量子ソフトウェア(QS)研究会新設のお知らせ

目的

 現在,量子情報技術は,一大新潮流として台頭し,21世紀を牽引する学問領域になるともいわれている.各国の政府投資も旺盛であり,米国では2018年12月21日に「国家量子イニシアティブ法」が大統領署名され,今後5年間で$12.5億ドル規模の投資がなされることになっている.我が国,欧州,豪州,中国,等も同様に積極的な動きを見せている.

 なかでも,量子コンピュータは,現在のコンピュータとは根本的に異なる次元の性能を有することが理論的に示されており,政府投資の重点領域であるのみならず,IBMやGoogleなどのIT企業が開発競争に乗り出し,小規模ながらもハードウェアの開発に成功し,ソフトウェアの開発にも着手している.しかし,量子コンピュータがその真価を発揮するまでには無数ともいえるチャレンジが存在するといってよく,さらなる研究開発の強化が必要である.

 ところで,量子コンピュータを含む量子情報技術は,物理学の一分野として進展してきた.したがって本学会と深い関わりがあったわけではない.しかし,量子コンピュータの実用をいよいよ加速するためには,情報,数理,電気工学,等,広い分野の研究者が結集すべきことが求められており,特にソフトウェアとアーキテクチャの研究開発の充実が急務であるとされている[1] .

 米国計算学会においても,この分野の活動が急速に活発化してきており,ISCA 2019 (International Symposium on Computer Architecture)およびASPLOS 2019(Architectural Support for Programming Languages and Operating Systems)では量子計算のセッションが設定されており[2][3],POPL 2020(Symposium on Principles of Programming Languages)では量子計算のためのプログラミング言語に関するワークショップが企画され[4],さらに,量子計算に関するトランザクションの刊行も決まっている[5].

 我が国において情報処理技術を60年近く牽引してきた本学会が,量子ソフトウェアの新分野に本格的に参画することは,まさに時代の要請であり,学会の責務である.時機を失することなく,量子ソフトウェア研究会を設立することをここに建言する次第である.

[1] 戦略プロポーザル「みんなの量子コンピュータ」,科学技術振興機構の研究開発戦略センター,2018年12月1日.
[2] https://asplos-conference.org/2019/index.html@p=824.html#a12
[3] https://iscaconf.org/isca2019/program.html#session5adetail
[4] https://popl20.sigplan.org/home/plaqc-2020
[5] https://tqc.acm.org/

量子ソフトウェア研究会Webページhttps://sigqs.ipsj.or.jp/
 

主な研究分野

  • 量子計算アーキテクチャ
  • 量子プログラミング言語
  • 量子計算アプリケーション
  • 量子ソフトウェア開発環境(シミュレータ、コンパイラ等)
  • 量子アルゴリズム
  • 分散量子計算
  • 量子ネットワークのソフトウェア
  • 量子センサーのソフトウェア
  • 量子セキュリティ

提案者(五十音順)

伊藤公平(慶應義塾大学),今井浩(東京大学),井元信之(大阪大学),岩野和生(株式会社三菱ケミカルホールディングス),小野寺民也(日本アイビーエム株式会社),川畑史郎(産業技術総合研究所),木村康則(JST研究開発戦略センター),國廣昇(筑波大学),河野泰人(日本電信電話株式会社),曽我部東馬(電気通信大学),竹本一矢(富士通株式会社),田中宗(早稲田大学),棚橋耕太郎(株式会社リクルートコミュニケーションズ),富田章久(北海道大学),中村祐一(日本電気株式会社),永山翔太(株式会社メルカリ),西村治道(名古屋大学),萩谷昌己(東京大学),藤井啓祐(大阪大学),増原英彦(東京工業大学),湊真一(京都大学),湊雄一郎(MDR株式会社),山岡雅直(株式会社日立製作所),山下茂(立命館大学),山本直樹(慶應義塾大学),楊天任(株式会社 QunaSys)

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