年 京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻 修了.
同年  株式会社NTTドコモ 入社.
現在に至る.

[推薦理由] タイムリーな避難情報を出すことが難しく,自主避難が推奨される土砂災害に関して,地域で運営できる雨量・土壌水分量観測システムを開発し,導入することで自主避難を啓発することを実現している.IoTを活用した土壌水分量の計測,個人で簡易に計測した24時間雨量のSNSによる共有といったITを活用したシステム開発,このシステムの導入過程から平成30年台風24号時の自主避難の実現までの過程と防護動機理論を用いた導入効果の考察について,研究会で3回にわたって報告されたものである.情報技術を活用したアクションリサーチとして,全国に66万か所存在すると推定される土砂災害危険区域に適用できる技術であり有用性が高い研究と判断した.
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●Author-Oriented Book Recommendation Using Linked Open Data for Improving Serendipity
[2020-IFAT-137(2020/2/15)](情報基礎とアクセス技術研究会)
weng

翁 仁楼 君 (正会員)

2018年4月 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 博士前期課程 入学.
2020年3月 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 博士前期課程 修了.
現在,システム開発に従事.

[推薦理由] セレンディピティに着目して書籍推薦システムのユーザ満足度を改善する手法を提案している.本研究は,セレンディピティを改善するためLinked Open Data(LOD)を用いて著者間の関係に着目し,LODとGoodreadsを用いた計25,152冊の書籍データセットおよび書籍推薦システムを構築し,セレンディピティの評価を行っている.新規性の尺度において比較手法に比べて有意な改善が得られている.また,発想と実装は比較的堅実であり,論理的な過程をしっかりと経て確実な改善を達成していることから,受賞候補論文として推薦する.
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●Line Segment Detectorを用いたカメラキャリブレーションの高精度化に関する検討
[2020-AVM-108(2020/2/28)](オーディオビジュアル複合情報処理研究会)
tsurusaki

鶴崎 裕貴 君 (正会員)

2013年 岩手県立大学ソフトウェア情報学部ソフトウェア情報学科 卒業.
2015年 岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科 博士前期課程 修了.
2018年 岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科 博士後期課程 修了.博士(ソフトウェア情報学).
同年 KDDI株式会社 入社.
2019年 株式会社KDDI総合研究所 出向.現在に至る.

[推薦理由] 候補者は,スポーツシーンを対象とした自由視点映像制作を目的に,撮影映像の解析によってカメラパラメータの自動算出を行う方式を提案し,その性能検証を行った.具体的にはサッカーなど,フィールドコートに規則的に配置された 白線およびその交点を特徴点として位置づけ,特殊なマーカーの事前撮影を必要としないカメラキャリブレーション手法を導いた.また精度向上のために,複数の線分から算出したホモグラフィ行列の中から,誤差が最小となるものを採用するメカニズムを導入した点に特徴がある.実際のスポーツ映像に対する精度評価を通じて,従来技術に対する有意な改善が認められることを明らかにした.以上を踏まえ,候補者を山下記念研究賞に推薦する.
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●Cognometric方式画像認証のユーザ設定に関する調査
[2019-GN-108(2019/5/10)](グループウェアとネットワークサービス研究会)
ishii

石井 健太郎 君 (正会員)

2003年 慶應義塾大学理工学部情報工学科 卒業.
2005年 慶應義塾大学大学院理工学研究科 前期博士課程 修了.
2009年 慶應義塾大学大学院理工学研究科 後期博士課程 所定単位取得退学.
2009年 科学技術振興機構ERATO五十嵐プロジェクト 技術員.
2010年 東京大学大学院情報学環 助教.
2013年 東京大学大学院総合文化研究科 特任研究員.
2015年 大阪工業大学情報科学部 特任講師.
2017年 専修大学ネットワーク情報学部 講師.
2018年 専修大学ネットワーク情報学部 准教授.
現在に至る.博士(工学).

[推薦理由] 本論文は,ワンタイム図形生成に基づくCognometric方式の画像認証手法に関するものである.従来研究では,ショルダーハッキングを認めているにも関わらず高い本人パス率と他者拒否率を示すという課題があった.これに対して,本研究は、正規のユーザが知る認証図形群生成ルールに基づいてワンタイムの正規図形とダミー図形を生成して画面に提示する手法を提案し評価実験を行った.これにより課題に対する提案手法の有効性を効果的に示した。また、研究発表において,提案手法に対するのぞき見を疑似体験できるデモを実演し,提案手法の有効性を効果的に示したことも評価が値する.よって,本研究を山下記念研究賞に推薦する.
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●飲酒による認知機能への影響を活用する発散的思考技法の検討
[2020-GN-110(2020/3/16)](グループウェアとネットワークサービス研究会)
shimomura

下村 賢人 君 (正会員)

2018年3月 大阪教育大学教育学部教養学科 卒業.
2020年3月 北陸先端科学技術大学院大学 博士前期課程 修了.
同年 パナソニック株式会社 入社,現在に至る.

