抄録
I-007
墨量の減少によるかすれ表現を可能とする仮想書道のための筆跡生成手法
金山知俊(南山大)
穂に含まれる墨量の変化によるかすれ表現を可能とする仮想書道のための筆跡生成手法を提案する。本研究では仮想の毛筆の穂を複数の線分による毛束で構成する。この毛束の紙面上の接触領域に複数のサンプル点を配置し、筆記によって移動するサンプル点の軌跡で筆跡を生成する。墨は穂全体とサンプル点ごとに管理し、サンプル点の墨は筆記により減少するが、穂全体からそれを補う墨が供給される。サンプル点への墨の供給が減少に追いつかない場合、筆跡にかすれが生じる。また、穂全体の墨の量が減少することで毛束のまとまり具合が変化し、筆跡全体にも影響を与える。この手法を仮想書道システム上に実装し、実際の書道に近い筆跡の再現を目指した