抄録
J-005
鑑賞行動時の記憶定着における感情誘発語効果とその経時変化
村上増穂・小竹元基(東大)・中平勝子・北島宗雄(長岡技科大)
生涯学習の場となる公共施設等における鑑賞行動において、不足する知識を補いつつ主体的な気づきを阻害しない学習支援の一つに、聴覚情報の効果的な設計が挙げられる。本稿では感情誘発語が記憶に与える効果に着目し、鑑賞行動時の聴覚情報に含まれる感情誘発語と直後記憶・記憶保持の関係を明らかにすることを目的とした。「鑑賞行動中の聴覚情報として感情誘発語を含ませることにより、記憶に残りやすくなる」という仮説を立て、これを検証するための実験を30名に対して行った。その結果、直後の記憶再生テストでは仮説が支持された。10日後のテストと比較した結果、記憶の減衰はあるものの、感情誘発語が記憶を保持させる可能性が示唆された。