[推薦理由] これまで,既存の概念にとらわれない発想を行う目的で,飲酒の機会が活用される事例があるが,飲酒時に創出されたアイディア活用の有効性が検証されていなかった.そこで,本研究は飲酒者が創出したアイディアを非飲酒者が活用する実験を行った.その結果,飲酒時のアイディアは,実現性は低いものの独創性の高いアイディアを創出できることが確認された.本研究は,大変独創的であり今後の研究の発展性のある有望な研究であるため,本研究を山下記念賞に推薦する.
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b>●LSTMを用いた大規模イベント向けBLE屋内位置推定手法の検討
[2019-MBL-91(2019/5/24)](モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム研究会)
urano

浦野 健太 君 (学生会員)

2016年 名古屋大学工学部電気電子・情報工学科 卒業.
2018年 同大学大学院修士課程修了.
IoT機器を用いた屋内位置推定に関する研究に従事.

[推薦理由] 本発表では,移動するBLEタグからのビーコンを環境内の複数のスキャナで受信し,受信信号強度を用いて計算するBLE屋内位置推定において,LSTM方式の深層学習モデルを適用する.近年のBLEによる位置推定では,Fingerprint法や三点測位等の方式に変わって深層学習が用いられる.しかし,オートエンコーダを用いた受信信号強度のデノイジングやWi-Fi等のCSIに基づいた優れた位置推定手法が提案される一方で,多数の人が介在する実環境への適用は十分に行われていない.本発表は,深層学習モデルとしてLSTMを用いることで過去の移動経路を考慮した学習を提案すると同時に,これを大規模展示会において評価し,提案手法が実環境において実用的な精度を示すことを示した.提案手法の新規性に加えて実用環境での評価がなされており,推薦する価値の高い研究である.
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●クラウドセンシングによる屋内Wi-Fi APの3次元位置推定手法
[マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2019)(2019/7/5)](モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム研究会)
amano

天野 辰哉 君 (学生会員)

2016年3月 大阪大学基礎工学部情報科学科 卒業.
2018年3月 大阪大学大学院情報科学研究科 博士前期課程 卒業.
2018年4月 大阪大学大学院情報科学研究科 博士後期課程 入学.
現在に至る.

[推薦理由] 本発表では,GPSによる位置情報が付与された屋外のWi-Fiビーコン観測データと,位置情報が含まれない屋内の観測データからWi-Fi基地局(AP)の3次元位置推定を行う手法を提案する.ビル等の3次元屋内空間におけるデバイスの位置推定は重要技術であり,多くの場合にAPとの通信電波強度が用いられる.しかし,APの3次元位置が不明である場合が多く,屋内位置推定の障害の一つとなっている.本論文はこの問題に対し,GPSで位置が特定できるAPの観測データに基づいて,建造物の3次元モデルを考慮した最新の電波伝搬シミュレーションにより屋内にあるAPの3次元位置を実用的精度で推定することに成功した.高度な最新技術を組み合わせて現代の重要課題の解決に一つの解を与える発表であり,推薦に値する発表である.
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●再帰型ニューラルネットワークへのモデル抽出攻撃の精度評価
[マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2019)(2019/7/3)](コンピュータセキュリティ研究会)
takemura

竹村 達也 君 (学生会員)

2019年 大阪大学基礎工学部情報科学科 卒業.
同年, 大阪大学大学院情報科学研究科 博士前期課程 入学, 現在に至る.

[推薦理由] 本論文は,再帰型ニューラルネットワーク(RNN)に対するモデル抽出攻撃を提案し,MNISTデータセットなどを用いて実験を行うことにより比較的高い精度で攻撃の成功が可能であることを示している.RNNに対する脅威がまだ整理されていない段階で,回帰問題と分類問題という2種類の問題設定を行い,大変興味深い結果を得ている.深層学習とセキュリティという境界領域の分野はまだまだ玉石混交な状況の中,よく議論されており,論文として非常に価値の高い内容となっている.よって,山下記念研究賞の受賞にふさわしいものとして推薦する.
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●ユーザのセキュリティ対策行動における心理的な要因の影響評価
[コンピュータセキュリティシンポジウム(CSS2019)(2019/10/22)](コンピュータセキュリティ研究会)
sano

佐野 絢音 君 (正会員)

2016年3月 静岡大学情報学部 卒業.
2018年3月 静岡大学大学院総合科学技術研究科情報学専攻 修士課程 修了.
2018年4月 KDDI株式会社 入社.
2019年4月 株式会社KDDI総合研究所 出向.現在に至る.

[推薦理由] 本論文は,セキュリティ・プライバシーと高いユーザビリティを両立させるような,技術だけではない分野横断的な研究の発展とその成果普及の促進へ貢献する論文と認められ,また論文の完成度も高いと評価された.よって,山下記念研究賞の受賞にふさわしいものとして推薦する.
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●ブロックチェーンのProof-of-workの計算資源を利用して最適化問題の解探索を行うプロトコル
[2019-ITS-79(2019/11/22)](高度交通システムとスマートコミュニティ研究会)
shibata

柴田 直樹 君 (正会員)

1996年,1998年,2001年にそれぞれ大阪大学基礎工学部 中退,基礎工学研究科 博士前期課程 修了,基礎工学研究科 博士後期課程 修了.
2001年 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 助手.
2004年4月 滋賀大学経済学部情報管理学科 准教授.
2012年9月より現在,奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 准教授.
分散システム,ITS,並列アルゴリズム等の研究に従事.ACM,IEEE 各会員.

