抄録
B-002
完全準同型暗号の高速化に向けたハードウェア利活用に関する研究調査
井上紘太朗・鈴木拓也・山名早人(早大)
近年,クラウド上に保管されたデータを安全に利活用する手法が盛んに研究されている.特に,データを暗号化した状態で計算可能な完全準同型暗号(FHE)は,データの機密性を担保しつつ,データを活用する手法として注目されている.しかし,FHEを用いた計算は,平文を用いる場合と比較して処理性能面で課題を抱えているため,高速化に関する研究が盛んに行われている.特に,GPUやFPGA,ASICといったハードウェアアクセラレータへ,FHEにまつわる演算の一部,あるいは全てを委譲する手法が研究されている.本稿では,ハードウェアアクセラレータを用いたFHEの処理性能改善に関する近年の研究動向と,今後の研究課題についてまとめる.