Vol.63 No.10(2022年10月号)



Vol.63 No.10(2022年10月号)

匿名希望
匿名希望
[正会員]

 

プロセッサの進化が鈍化しているようなニュースを見ますが,今後の見通しは.

  1970年頃に世界で初めて1チップのプロセッサが誕生したわけですが,それから約50年が経ちました.この間,プロセッサは,「はやく動かす(動作するスピードを上げる)!」「一度にたくさん処理する(同時に処理できる量を増やす)!」というアプローチで性能を高めてきたわけです.これを牽引したのが,「プロセッサを構成する基本素子となるトランジスタの微細化(現在はナノメートルの単位です)」です.小さく作ることで高速に動作し,かつ,たくさんの素子を利用(たくさんの処理を同時進行)できるようになります.しかし,このトランジスタの微細化がついに終焉を迎えると言われています.ご質問にある「この先の見通し」ですが,しばらくは「三次元集積技術」といわれる,デバイスを積み上げる技術により集積度をあげる(平面駐車場から立体駐車場にすることでより多くの車を駐車できるようにする,という考えと似てますね)ことで進化を続けると思われます.そしてその先,ですが,今世界中では量子コンピュータや光コンピュータなど,新しい計算原理に関する研究が進められています.将来は,現代のプロセッサと,これら新しい原理に基づくプロセッサが融合した形になると予想しています.プロセッサが進化すること,これはすなわち,コンピュータが進化することを意味します.プロセッサはこれから大きな転換期を迎えます.次の時代の新しいコンピュータ,発明しましょう!
 

井上こうじ
井上こうじ
[正会員]
九州大学