[推薦理由] 本論文では,ブロックチェーンの維持のために浪費されている莫大な電力を最適化問題の近似解の探索に利用できる多数決プロトコルを提案している.広く普及しているProof-of-workに基づく暗号通貨を代替するために,提案プロトコルは非常に頑健かつセキュアであり,完全分散で動作するように巧みに設計されている.研究発表会ではその設計思想と戦略について丁寧に解説がなされ,会場からの反響も大きかった.本研究での提案には広範な応用が期待でき,当研究会のテーマのITSやスマートコミュニティに求められるような大規模な分散システムにも応用可能な情報処理基盤技術として高い価値が認められる.
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●部屋全域への無線電力伝送に向けたマルチモード準静空洞共振器
[2019-UBI-62(2019/6/7)](ユビキタスコンピューティングシステム研究会)
sasatani

笹谷 拓也 君 (学生会員)

2016年 東京大学工学部 卒業.
2017年 Disney Research Pittsburghにてインターンとして勤務.
2018年 東京大学大学院情報理工学系研究科 修士課程 修了.
同年 東京大学大学院情報理工学系研究科 博士課程 進学.現在に至る.
ユビキタスコンピューティング,無線技術に関する研究に従事.

[推薦理由] 本研究は,広い三次元空間の全域をカバーする無線電力伝送に向けた,マルチモード準静空洞共振というアプローチを提案したものである.面上に広く分布する電流を用いて複数の共振状態を生成する本アプローチにより,今まで困難であった部屋全域への高効率な無線電力伝送が可能になることを,部屋スケールの実証実験により示した.本研究が取り組む,分散した小型機器への電力供給は,今後のユビキタスコンピューティングにおける基盤技術として期待される.以上により,山下記念研究賞にふさわしい論文として推薦する.
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●相変化材料を用いた熱電発電機構により駆動される高温域で動作可能なIoTセンサの理論解析
[マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2019)(2019/7/3)](ユビキタスコンピューティングシステム研究会)
ikeda

池田 夏輝 君 (正会員)

2018年3月 東京大学工学部電気電子工学科 卒業.
2020年3月 東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻 修士課程 修了.
2020年4月 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 入社.
現在に至る.

[推薦理由] 本論文では,電池レスIoTデバイスの動作領域の拡大に貢献する新しい熱電発電機構を提案している.熱電素子を用いた熱電発電は,高温から低温まで様々な熱源から電力を回収することができるが,適切に機能させるためには素子両面の温度差が必要となる.本論文は,相変化時の相変化材料が外界と異なる一定の温度層として働くことに着目し,高温液体と周囲空気といった温度境界が曖昧な環境下においても発電できる熱電発電機構を提案している.これまで熱電発電の適用が難しいと考えられていた場所でも発電が可能となり,ユビキタスコンピューティング分野に大きく貢献するものである.以上より,山下記念研究賞受賞に相応しいと判断する.
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●分散型MQTT Brokerを活用したコンポーネント選択手法の比較評価
[インターネットと運用技術シンポジウム(IOTS2019)(2020/12/5)](インターネットと運用技術研究会)
yasuda

安田 和磨 君 (学生会員)

2019年3月 京都産業大学コンピュータ理工学部ネットワークメディア学科 卒業.
2019年4月 京都産業大学大学院先端情報学研究科 博士前期課程 入学.
現在に至る.

[推薦理由] マイクロサービスを組み合わせて各種センサから得られるデータストリームを処理する機構をDataflow platformといい,エッジコンピューティング環境でのDataflow platformにはネットワーク間の地理的距離とコンポーネント配備先のリソース状況を考慮した通信が求められる.本論文では,地理的距離を考慮した配送が可能な分散型のMQTT Broker PIQTにおいてリソース状況をも考慮できるルーティング手法を提案している.単純な配送方法と比較して,提案手法はコンポーネント選択に要するメッセージの総ホップ数が少なくなり,メンテナンス処理時のメッセージサイズも減少することが明らかになった.将来有望な学生による画期的な研究成果であり,山下賞候補に推薦する.
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●Transtracer: 分散システムにおけるTCP/UDP通信の終端点の監視によるプロセス間依存関係の自動追跡
[インターネットと運用技術シンポジウム(IOTS2019)(2019/12/6)](インターネットと運用技術研究会)
tsubouchi

坪内 佑樹 君 (正会員)

2011年 大阪大学基礎工学部情報科学科 卒業.
2013年 大阪大学大学院情報科学研究科 博士前期課程 退学.
2013年~2018年 株式会社はてな.
2019年~現在 さくらインターネット株式会社.
2020年~現在 京都大学大学院情報学研究科 博士後期課程.
クラウド環境における分散システムの高信頼化に関する研究に従事.

