ビッグデータ利活用の機運が高まるなか、個人情報保護法の改正を間近に控え、データプライバシーの保護技術は重要性がますます高まりつつあります。データプライバシーの保護は、技術のみならず法制度、サービス運用、倫理観や市民感覚等の多様な側面を同時に考慮する必要がある複雑な問題です。本セミナーではプライバシー保護の技術的側面を、セキュリティ・プライバシー保護技術および暗号理論などの方法論からなる縦糸と、クラウド、モバイルなどのコンピューティング環境からなる横糸の二軸から解説し、その上で技術者が抑えておくべき技術と法制度の橋渡しとなる部分について概観します。
コーディネータ:佐久間 淳(筑波大学 コンピュータサイエンス専攻 准教授)
【略歴】2003年3月東京工業大学大学院総合理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年4月日本アイ・ビー・エム株式会社入社、東京基礎研究所に配属。2004年7月、東京工業大学総合理工学研究科助手、2007年4月同助教、2009年4月筑波大学大学院システム情報工学研究科准教授、2009年10月から2012年3月、科学技術振興事業団さきがけ研究員兼任、2012年2月、国立情報学研究所客員准教授、現在に至る。機械学習と知識発見、セキュリティとプライバシーの研究に従事。2008年、IEEE CISJ Young researcher award、 2009年度人工知能学会全国大会優秀賞、 2010年度情報論的学習理論と機械学習 (IBISML) 研究会賞、コンピュータセキュリティシンポジウム2012(CSS)優秀論文賞、2012年度日本データベース学会上林奨励賞受賞。