第4回:モバイル・クラウド時代を加速するIOT(Internet of Things)

日時:2014年10月17日(金)
会場:化学会館7F(本会場) 受付開始時間:9:30~
   大阪大学中之島センター5F 講義室507(遠隔会場) 受付開始時間:9:30~

2020年〜2025年頃には500億個以上のセンサやデバイスがインターネットに接続されると予測されています。“物”のインターネットであるIoT(Internet of Things)が実現されます。これらの“物”からの膨大なデータがクラウドに集まることにより、クラウドコンピューティング時代をますます加速させると考えられます。
ここでは、“物”を接続するための無線ネットワーク技術、センシング技術、各種分野への応用などにつき幅広い技術やシステムを研究および実用化されている講師陣を招き、今後の技術動向や実社会へのシステム応用について紹介します。

松井進コーディネータ:松井 進(大阪工業大学 情報科学部 情報ネットワーク学科 教授)
【略歴】1980年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻修士課程修了。同年(株)日立製作所入社。システム開発研究所(現横浜研究所)にて通信ネットワーク、モバイルネットワーク、アドホックネットワークの研究開発に従事。2012年より大阪工業大学情報科学部情報ネットワーク学科教授。情報処理学会、電子情報通信学会、IEEE各会員。博士(工学)。

OPENING 10:00~10:10

コーディネータ:松井 進(大阪工業大学 情報科学部 情報ネットワーク学科 教授)

セッション1:IoTを支える無線ネットワーク技術の動向とOKIの取り組み

[10:10-11:10]
IoTやM2Mネットワークでは、モノとモノをつなぐ必要があり、いろいろな通信方式が検討されています。その中でも、屋外のセンサネットワークやスマートメーター間ネットワーク、社会インフラのモニタリング等では、広い範囲に高密度で設置されたモノをつなぐことが要求されています。このような要求に対応する無線ネットワークとして、マルチホップ技術を活用した920MHz帯の無線が注目されています。本講演では、920MHz無線やマルチホップネットワークの動向を解説し、OKIのM2M事業への取り組みを紹介します。

福永 茂講師:福永 茂(沖電気工業株式会社 シニアスペシャリスト)
【略歴】1991年大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻修了。1991年沖電気工業(株)入社。2001年以降、センサネットワーク、アドホックネットワーク、セキュリティ、自律分散、位置推定などの研究開発に従事。2012年から920MHz無線関連機器の事業化に従事。その間、総務省における950MHz/920MHz帯の電波割り当てに際して、アクティブ無線サブグループの主査を務めるなど、920MHz小電力無線の普及に貢献。また、IEEE802.15.4dタスクグループのVice Chair & Secretaryを務めるなど、IEEE802やZigBeeの標準化にも貢献。
 

セッション2:NTTドコモの取り組むM2M事業とIoTビジネスへの展望

[11:20-12:10]
近年、さまざまなセンサやデバイスをネットワークにつなぐM2M(Machine to Machine)がITSやエネルギー、産業機器など、あらゆる分野で活用され注目を集めています。このM2M事業において、NTTドコモは数多くの実績を持ち、国内・海外への展開を加速しています。本講演では、ドコモが取り組むM2Mビジネスの事例や、無線ネットワーク技術を紹介するとともに、データシェアプランにより加速されるIoT(Internet of Things)への拡がり、そしてITS分野におけるビッグデータを活用したビジネスの概要を解説します。

谷 直樹講師:谷 直樹(株式会社NTTドコモ M2Mビジネス 部長)
【略歴】1989年日本電信電話(株)入社。移動通信用交換機・サービス制御装置等の実用化開発、IMT-2000ネットワークアーキテクチャ・通信制御方式の国際標準化、国際ローミングに関する技術交渉、国内外の研究開発連携等に従事後、2011年から関西地域におけるLTEネットワークの構築・拡大に従事。2014年6月よりM2Mビジネス部長として、M2M事業の推進を担当。

お昼休憩:12:10〜13:20

セッション3:IPA未踏事業プロジェクトの紹介

[13:20-14:10]
ITを駆使して産業・社会のイノベーションを創出できる独創的なアイディアと技術を有し、これらを実現し活用していく能力を備えた優れた個人の発掘・育成することを目的とした「未踏事業(未踏IT人材発掘・育成事業)」の概要を紹介します。この事業で発掘・育成し自ら起業した2名の未踏クリエータがモバイルクラウド時代を加速するIoTに関連した取り組み・ビジネス展開等について紹介します。 青木氏は、スマートフォン・タブレットからセンサやデバイスの制御を手軽にプログラミングできるフィジカルコンピューティング・ツールキット 「konashi」について、藤野氏は多数のセンサと音声音響情報を基に学習し動作する磁気リニアアクチュエータの複合系の開発についてご紹介します。

神島 万喜也講師:神島 万喜也(IPA(情報処理推進機構)IT人材育成本部イノベーション人材センター次長)
【略歴】1979年岡山大学工学部合成化学科卒。同年4月某電機会社に入社、プラント・工場等の生産管理システムのシステムエンジニアリング、営業技術等の業務に従事。2000年4月情報処理振興事業協会(IPA:現(独)情報処理推進機構)に出向2002年IPAに移籍、現在に至る。未踏IT人材発掘・育成事業の責任者を担務。

