抄録
I-033
周辺視野におけるβ運動の色に関する研究
梶原康平・井ノ上寛人・鉄谷信二(電機大)
物理的に運動していないものが動いて見える現象を仮現運動という.そのうち,適当な距離の空間を取りながら光点などを順次点滅させていくと動いているように見える錯覚をβ運動という.また,中心から半径5 deg以遠の視野を周辺視野という.周辺視野は,明暗の変化や運動する物体の知覚に優れるとされている.先行研究では,特定の条件下でβ運動を観視した場合に,その知覚速度が一時的に高速化し,しばらくすると元の速度に戻る現象がある.関連研究では,中心視野と周辺視野の差を解明するために視覚系の感度特性の観点から定量化を行っている.その結果,微小運動に対しては中心視野,高速運動に対しては周辺視野というように,機能を分担していることが解明された.本研究の目的は,周辺視野におけるβ運動の色による見え方の違いについて解明することである.この目的のため評価実験を行った.