[推薦理由] 利用者の多様な要求に応えるため複雑化したWebサービスを管理する際,分散システム内のプロセス間依存関係を把握するのは難しく,未知のプロセス間の依存関係を自動追跡できることが重要となる.本論文では,Linuxのネットワークソケットに含まれる接続情報を監視することで未知のプロセス間依存関係を網羅的に追跡可能なアーキテクチャを提案し,先行手法と比較して応答遅延オーバーヘッドを13-20%,リソース負荷を43.5%低減させている.着眼点のユニークさとその実装の性能の高さは注目に値し,シンポジウムでも好評を博した発表であるため,山下賞候補として推薦する.
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●スマートフォン利用時の不快感を用いた危険なWebサイトに対する警告インタフェースの実装
[マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2019)(2019/7/4)](セキュリティ心理学とトラスト研究会)
ohtsuka

大塚 亜未 君 (正会員)

2012年 津田塾大学大学院理学研究科 修士課程 修了.
2016年 津田塾大学大学院理学研究科 後期博士課程 満期退学.
2016年 津田塾大学学芸学部情報科学科 助教,現在に至る.

[推薦理由] スマートフォンを狙う脅威に対し,ユーザへその危険性を知らせることの重要性が指摘される一方でユーザの認識の低さが問題視されている.大塚氏は,これまでユーザが不快さを感じる現象を応用し,不快さを与えることによる危険性認識向上手法について研究を進めている.表記論文では,特にWebブラウジングに着目して当該手法の有効性を議論している.表記論文は,セキュリティ心理学とトラスト研究会の分野における特徴的な研究テーマを扱っているとともに,科学的アプローチを用いつつ実践的な内容となっており,現時点での到達点の高さに加え今後の発展も期待されるものである.また,大塚氏は,研究会や研究会主催の勉強会における発表も積極的であり,その点からも受賞に適した人物であると判断する.以上から,大塚氏を候補者として推薦する.
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●360度インターネット生放送における視聴者POVキャプチャを用いたコミュニケーション支援手法の提案
[2019-CDS-25(2019/5/31)](コンシューマ・デバイス&システム研究会)
saito

齊藤 義仰 君 (正会員)

2006年9月 静岡大学大学院理工学研究科 博士課程 修了.博士(情報学).
2004年~2007年 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)特別研究員・専攻研究員で次世代無線ネットワークの研究に従事.
2007年10月 岩手県立大学ソフトウェア情報学部 講師.
2011年10月 岩手県立大学ソフトウェア情報学部 准教授.現在に至る.
インターネット放送の研究に従事.

[推薦理由] 360度インターネット生放送におけるコミュニケーションの問題を解決することを目的として,視聴者からのコメントに方向情報と視覚情報を付随させることでコミュニケーション支援を目指している論文である.次世代のコンシューマ向けサービスの可能性を探る研究論文として興味深く評価でき,今後の展開が期待できる有益な研究である.また,CDS研究会のテーマと合致し,当研究会会員の評価も高かったので当該論文を推薦する.
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●敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いた似顔絵生成手法の検討
[2020-DCC-24(2020/1/24)](デジタルコンテンツクリエーション研究会)
nakashima

中島 悠輔 君 (学生会員)

2019年3月 神奈川工科大学情報学部情報メディア学科 卒業.
2019年4月 神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻 博士前期課程 入学.
現在に至る.

[推薦理由] 従来の顔画像を似顔絵に変換する研究では,プロのイラストレーターの個性を反映させるような研究は取り組まれていなかった.本論文では,プロのイラストレーターの個性の反映に最適なネットワークについて検討を行った.具体的には,具体的には,pix2pix,CycleGANペア,CycleGAN非ペア,Cyclepixの4つのネットワークを対象に評価実験を行い,その結果,CycleGAN非ペアとCyclepixが最も似顔絵の生成に有用だった点について報告している.本論文は,毎回のDCC研究会発表会で発表された優秀な研究・制作に対して授与されるDCC優秀賞を受賞している点と,また,2019年度の対象論文に対する幹事,運営委員による投票の結果,最多得票点を獲得している点から,本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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メディア知能情報

●階層的な注意機構に基づき統語的な先読みを行う文圧縮
[2019-NL-243(2019/12/5)](自然言語処理研究会)
kamigaito

上垣外 英剛 君 (正会員)

2012年3月 東京工業大学情報工学科 卒業.
2014年3月 東京工業大学大学院総合理工学研究科・知能システム科学専攻 修士課程 修了.
2017年3月 東京工業大学大学院総合理工学研究科・知能システム科学専攻 博士課程 修了.
2017年4月~2018年3月 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 リサーチアソシエイト.
2018年4月~現在 東京工業大学 奥村研究室 助教.
構文解析,機械翻訳,テキスト自動要約等の研究に従事
情報処理学会, 言語処理学会, ACL, 各会員.

