Vol.60 No.9(2019年9月号)
Vol.60 No.9(2019年9月号)
![]() OJI
[ジュニア会員] 高校生 |
はじめまして,プログラミングが大好きな高校2年生です. ☆1 Google, Amazon.com, Facebook, Apple Inc. |
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学部の Computer Science(CS)専攻は,プログラミング,オペレーティングシステム,コンピュータアーキテクチャ,応用と理論,数学などを中心とした統合カリキュラムが多くそこから専門にそって(人工知能,自然言語処理,コンピュータグラフィクス,データベースなど)カリキュラムを組みます.国内外違いはないように思えますが,あるとすれば夏休みの過ごし方や授業外での活動かもしれません.海外では実務経験がないと就職は難しく在学中にキャリアを積む学生は多いです.3カ月という長い夏休みを利用して IT企業にインターンシップに行き,どういった人材が求められているか経験して進路を考えたりします.GAFAなどのIT 企業は競争が激しく優秀な人材を育てるよりはすぐ使える人材を求める傾向がありCS以外の専門分野やマネジメント能力,問題解決力,マルチモーダル分析力,自己学習能力などを求めます.そのためマーケティング,医療,教育,NPOや マスメディア系のインターンで経験を積む学生もいます.学期中は第2の専門としてCSと関連が深い複合領域(Bioinformatics, Big data analytics)などを勉強してスキルアップする学生もいます.大学側も Career readyな人材を育成するため単位取得可能なインターンシップやビジネススクールと提携しアントレプレナーシップ教育などを提供したりします.日本のIT企業でも大学生向けのインターンシップが増えてきているのでぜひ国内外の機会を活かしてください. |
![]() Sandra Okita
Columbia University |
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Computer Science(計算機科学)という言葉は離散数学,アルゴリズム,プログラミング言語,システム,ネットワーク,ユーザインタフェース,セキュリティなどコンピュータにかかわるさまざまな学問を広く指す言葉です.コンピュータという人工物にかかわる学問ですから,これを「科学」と呼ぶことに異論もあり「情報学」と呼ぶこともあります.Computer Scienceを専攻せずにプログラミングを学ぶことは可能ですし,プログラミングをほとんどしないComputer Science研究者もいますが,一般にはComputer Scienceとプログラミングのスキルとは密接な関係があり,両方を学んでおくことはいろいろな意味で有利に働くと思います.現在,深層学習など新しいプログラミングパラダイムが現れつつあることを考えると,今後も必要になるスキルは変わっていくと考えられます.その意味では,ソフトウェアエンジニアとして長い間活躍するためには,集合論・代数・解析・確率など基礎的な数学の素養を身につけておくことが重要だと思います. |
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Computer Science(日本語ではコンピュータ科学)では,コンピュータの仕組みや計算処理に関することを学び,研究します.たとえばプログラミング言語,効率良くデータを処理する手法,コンピュータの構造,ネットワーク上でデータをやりとりする手法などが挙げられます.最近では人工知能やモバイルプログラミングも学ぶことになるでしょう. 私が在籍していた海外のコンピュータ科学科では,モバイルアプリやWebサービスをほかの学生と協力して実装するような実践型の授業も多く存在し,教科書にとどまらない経験ができて,大変でしたがとても楽しかったのを覚えています.日本に戻ってきた今では,そのような経験を取り入れた授業を自分なりに工夫して教えています(https://iis-lab.org/infovis). 日本では「情報」という名前が付いている学科においても,上のような内容の講義や研究がなされており,それに加えて関係の深い他分野の授業を受けることができます.たとえば,私が所属している電子情報工学科では,基礎的な計算処理に関する授業とともに,電子工学(たとえば電磁気学や電子回路)なども学びます.最近ではセンサやロボットなどプログラミングにとどまらない知識がプログラマにも求められることが多くなっていますので,コンピュータ科学にとどまらず,ご自身の興味と知識を深めることができる大学や学科を選んでいただければと思います. |
![]() 矢谷浩司
[正会員] 東京大学 |
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