抄録
I-004
説明によるストーリー構造の拡張
小野淳平(青森大)・伊藤拓哉・福田和維・河合珠空・小方 孝(岩手県大)
物語は,語られる事象連鎖としてのストーリーの構造と, ストーリーの語り方を意味する物語言説の構造の二つの構造を持つ.前者は時間的な流れに基づいて事象が並ぶ構造であり,後者は例えば,現在の話の間に過去の回想を挟む等,ストーリーの構造を変形した構造である.本研究は物語言説における修辞技法の一つである説明を取り扱う.説明とは,物語の時間的流れを停止し,ある要素に関する情報を記述するものである.我々は現在,ジュネットの物語言説論などの文学側の理論も援用して,ストーリー中に説明を挿入する方法について検討している.本稿では,人・物・場所に関する情報に基づき,一定の戦略に基づいて,ストーリーの構造に自動的に説明を挿入するシステムを紹介する.