Vol.63 No.1(2022年1月号)



Vol.63 No.1(2022年1月号)

オルモック
オルモック
[ジュニア会員]
大学生

 

  先生方は,どのような経緯で情報処理に興味を持たれ,その勉強をしてきたのか教えてください.

  両親2人とも情報処理関連の仕事をしていたことが影響して,自然と興味を持ったと思います.初めて具体的に情報処理に触れたのは小学校5年生のときでした.LOGO(ロゴ)という,教育向けとして設計されたプログラミング言語の機能で「タートルグラフィック」を使ったプログラミングの体験がカリキュラムに含まれていました.中学校でも,もう少し立ち入ったプログラミングの体験が数回ありました.そのとき,放課後に図書室にあった情報技術に関する雑誌に載っていたプログラムを再現してみたら,意外と簡単に「落ち物パズル」「ブロック崩し」系のミニゲームを作れたことをよく覚えています.コードの丸写しでも,期待通りに動作したときの達成感はいいものです.なお,1〜2カ月で熱は冷めました.フランスの大学で情報学専攻に進学し,ゼロから勉強し直しました.そこで,アルゴリズムに関する座学・演習があったおかげで,プログラミング言語が変わっても動揺せず,柔軟に適応できました.信号処理,オブジェクト指向プログラミング等も,必ず座学と実習のセットで構成されているカリキュラムで情報処理が学べたことがとても良かったと改めて実感しています.

ロペズ ギヨーム

ロペズ ギヨーム
[正会員]
青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科

吉濱佐知子
吉濱佐知子
[正会員]
日本アイ・ビー・エム(株)
東京基礎研究所

  私が情報処理に興味を持ったきっかけは,ありきたりですが,「SF映画やアニメに出てくるコンピュータに憧れて,自分もそれを作る人になりたかったから」です.勉強は,独学・学校・仕事のあわせ技でしたが,最近は知識のアップデートのために,本や論文を読んだり,研究会などに参加したり,YouTube
で技術系の動画を見たりして勉強しています.
  確かに新しい技術が次々に出てくるので大変ですが,同じことばかりやっていたら飽きてしまうとも思うので,新しい技術に触れること自体を楽しんでいます.また,コンピュータの仕組みやアルゴリズムの考え方,数学など,本質的には変わらない点も多くあります.一度1つの技術とじっくり向き合って身につけると,それが自分の土台になって,新しい技術を理解し活用するのが比較的楽になるのではないかと思います.

  私はパソコン通信がきっかけで情報系に興味を持ち,情報系ではない学科からSEになりました.入社後は研修やOJTで学んでいましたが,高校に教科「情報」が新設されると知り,体系的に学び直して情報の教員免許を取ろうと考え情報系の大学に入り直しました.また,教員になってからですが通信制の大学院でも学ぶことができました.
  大学の良いところはカリキュラムが体系的であり,広い分野を基礎から学べることだと思います.大学や大学院では,書籍や論文,学会誌などを読む機会が増えます.これらはネット上に自由に発表されるものとは違い,精査された情報が得られます.ゼミでの議論や研究会での発表は知識を整理するために有効だったと思います.
  現在ではネット上に多くの教材があります.優れた教材も誤っている教材もあり,注意しながら利用すべきだと思います.これらを評価・判断してくれるモデレータのような存在を見つけられると継続的なインプットがしやすいと思います.
  私は教員ですので,情報と教育の分野を勉強しますが,情報処理は時代とともに変化が起こる分野ですので,すぐには教育に関係してこない分野も学習しようと心がけています.
 

沼崎拓也
沼崎拓也
[正会員]
千葉県立沼南高等学校

五十嵐悠紀

五十嵐悠紀
[正会員]
明治大学

  私が情報科学科に進路を決めたきっかけは高校1年生のときに行った大学のオープンキャンパスです.それまでは「数学が好きなので,数学科かな.物理も好きだから物理学科もいいな」と考えていました.高校1年生の夏休みに「オープンキャンパスに行ってレポートを書く」という課題が出ました.そのときに友達と一緒に行ったのが,お茶の水女子大学のオープンキャンパスでした.オープンキャンパスでは,理学部の数学科,物理学科,と見学したあとに気になって入ったのが情報科学科.コンピュータでプログラミングをしますが,中に使われている知識は数学や物理.これだ!と思い,情報科学に進路を決めました.
  情報分野では,情報を中心にさまざまな分野とコラボレーションして進められるといった魅力があります.私はこれまでに手芸の設計製作過程をコンピュータグラフィクスで支援したり,医療系(循環器)の先生と一緒に電子カルテのインタフェースを研究したりしてきました.情報科学の勉強は,情報科学科に入ったことで,大学のカリキュラムという体系の中で幅広く学びました.
  自分自身が情報という軸の専門性を持つとともに,情報以外の幅広い視野や経験を持っていることで,他分野の専門家とコラボしやすくなると実感します.情報の勉強をしつつも,趣味などの時間も大事にしてみてください.料理や音楽,スポーツ,工業,農業など幅広い分野と情報は接しています.
 

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