2014年度長尾真記念特別賞の表彰


荒川

荒川  豊 君(正会員)

「人に寄り添うモバイルアプリケーションに関する先駆的かつ実証的研究」

2001年慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業.2003年同大学大学院修士課程修了.2006年同大学大学院博士課程修了.博士(工学).同年より同大学大学院特別研究助手.2009年3月より九州大学大学院システム情報科学研究院助教, フランスENSEEIHTおよびドイツDFKIでの客員研究員を経て,2013年3月より奈良先端科学技術大学院大学准教授.現在に至る.主として,ネットワークアプリケーション, ソーシャルデータマイニングに関する研究に従事.  APCC 2008 Best Paper Award(2008), MBL研究会優秀論文賞(2009, 2011, 2013),DICOMO優秀論文賞(2010, 2013), DICOMO優秀プレゼンテーション賞(2010),山下記念研究賞(2011), 安藤博記念学術奨励賞(2011), DPSWS優秀論文賞(2012),
DPSWS優秀ポスター賞(2011, 2013), DPSWSベストカンバサント賞(2013),ICMU2014 Best Poster Award(2014), ACM MobiCom 2014 Mobile App Competition 2nd Place (2014) など各賞受賞. IEEE, ACM, 電子情報通信学会, 情報処理学会, 各会員

[推薦理由]
荒川豊氏は,ネットワーク,クラウド連携,コンテキスト認識など,さまざまな要素技術を独創的な着眼点で有機的に融合した先駆的なモバイルアプリケーションの実現に取り組んでいる.具体的には,位置情報とWebから得られる位置依存情報を融合したコンテキストアウェア日本語入力システムや,ソーシャルデータ分析に基づいたアマチュア写真家支援システムなどを開発した.これまで国際会議・論文誌での発表にとどまらず,様々なコンテストへ積極的に参加し,世界的起業コンテストStartup Weekendで日本一(2011年),e-Zukaスマホアプリコンテスト 2013で優勝(74件中),ACM Mobicom 2014 Mobile App Competitionで2位(50件中)を勝ち取るなど,実証面での有効性を示した.これらの業績は,国内外で高く評価されており,本賞を贈るにふさわしいものである.
 

高橋

高橋 健太 君(正会員)

「安全・安心・便利な社会を実現するバイオメトリクス・セキュリティ技術の研究開発」

1998年 東京大学理学部卒業.2000年 同大学院理学系研究科修士課程修了.同年 (株)日立製作所入社.2012年 東京大学大学院情報理工学系研究科博士後期課程修了 博士(情報理工学).現在,(株)日立製作所 研究開発グループ システムイノベーションセンタ ユニットリーダ主任研究員.情報セキュリティ,バイオメトリクス認証の研究開発に従事.2008年 情報処理学会論文賞,2011年 ACM SISAP Best paper, 2012年 IEEE BTAS Best reviewed paper 等受賞.情報処理学会, 電子情報通信学会各会員.

[推薦理由]
指紋や静脈などに基づいて個人を認証するバイオメトリクス(生体認証)技術の普及が進み,オンライン認証などへの利用拡大が期待される一方,認証精度向上,プライバシー保護,認証情報の共通利用などが実用化の課題であった.高橋健太君はこれらを解決するバイオメトリクス・セキュリティ技術の研究に一貫して取り組んでいる.特にパターン認識と暗号理論を組み合わせる独創的アプローチにより,生体認証情報の強固な保護と安全な共有を両立するセキュリティ技術を考案し,世界で初めて実用化している.一連の優れた研究成果は国内外で高く評価されるとともに,実用面においても高い評価を受けており,本賞を贈るのにふさわしいものである.
 

保木

保木 邦仁 君(正会員)

「思考型ゲームにおける高精度評価関数の設計及び人工知能の開発」

1998年東北大学理学部卒業以降,化学領域での研究活動に従事.2000年東北大学大学院理学研究科博士前期課程修了.2003年同研究科博士後期課程修了.2003年から2006年にかけ,トロント大学博士研究員.2006年には東北大学大学院理学研究科研究支援者.2007年から2009年にかけ,同研究科助手.2009年には東北大学高等教育開発推進センターへ移動.2010年には電気通信大学先端領域教育研究センター特任助教,情報工学領域での教育研究活動が本格的に始動.2015年には電気通信大学大学院情報理工学研究科准教授,現在に至る.2006年,2013年,世界コンピュータ将棋選手権優勝.2007年,コンピュータ将棋協会貢献賞.2008年,ソフトウエアジャパンアワード.2011年,CEDEC AWARDS 2011プログラミング・開発環境部門優秀賞.2012年,Excellent Paper Award, Taiwanese Association for Artificial Intelligence. 情報処理学会,人工知能学会,コンピュータ将棋協会各会員.

[推薦理由]
保木邦仁氏の研究によりコンピュータ将棋の棋力向上が加速した.チェスに対して試みられたものの困難と考えられてきた盤面評価関数の機械学習において,独自の評価関数を定式化し大規模最適化に成功.この手法を実装した将棋プログラムBonanzaは最強の将棋プログラムと認められ,本手法はBonanza Methodなどとして広く知られるところとなった.また,チェスで成功している探索枝刈り法が将棋の指し手探索の効率化に有効であること,複数の将棋プログラムの並列実行と多数決により勝率が向上することも示した.これらの業績は,情報処理学会将棋プロジェクト「あから」や,その後の電王戦においてコンピュータが人間熟達者に勝つことに貢献し,本賞を贈るのにふさわしいものである.
 
 


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