青木俊介講師:青木 俊介(ユカイ工学株式会社 代表)
【略歴】2001年東京大学在学中に、チームラボ株式会社を設立、CTOに就任。その後、ピクシブ株式会社のCTOを務めたのち、ロボティクスベンチャー ユカイ工学を設立。ソーシャルロボット「ココナッチ」や、フィジカルコンピューティングキット「konashi」などセンサー、スマートフォンやネットワークを活かした開発を得意とする。共同開発では、脳波で動くコミュニケーションツール「Necomimi(ネコミミ)」、ハンガー型次世代販売促進システム「チームラボハンガー」を開発。現在は、スマートハウス向けのロボットソリューションに力を入れている。(2008年度採択未踏クリエータ)

藤野 真人講師:藤野 真人(フェアリーデバイセズ株式会社 代表取締役)
【略歴】1981年埼玉県出身。2006年東京大学大学院医学系研究科医科学専攻中退。創薬ベンチャーを経て,2008年よりフェアリーデバイセズ株式会社代表取締役。使う人の心を温かくする一助となる技術開発を社是とする。(2009年度採択未踏クリエータ)

セッション4:ワイヤレス・ヘルス・モニタリング

[14:20-15:20]
日本は、高齢化社会として世界的に知られている。高齢化に伴い、高齢者の一人暮らしも増えている。厚生労働省「人口動態調査」によると、家庭内事故で毎年約2万人の高齢者が命を落としている。また、高齢者が犯罪の被害に遭う割合も増加している。高齢化社会の進展と同時に、人々の健康意識も高まっている。知的環境は、人々の健康をサポートし、高齢者も安心して暮らせる安全・安心な社会実現のための基盤として期待されている。本講演では,プライバシーを保護しつつ、高齢者等を見守る技術として、人や物の行動・状態を検出・識別可能な電波センサを紹介する。また、人々の健康をサポートする技術として、ドップラーレーダを用いて人の呼吸や心拍の情報を非接触で取得する非接触センシングを紹介する。

大槻知明講師:大槻 知明慶應義塾大学 理工学部情報工学科 教授)
【略歴】1990年慶大・理工卒。1994年慶大大学院理工学研究科博士課程了。博士(工学)。1995年東京理科大・理工・助手、同大学講師、助教授。慶大・理工・准教授を経て、2009年から同大学・理工・教授。この間、光通信、無線通信、センサの研究開発に従事。井上研究奨励賞、安藤博記念学術奨励賞、エリクソン・ヤングサイエンティスト・アワード、IEEE the 1st Asia-Pacific Young Researcher Award、船井学術奨励賞、第5回国際コミュニケーション基金優秀研究賞、2011年IEEE SPCE Outstanding Services Award、電気通信普及財団賞(テレコム技術賞)、2013年ETRI Journal's、2012年Best Reviewer Award 等各受賞。本会シニア会員。

セッション5:スマートグリッド、産業分野におけるネットワーク技術動向

[15:30-16:20]
近年、情報通信技術が著しく進展したことにより、電力分野ではネットワークを活用し電力システムの業務自動化、安定稼働を図るスマートグリッドの実現に向けた取り組みが行われている。また、産業分野では工場やプラント設備の遠隔監視による運用効率化を目的とし、導入の比較的容易な無線ネットワークの適用が進められている。本講演では、電力分野(スマートグリッド)、産業分野を対象に取り上げ、特に自動検針システムおよび設備監視向け無線ネットワーク、また、電力系統監視向けネットワークを例に挙げ、ネットワーク技術動向について解説する。また、今後の展望と課題について述べる。

高谷 幸宏講師:高谷 幸宏(株式会社日立製作所 横浜研究所 主任研究員)
【略歴】2000年株式会社日立製作所入社。システム開発研究所にてモバイルアドホックネットワーク、車々間ネットワーク、コグニティブ無線ネットワーク等の研究開発に従事。現在、同社横浜研究所にて情報制御システム向けネットワーク技術の研究開発とりまとめ。電子情報通信学会会員。

セッション6:これからはじまるモノ・人の位置情報の活用

[16:30-17:20]
すべてのモノ・人には、位置があるが、まだまだ十分に活用されているとはいえない。本講演では、モノや人の位置情報に関するさまざまな話題に触れる。まず、準天頂衛星の打ち上げに伴う高精度位置測位時代の到来、さらに、屋内における位置取得技術の進展などを紹介する。また屋内位置を利用した、さまざまなビジネス応用についても概説する。

河口信夫講師:河口 信夫(名古屋大学 未来社会創造機構 教授)
【略歴】1995年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程満了。名古屋大学助手、准教授を経て2009年より同大教授。ユビキタスコミュニケーション、スマートルーム、位置情報システムに関する研究に従事。2012年9月には、特定非営利活動法人位置情報サービス研究機構(Lisra)を設立。同代表理事に就任。博士(工学)。

情報処理学会では、産業界(実務家)の視点から、関心度の高いテーマ、注目のテーマ、技術の先進性に富んだテーマを取り上げて、その最前線で活躍されている方を講師に招き、年数回にわたってセミナーを開催しています。

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