[推薦理由] 本論文は,文圧縮タスクにおいて,統語的な依存構造に基づく親・子方向への再帰的な注意機構を用いることにより,重要な単語の欠落を防ぐ手法を提案している.実験では,自動評価だけでなく人手評価においても提案手法の有効性が示されており,自然言語処理の幅広いタスクへの応用可能性も期待されるため,山下記念賞に推薦する.
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●不完全な効用情報下での交渉問題における受け入れ戦略
[2020-ICS-199(2020/3/24)](知能システム研究会)
taniguchi

谷口 直也 君 (正会員)

2020年3月 東京農工大学工学部情報工学科 卒業.

[推薦理由] 知能システムにおける分野の1つであるマルチエージェントシステムに関する自動交渉エージェントに着目し,特にこれまで毎年開催される国際競技会ANAC(Automated Negotiating Agent Competition)等でも開発の焦点となっていた課題の1つである「合意案候補を受け入れる」という行動に着目し,それを不完全な効用情報下において実現するための受け入れ戦略について,丁寧に分析を行っている.報告結果はこれまでの先端的研究を適切に踏まえたもので,高い性能を実現する条件について検討しており,発表された研究の水準も非常に高い.以上より,本発表は本推薦を行うに値する内容を備えたものであると考える.
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●A Novel Catadioptric Ray-Pixel Camera Model and its Application to 3D Reconstruction
[2019-CVIM-217(2019/5/30)](コンピュータビジョンとイメージメディア研究会)
kawahara

川原 僚 君 (正会員)

2013年3月 京都大学工学部電気電子工学科 卒業.
2015年3月 京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻 修士課程 修了.
2019年3月 京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻 博士後期課程 修了,博士(情報学).
2019年4月 京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻コンピュータビジョン分野 特定研究員.
現在に至る.
コンピュータビジョン,コンピュテーショナルフォトグラフィに関する研究に従事.

[推薦理由] 本論文は球面レンズと複合鏡を備えた反射屈折光学系を備えた仮想多視点撮影システムと,その反射屈折光学系がもつ軸対称性に着目した新たなカメラモデルとそれを活用した効率的な投影計算アルゴリズムおよびキャリブレーション法を提案するとともに,提案手法によって微小物体の多視点同時撮影と3次元形状復元が可能であることを実証している.生物学などの分野において新たな計測手段として応用されうる枠組みを示したことは,コンピュータビジョン分野の進展に大きく貢献するものであり,2020年度山下記念研究賞にふさわしい論文であると考え,ここに推薦する.
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●符号化露光画像を用いた人物の行動認識
[2020-CVIM-220(2020/1/24)](コンピュータビジョンとイメージメディア研究会)
ohkawara

大河原 忠 君 (正会員)

2018年3月 大阪大学工学部電子情報工学科 卒業.
2020年3月 大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻 博士前期課程 修了.
2020年4月 アマゾンウェブサービスジャパン株式会社 入社.現在に至る.

[推薦理由] 本論文は,単一の符号化露光画像を用いた人物の行動認識を実現する手法を提案している.符号化露光画像とは,撮像センサの露光を画素ことにずらして撮影された特殊画像で,単一画像に複数の情報を埋め込むことができる.これまでの画像認識の多くは,グローバルシャッタを持つ通常のカメラ画像を前提としてきたが,本研究では,符号化露光画像を直接認識に用いることで,単一画像からの動画像認識を実現した.また,カメラの符号化露光を含む撮像プロセスと行動認識モデルの全てのパイプラインをニューラルネットワークでモデル化することで,学習により認識モデルのみならずカメラの露光パターンの同時最適化を行う新たなフレームワークを提案している.このような新たな画像認識の可能性への試みやフレームワークの提案は独創的で,今後のコンピュータビジョン研究への影響を与えるものと期待する.
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●DeepRemaster: Temporal Source-Reference Attentionを用いた動画のデジタルリマスター
[Visual Computing(VC2019)(2019/6/27)](コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学研究会)
iiduka

飯塚 里志 君 (正会員)

2012年3月 筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻 博士前期課程 終了.
2015年3月 筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻 博士後期課程 修了.
2015年4月 早稲田大学大学院基幹理工学研究科 研究院助教.
2017年4月 早稲田大学理工学術院総合研究所 研究院講師.
2018年10月 筑波大学システム情報系/人工知能科学センター 助教.
現在に至る.

[推薦理由] 本研究は,実際の映像に含まれる様々な劣化を,包括的に修復するデジタルリマスター技術を提案している.様々な劣化を自動で検出・修復し,さらに参照画像を用いてユーザの意図する色彩の復元を可能にしている.本研究で新たに提案しているtemporal source-reference attentionによって,これまで主流である再帰計算によるアプローチの様々な制約を解消し,少数の参照画像で長時間の動画を効果的に着色することができる.本研究は,CBCテレビの「伊勢湾台風60年 色と記憶」で実際に応用されており,また,日本科学未来館で常設展示されるなど,すでに実用化されており,学術的な貢献だけでなく実用的な貢献もきわめて高い研究である.よって,本研究発表を山下記念研究賞候補として推薦する.
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●福笑いキャラクタの作成による著作権教育
[2019-CE-150(2019/6/8)](コンピュータと教育研究会)
fuse

布施 泉 君 (正会員)

1995年 北海道大学大学院理学研究科 博士後期課程 修了.博士(理学)
日本学術振興会特別研究員等を経て,
1998年 北海道大学情報処理教育センター 助手.その後,組織改編等を経て
2004年 北海道大学情報基盤センター 助教授.さらに職名変更等を経て
2010年 北海道大学情報基盤センター 教授.現在に至る.
情報倫理教育を含む情報教育全般,教育の情報化,学習支援システムに関する研究に従事.

