2015年度長尾真記念特別賞の表彰


鯉渕

鯉渕 道紘 君(正会員)

「ラックスケールコンピュータ・ネットワークの設計に関する先駆的な研究」

2000年慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業。2003年同大大学院理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。現在、国立情報学研究所准教授、総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻准教授(併任)。高性能計算システムと相互結合網に関する研究に従事。2008年に情報処理学会論文賞、2013年にASP-DAC'13 Best Paper Award、2013年に文部科学大臣表彰若手科学者賞等計11賞受賞。IEEE、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。

[推薦理由]
データセンターの巨大化に伴い、従来のサーバー単位ではなくラック単位で、計算機システムをフルスクラッチで設計するラックスケールコンピュータが有望視されている。この新たなタイプのコンピュータに向けて鯉渕道紘君は、ラック間をランダムに相互接続する独創的な構成法を提案し、そのリンクを超高帯域の光無線によりケーブルレスで実現するネットワーク設計法を構築した。一見古典的にも見える計算機システム・ネットワークの研究課題をこのような奇抜なアイデアにより一新させる候補者の能力と情熱は本賞を贈るにふさわしい。

 

内藤

内藤 克浩 君(正会員)

「ネットワーク技術を包括的に取り扱うクロスレイヤアプローチによる新たなモバイルネットワークシステム開発」

1999年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業。2001年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士課程前期課程修了。2004年同大学大学院博士課程後期課程修了。博士(工学)。同年より三重大学工学部電気電子工学科助手。2007年より同大学助教、2011年カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員を経て、2014年より愛知工業大学情報科学部准教授。現在に至る。情報処理学会MBL研究会幹事・論文誌特集号幹事、電子情報通信学会英文論文誌 B編集委員・論文誌小特集号幹事・ASN研究会幹事補佐などに従事。現在の主な研究テーマは、無線通信技術、モバイルコンピューティング、およびネット ワーク技術。情報処理学会、電子情報通信学会、IEEE各会員。

[推薦理由]
ネットワーク分野ではこれまでビット伝送・通信制御・ネットワーク通信・アプリケーション通信など、各機能をレイヤとして概念化して別々の研究が進められてきたが、高機能なネットワークサービスを実現するためクロスレイヤを想定した研究が必要になりつつある。クロスレイヤを活用するモバイルネットワークシステムを実現するためには、レイヤを跨いだ情報交換を行うだけではなく、無線通信デバイス、無線変復調方式、アクセス制御、ネットワークプロトコル、アプリケーションサービスなどの幅広い知見を包括する研究が必要となる。内藤 克浩氏は、重畳送信型無線伝送方式及び重畳無線帯域に対するブロードキャスト技術など、変復調技術の特徴を上位レイヤから活用するアプローチを提案し、USRP、SORAなどのソフトウェア無線技術を用いた実証検討も行うなど、多くの業績を挙げ国内外で評価されており、本賞を贈るのにふさわしい。

 

肥後

肥後 芳樹 君(正会員)

「コードクローンに関する研究およびその技術移転・産学連携活動」

2002年大阪大学基礎工学部情報科学科中途退学。2006年同大学情報科学研究科博士後期課程修了。2007年同大学同研究科助教。2014年より同准教授。現在に至る。ソフトウェア工学、特にソースコード解析に関する研究に従事。情報処理学会、電子情報通信学会、各会員。2007年度および2014年度情報処理学会論文賞、情報処理学会創立50周年記念論文賞受賞。

[推薦理由]
肥後芳樹君は、コードクローンの検出に関する研究、およびコードクローン情報を利用したデバッグ支援・リファクタリング支援・プログラム理解支援の研究を行ってきている。これまでの研究成果は高く評価されており、情報処理学会論文賞等を多数受賞している。学術的な発表のみならず、産業界への技術移転・産学連携にも力を入れている。コードクローンの研究に関するサーベイ論文をいくつか執筆し、多数の技術者および研究者から引用されている。企業との共同研究も多数行ってきている。実際に開発現場で使えるツールを開発することにも力をいれており、候補者が開発したコードクローン分析ツールは国内外の多数の大学やソフトウェア開発組織で使用されてきた。これらの研究業績および活動は本賞を贈るにふさわしいものである。
 

藤原

藤原 靖宏 君(正会員)

「ビッグデータに対するデータマイニングの高速化に関する先駆的研究」

2001年早稲田大学理工学部電気電子情報工学科卒業。2003年早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻修士課程修了。同年、日本電信電話株式会社入社。2011年東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻博士課程修了、2014年ニューヨーク大学客員研究員。現在、日本電信電話株式会社NTTソフトウェアイノベーションセンタ研究主任(特別研究員)。博士(情報理工学)。データ工学、データマイニング、人工知能などの研究開発に従事。ACM SIGKDD 2008 Best Research Paper Awards Runner-up、第27回テレコムシステム技術賞、第9回上林奨励賞など受賞。電子情報通信学会、日本データベース学会各会員。

[推薦理由]
データベース技術やインターネット技術の進展に伴い、多種多様なデータを大量に収集することが可能になっている。データを活用する上で必要となる分析技術としてデータマイニングに対する関心が高まっている。藤原靖宏氏はそれらの多種多様なビッグデータを効率的に解析するためにグラフデータ、メディア、系列データなどに対して高速にデータマイニングを行う先進的な技術を研究してきた。それらの技術は大規模な都市道路ネットワークにおける渋滞解消や通信キャリアにおけるスマートホンサービスなどへ実用化されている。同氏の研究はビッグデータに対して情報処理技術の適用を可能とするものであり、一連の研究成果は国内のみならず国際的にも高く評価されている。今後の発展が期待される新しい研究分野を切り拓いた業績は本賞を贈るにふさわしいものである。


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