Vol.65 No.11(2024年11月号)



Vol.65 No.11(2024年11月号)

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[正会員]

 

  子ども(女子)が理系にあまり興味がないようです.私自身は理系で非常に面白いと思うのですが,どうしたら理系に興味を持たせることができますか? 中学生です.

  私は自分自身が女子中・女子高・女子大で育ち,いまは女子大で教員として勤めています.また,3人の子ども(男子2人,女子1人)を育てる母親でもあります.「理系に興味を持たせたい!」というと,数学や理科,今ですとプログラミングなどの科目を好きになってもらいたい,科学館を好きになってほしい,などと思われているのかもしれません.それらのどれにも興味を持っていないのでご質問をいただいたのだと思います.とすると,ぜひ料理を一緒にやってみたり,洗濯物を一緒に干してみたりといった,日常の家事を一緒にしてみることをオススメします.ご質問いただいた方のお子さまが女子だから料理,家事を挙げたのではなく,うちの息子2人も料理や洗濯物干しを一緒にする理系男子なので,男子のご家庭にもオススメです.
  料理には比率の計算もあり,味を創るという点でも工夫のしがいや面白さがあります.盛り付けでも創造性を発揮したり,試行錯誤をしたりできる家事の1つです.理系的要素も創作的要素もたくさんあり,理系に興味を持つきっかけが隠されていると思います.また,子どもと一緒に洗濯物を干すと,建物に対して日当たりがどのように変化していくか(なぜ朝一に母は干したがっているのか),丁寧にひろげて間隔をあけて干さないと乾かないのはなぜか,(部屋干しであれば)2面の窓を開けることで風通しが良くなるのはなぜか,など,身近な生活の中で,自然科学や風通りのシミュレーション等に興味を持つかもしれません.
  また,環境も大事だと思います.私は女子校で育ったことで数学も物理もプログラミングも女性の先生から習いました.なので,「理系は男子が多い」とか「女子だから理系より文系に向いているのでは」といった先入観と無縁で育ったように思います.女子学生が理系分野で活躍するような場を見る機会として,女子大のオープンキャンパスや学園祭などにも足を運んでみてはいかがでしょうか.最近の大学では,文系理系と分けずに総合的に学ぶ分野も増えています.お子さまにとって魅力的な分野が見つかるきっかけになるといいですね.
 

五十嵐悠紀
五十嵐悠紀
[正会員]
お茶の水女子大学