[推薦理由] 生活の中に動画などのメディアが普及することで,著作権の理解はますます重要になっている.著作権教育は一方的になりがちであったが,本研究のツールと教育手法を使うことで学生は楽しみながら著作権について考え,理解を深めることができる.本研究には独創的な着眼点があり,著作権を「体験的に学ぶ」というアプローチを実現している.実践評価も含まれており有用性が高いことから推薦する.
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●幼稚園児のビスケットプログラムをつかった作品の表現の分析
[2019-CE-152(2019/11/17)](コンピュータと教育研究会)
watanabe

渡辺 勇士 君 (正会員)

2003年 明治大学商学部商学科 卒業.
2012年 青山学院大学大学院社会情報学部社会情報学研究科 博士前期課程 修了(学術).
2015年より合同会社デジタルポケット チーフファシリテータ.
2017年 電気通信大学情報理工学研究科 博士後期課程 入学,2020年在学中.

[推薦理由] 2020年度以降に実施される学習指導要領により,小学校から高等学校までにおいてプログラミング教育が実施されるが,就学前教育におけるプログラミング教育の研究事例は少ないため,貴重な研究報告である.さらに,「幼稚園児がプログラミングを理解できるか」という興味深いテーマに正面から取り組んでおり,幼稚園児が課題を理解して適切に動作を組み合わせてプログラミングをしている可能性を示す有用な研究であり,推薦する.
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●Single Interface for Music Score Searching and Analysis (SIMSSA) Project: Optical Music Recognition Workflow for Neume Notation
[人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2019)(2019/12/15)](人文科学とコンピュータ研究会)
fujinaga

藤永 一郎 君 (正会員)

1979年5月 University of Alberta 数学部 卒業.
1982年5月 University of Alberta 音楽部 卒業.
1989年6月 McGill University 大学院音楽科 修士課程 修了(音楽理論).
1993年8月 Peabody Conservatory of Music, Johns Hopkins University 助教.
1997年6月 McGill University 大学院音楽科 博士課程 修了(音楽).
2002年8月 McGill University 大学院音楽科 助教.
2005年8月 McGill University 大学院音楽科 准教授,現在に至る.

[推薦理由] 中世グレゴリオ聖歌の特殊な音譜情報の機械認識から,構造データ化,オンライン公開までの一連の流れを扱った優れた実践的論文である.人文科学とコンピュータの分野において,先行研究の少ない音楽を研究対象とした息の長い研究の到達点を示した本論文は,教会音楽の源流であるグレゴリオ聖歌の楽譜を組織的に研究する道を拓く業績とみとめられる.
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●文化×バイオ×コンピュータでの解析-言語類型論に基づく言語データベースとゲノムデータの統合的解析の提案-
[2020-CH-122(2020/2/1)](人文科学とコンピュータ研究会)
matsumae

松前 ひろみ 君 (正会員)

2005年 東海大学電子情報学部情報メディア学科 卒業(学士・工学).
2008年 東京医科歯科大学大学院生命情報科学教育部 博士課程前期バイオ情報学専攻 修了(修士・理学).
2012年 東京医科歯科大学医歯学総合研究科 博士課程 修了(博士・医学).
北里大学医学部,チューリヒ大学進化生物学環境学研究所研究員等を経て,2018年より東海大学医学部基礎医学系分子生命科学・助教.
ゲノム研究及び,人類進化を理解するための文化データの解析に従事.

[推薦理由] 本研究は,人のゲノム情報から推定が難しいとされてきた遠い言語同士の関係性について,文法のデータベースから語族を超えた言語特徴の類似性を抽出し,ゲノムに基づく民族集団との関係性を明らかにしている.データベースに蓄積された文化と生物学の情報を統合的に解析する方法を提案しており,語学をはじめとした多様な文化学と生物学の双方に影響を与える研究である.また,データ駆動型研究の典型的アプローチの一つとして,学際的に多くの研究者に参考になると考えられる.
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●音楽音響信号に対するラベル・テクスチャ分離型変分自己符号化器を用いた半教師ありコード推定
[2019-MUS-124(2019/8/28)](音楽情報科学研究会)
go

呉 益明 君 (学生会員)

2015年7月 (中国)復旦大学コンピューター科学技術学院 理学学士 卒業.
2018年7月 (中国)復旦大学コンピューター科学技術学院 修士課程 修了.
同年10月  京都大学情報学研究科 入学.現在に至る.
機械学習・音楽情報処理の研究に従事.

