Vol.61 No.3(2020年3月号)
Vol.61 No.3(2020年3月号)
匿名希望
小学生 |
AIの発達によって今までなかった職業が増えたりしますか? |
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企業の研究所,そして大学でAIの研究をしてきて定年退官したお爺ちゃんですが,僕の答えは「『AIが何を考えているのか分からない』という相談に答える仕事」です.ここでは「知的なロボット」を例として考えます.AI(ロボット)の進化は目覚ましく,いつかは鉄腕アトムのように賢くて何でもできるロボットが登場すると僕は思っています.アトムは人間と自由に話し合って楽しく生活してくれる理想的なパートナーです.しかし,AIはまだまだ未熟ですから,ユーザである人間が何かを頼もうとしても,「それは学習していないことなので実行できません」ということも起きます.AIが良かれと思ってやってくれたことが,ユーザにとってはありがたくないということも起きたりします(これが一番困りますね).そんなときに,AIの技術に詳しい人は,自分でそれを理解して,「あぁ,このAIはここまでしかできないんだ」とか「このAIにはこういう頼み方をしないといけないのだ」とか工夫して使いこなすことができます.今のパソコンやスマホを上手に使いこなす人と同じですね.でも,それができるユーザの数は限られています.今,スマホを販売し,その使い方の相談に乗ってくれるお店がたくさんあるように,AIを販売し,その使い方の相談に乗ってくれ,さらにはAIのプログラムを書き換えたり,AIの学習を追加したりして,ユーザの思った通りに動作するようにするプロフェッショナルな仕事がとても重要度を増すでしょう.そんなものはいらない優れたAIを実現することが,研究開発者の究極の目標なんですがね(笑). |
![]() 上田博唯
元京都産業大学 |
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AIが発達したらむしろ文系の方々が就職する現場のほうが新しい職種のチャンスが大きいのではないかという気がします.たとえば,法学,経営,倫理,芸術などに関係ある業界の価値観が根本からひっくり返る可能性があると思っています.むしろ,そういう業界にも人材を輩出できるようにするために,大学の情報系学部の定員を増やす(あるいは情報系と他分野の融合学問をさらに活性化する)必要性を感じます. |
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増えます. |
![]() 栄藤 稔
[正会員] 大阪大学 |
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