Vol.66 No.10(2025年10月号)



Vol.66 No.10(2025年10月号)

山口直彦先生
山口直彦先生
[正会員]

 

   いよいよ大学入学共通テストで「情報」が取り扱われるようになり,大学の教員として新入生のIT基礎力が今後どこまで底上げされていくか期待しています.その一方で,高校によって実質的な授業の中身がまちまちである印象も受けています.高校での授業実施状況の実態を調査した情報があれば知りたいです.

  高等学校によって授業の内容・方法が大きく異なることは事実だと思います.その要因は専任教員の不足や専門性の不均衡などが挙げられますが,状況は確実に改善に向かっています.情報科の重要性が広く認識されるようになり,全国の教育委員会や学校現場で専任教員の配置や研修機会の拡充といった具体的な取り組みが進められています1).また,情報科の教員向けの研修や教材・コンテンツ提供も増加しており,現職教員の専門性向上を支援する環境が整いつつあります2),3).このような動きが全国的に広がることで,学校間の格差も徐々に縮まり,どの地域にいても一定水準以上の情報教育が受けられる体制が整っていくと考えています.
  なお,高校での授業実施状況の実態を調査した情報としては,たとえば,NPO法人みんなのコードが2022年度に情報Iに関する調査4)を実施しています.また,本会コンピュータと教育研究会が高等学校情報科での学びを明らかにするためのアンケート5)を作成し,すでにいくつかの大学で実施されています.その分析結果が研究会6)で報告されておりますので,ご参考になれば幸いです.

参考文献
1)文部科学省:高等学校情報科担当教員の配置状況及び指導体制の充実に向けて,
https://www.mext.go.jp/content/20221108-mxt_jogai02-000021518_001.pdf
2)文部科学省:高等学校情報科に関する特設ページ,
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416746.htm
3)情報処理学会:2025年度高等学校情報科教員研修,
https://www.ipsj.or.jp/annai/committee/education/KENSHU2025.html
4)NPO法人みんなのコード:2022年度プログラミング教育・高校「情報I」実態調査報告書(2023年7月),
https://speakerdeck.com/codeforeveryone/2022nian-du-hurokuraminkujiao-yu-gao-xiao-qing-bao-i-shi-tai-diao-cha-bao-gao-shu
5)情報処理学会コンピュータと教育研究会:高等学校情報科での学びに関する調査アンケート実施項目の提供について,
https://ce.eplang.jp/index.php?InformaticsSurvey
6)情報処理学会電子図書館:コンピュータと教育研究会180回研究発表会,
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/search?search_type=2&q=1748496651788
 

井手広康先生 
 井手広康先生
[正会員]
愛知県立旭丘高等学校/
情報処理学会
初等中等教育委員会
 
     目次に戻る