[推薦理由] 本論文は,ポピュラー音楽の音響信号から,半教師あり学習によりコード推定する手法を提案している.コード推定における典型的な生成的・識別的アプローチの両方の限界を克服するため,提案法は複数の深層生成モデルと深層識別モデルを統合させ,変分自己符号化器の枠組みで全ての深層モデルを同時最適化している.コードラベル系列と音響テクスチャ系列を潜在変数とした深層生成モデルを導入した点が独創的であり,半教師あり学習を行った識別モデルが,教師ありデータのみで学習した識別モデルよりも高い認識精度を実現している.音楽情報処理分野において,コード推定は最重要トピックの一つであり,提案する統合的な枠組みは総合的な音楽採譜システムを実現させるうえで,重要かつ先駆的な試みであり,山下記念研究賞に値する.
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●DPGMMと敵対的学習に基づく話者の違いに頑健な特徴抽出とゼロリソース音声認識での評価
[2019-SLP-128(2019/7/19)](音声言語情報処理研究会)
higuchi

樋口 陽祐 君 (学生会員)

2019年3月 早稲田大学基幹理工学部情報理工学科 卒業.
2019年4月 早稲田大学大学院基幹理工学研究科情報理工・情報通信専攻 修士課程 進学.
現在に至る.

[推薦理由] 本論文では,ゼロリソース言語を対象とした音声認識モデル構築法を提案している.ゼロリソース言語を対象とした音声認識ではモデル構築に必要な書き起こし文が存在しないため,従来の音声認識で用いられる教師あり学習法が適用できないという問題があった.そこで本手法では,教師なし手法であるディリクレ過程ガウス混合モデルにより音素を自動的に獲得し,さらに敵対的学習による話者補正を行うことで,ゼロリソース言語に適した特徴表現を獲得する枠組みを実現した.本分野は消滅危機言語の保全の観点から近年注目を集めており,言語に対する事前知識なしで音声認識モデルを構築できる新たな可能性を示した点において本手法は高く評価できる.以上の理由により,山下記念研究賞にふさわしい論文として推薦する.
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●音声認識のためのプライバシー保護音響モデル学習法
[2019-SLP-129(2019/10/11)](音声言語情報処理研究会)
tachioka

太刀岡 勇気 君 (正会員)

2006年3月 東京大学工学部建築学科 卒業.
2008年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻 修了.
同年4月 三菱電機株式会社 入社.
2014年3月 日本大学文理学部文学専攻(国文学) 卒業.
2017年5月 株式会社デンソーアイティーラボラトリ 入社.
2018年3月 東京工業大学工学院情報通信系情報通信コース 短期修了.博士(工学).
音声信号処理に関する研究に従事.

[推薦理由] 本論文では,プライバシーを考慮した音声認識モデルの学習法を提案している.柔軟な音声認識を行うためには,学習に用いた音声を保持し続ける必要があるが,音声をそのまま保持することは,話者や発話内容が第三者により特定できてしまうという問題があった.そこで本論文では,データにノイズを加え,更に話者を秘匿化することで,情報源を秘匿したまま学習データを保持できる新たな手法を提案した.このようなプライバシー保護を目的とした研究は機械学習分野において近年注目されているが,音声分野ではこれまでほとんど未検討であった.そのため本研究はその新規性において特に高く評価できる.以上の理由により,山下記念研究賞にふさわしい論文として推薦する.
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●EUにおけるプラットフォーム規制の現状と課題
[2019-EIP-85(2019/9/19)](電子化知的財産・社会基盤研究会)
terada

寺田 麻佑 君 (正会員)

2003年3月 一橋大学法学部 入学・一橋大学法学部公共関係法学科 卒業(法学士取得).
2006年3月 慶應義塾大学法科大学院(大学院法務研究科)修了(法務博士取得).
2007年4月 一橋大学大学院法学研究科 博士後期課程 公法学専攻 入学.
〔主な担当研究項目〕行政組織,情報通信法の研究.
2009年8月 ドイツ カッセル大学IT法センター 留学(如水会奨学金による).
〔主な担当研究項目〕行政組織,EU・ドイツ情報通信法の研究.
2012年3月 一橋大学大学院法学研究科 博士後期課程 修了(博士(法学)取得).
2012年4月~2020年3月 国際基督教大学教養学部 准教授(行政法,環境法,Public Law 等担当).
2017年6月~理化学研究所革新知能統合研究センター 客員研究員.
2018年7~9月 ドイツ ザールラント大学ITサマースクール講師,訪問研究員.
2019年8月 ドイツ ザールラント大学ITサマースクール講師,訪問研究員.
2020年4月~国際基督教大学教養学部上級准教授(行政法,環境法,Public Law 等担当).

[推薦理由] 寺田麻佑氏は,公法学・情報通信法制を専門分野としており,これまで,欧州の動向を中心に個人情報保護法制の動向や電波監理政策,ドローンをめぐる航空規制,AIやロボットを代表とする先端技術をめぐる規制と行政組織のあり方など,先端的な情報技術が社会にもたらす影響とその最新動向について,EIP研究会において,積極的に発表を重ねている.本講演では,EU において情報通信をめぐる様々な法整備が進行している中でも,特にGDPR の執行と同時にまた複層的に進行しているオンラインプラットフォーマーに対する法整備に着目し,EU における GDPR とも協働したオンラインプラットフォーマーに対する法整備の現状と課題について検討を行っており,同分野のわが国の政策に与える影響は大きい.よって,寺田麻佑氏を2019年度山下記念研究賞に相応しいと考えるため,強く推薦するものである.
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●どうぶつしょうぎを用いたAlphaZeroの手法の調査
[ゲームプログラミングワークショップ(GPW-19)(2019/11/9)](ゲーム情報学研究会)
nakayashiki

中屋敷 太一 君 (学生会員)

2018年3月 電気通信大学情報理工学部総合情報学科 卒業.
2020年3月 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 修士課程 修了.
2020年4月 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 博士課程 入学.

[推薦理由] 本研究は,社会に大きなインパクトを与えたAlphaZeroの学習手法について,完全解析されたゲーム「どうぶつしょうぎ」を用いることで性能評価を行ったものである.AlphaZeroの学習手法は,囲碁,将棋そしてチェスの3つのゲームでの強さと,また手法自体の汎用性から,大変注目されている.しかし,その限界についてはこれまで研究がなかった.本研究ではある程度広い探索空間を持ちながら完全解析されたゲームを用いることにより,学習手法の性能をゲームの理論値との観点から客観的に評価し,学習で得られる評価関数の優秀さと改善の余地が客観的に示している.この結果をもとにさらなる発展が期待されることから,山下記念賞として推薦する.
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●ブレインツリー: 頭部での植物の成長を表現する触覚インタフェース
[エンタテインメントコンピューティング(EC2019)(2019/9/20)](エンタテインメントコンピューティング研究会)
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平野 祐也  君 (正会員)

2020年3月 明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科 卒業.
在学中はヒューマンコンピュータインタラクションに関する研究に従事.

[推薦理由] エンタテインメントコンピューティングという研究分野は基盤技術や基礎理論から構成手法や応用技術,評価方法など多岐にわたる学際分野である.その中で本研究会ではエンタテインメントを人の心を動かすものとして捉え,人々の心を豊かにすることで幸せに貢献するべく活動を進めている.本研究のブレインツリーは頭に植物が生えた感覚を体験するコンテンツ作品である.頭に植物が生えるということ自体は現実にはあり得ないが複数の物語の題材として描かれてきている.そのような珍奇な感覚を各種感覚呈示技術を統合して体験可能にしたものである.シンポジウムではデモ発表も行われ,多くの体験者が浸食感による気持ち悪さを楽しんでいた.このように本研究は空想上の感覚を通じて心を動かす応用として今後の研究分野の発展に寄与することから,山下記念研究賞に推薦する.
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●フローサイトメトリーデータ解析ための方向制限付きアースムーバー距離の効率的な計算法
[2020-BIO-61(2020/3/13)](バイオ情報学研究会)
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奥 牧人 君 (正会員)

2011年09月 東京大学大学院情報理工学系研究科 博士課程修了,博士 (情報理工学).
2011年10月 東京大学生産技術研究所 日本学術振興会特別研究員 (PD).
2012年04月 東京大学生産技術研究所 特任助教.
2012年11月 東京大学生産技術研究所 助教.
2017年10月 富山大学和漢医薬学総合研究所 特命准教授,現在に至る.

[推薦理由] 候補者は,フローサイトメトリーデータ解析のための方向制限付きアースムーバー距離 (一般に EMD-L1 と呼ばれている) の効率的な計算法を提案した.この距離は一方の確率分布をもう一方の確率分 布へ変形するために必要な最小コストを表す.ただし,確率分布はいずれも 2 次元とし,確率質量の移動 が特定の方向に制限されているものとする.方向制限付きアースムーバー距離は小さな問題を除いて一般のアースムーバー距離よりも速く計算できることを示した.また,分布変形に関する流れを可視化することで各細胞集団がどう変化したかを推測するのに役立つことを示した.以上の成果は,生命情報分野のデータ解析法の発展に貢献した.
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●概念マップ作成の自己説明としての命題-映像区間対応付け演習の設計・開発
[2019-CLE-28(2019/6/1)](教育学習支援情報システム研究会)
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林 雄介 君 (正会員)

2003年 3月 大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系専攻 博士後期課程 修了.
2003年 4月 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科 助手.
2005年12月 大阪大学産業科学研究所 特任助手(常勤).
2010年11月 名古屋大学情報基盤センター 准教授.
2012年10月 広島大学大学院工学研究科情報工学専攻 准教授.
2020年 4月 広島大学大学院先進理工系科学研究科情報科学プログラム 准教授,現在に至る.
オントロジー工学,学習工学に関する研究に従事.

[推薦理由] 人間の学習には,自分自身で理解状況を確認する必要があり,その実現手法の一つにキットビルド概念マップがあります.キットビルド概念マップと映像教材の区間対応付けによる振り返り活動の有用性を体系的に検討されています.映像教材とキットビルド概念マップを結ぶ点で新規性があり,映像利用学習が広まりを見せる中で,有用性も高く,実用性も見込まれます.以上のことから,本研究会として,今後の研究発展と社会還元性に鑑み,本研究を推薦いたします.
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