2023年度受賞者詳細

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2023年度コンピュータサイエンス領域奨励賞受賞者詳細

コンピュータサイエンス領域奨励賞は,コンピュータサイエンス領域に所属する研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な研究発表を行った若手会員に贈呈されます.本賞の選考は,CS領域奨励賞表彰規程,CS領域奨励賞受賞者選定手続およびCS領域奨励賞受賞者推薦内規に基づき,領域委員会が選定委員会となって行います.本年度は11研究会の主査から推薦された計18編の優れた論文に対し,慎重な審議を行い,決定しました.本年度の受賞者は下記18君で,各研究発表会およびシンポジウムの席上で表彰状,賞金が授与されます.

●暑熱順化を考慮したソーシャルヒートセンサの設計
 [DEIM2023(2023/3/7)](データベースシステム研究会)

飯田 静空  君 (学生会員)

発表時所属:奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻 修士2年
受賞時所属:奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻
[推薦理由]
本論文は,クラウドソーシングを用いることで「暑さ」に関する人間の感覚特性の仮説を検証し,暑い日が続くことで暑さを感じづらくなるという暑熱順化を考慮して,人間が感じる主観的な「暑さ」を予測する手法を提案している.暑熱順化の影響を考慮して補正する提案手法が気象データのみを用いて体感温度を予測する場合よりも高い精度で体感温度を予測できることを確認しており,実証実験とその考察も綿密に行われている.本研究は,クラウドソーシングを利用して,人間にとって主観的な環境指標を定義し,理解する試みであり,学術的にも応用的にも価値がある研究である.以上より,本論文をCS領域奨励賞にふさわしい論文として推薦する.
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●Scratch作品の再利用による学習効果の分析
  [2022-SE-212(2022/12/10)](ソフトウェア工学研究会)

橋谷 直樹  君 (正会員)

発表時所属:和歌山大学大学大学院 システム工学研究科
受賞時所属:株式会社メディアドゥ
[推薦理由]
本論文は,若年層のプログラミング学習に利用されることの多いビジュアルプログラミング言語Scratchにおける他者の作品を複製して新たな作品の基礎として用いるリミックス機能に着目し,利用者のリミックスによるコンピューテーショナル・シンキングスキルへの影響の一端を明らかとしている.作品群について時系列上で調査している点に高い新規性が認められ,さらに多数の利用者に対して調査した結果を報告しており,得られた知見の将来的な教育現場等における有用性も期待される.以上よりCS領域奨励賞に相応しいものとして推薦する.
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●語形と省略を考慮した一括名前変更リファクタリング支援
  [2023-SE-213(2023/3/9)](ソフトウェア工学研究会)

大住 祐輝  君 (正会員)

発表時所属:東京工業大学 情報理工学院
受賞時所属:富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 横浜みなとみらい事業所
[推薦理由]
本論文は,プログラムソースコードの理解性や保守性向上を企図して外部への振る舞いを維持したまま内部実装の一部を変更するリファクタリング操作にあたり,名前を変更するリファクタリング支援の仕組みを提案し,その有用性を確認している.名前変更の操作にあたり,現実に課題となる語形と省略を考慮している点に高い新規性が認められ,将来的な発展も期待される.以上よりCS領域奨励賞に相応しいものとして推薦する.
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●フォグコンピューティングを活用したサーバクライアント間双方向知識蒸留を用いる連合学習手法F2MKD
 [2022-ARC-249(2022/7/29)](システム・アーキテクチャ研究会)

山﨑 雄輔 君 (正会員)

発表時所属:東京大学 情報理工学系研究科 修士課程2年
受賞時所属:日本電信電話株式会社 NTT社会情報研究所 社会情報流通研究プロジェクト
[推薦理由]
連合学習(Federated Learning,FL)は,プライバシー保護と通信効率に優れた分散学習を実現する有望な技術であるが,既存研究はその多くが,あらゆるクライアントに対して単一のグローバルなモデルを提供するものであり,多様なクライアント環境への適応は困難である.本論文では,中央サーバと各クライアントで異なるモデルを保持した上で双方向の知識蒸留を行うF2MKDと呼ぶフレームワークを提案している.評価の結果,クライアントモデルの性能を大きく向上可能であることを確認しており,これは分散機械学習分野における重要な方向性を示す価値ある成果である.よって,CS領域奨励賞にふさわしい候補としてここに推薦する.
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●点群特徴抽出のFPGAによる高速化
 [2023-ARC-252(2023/3/24)](システム・アーキテクチャ研究会)

杉浦 圭祐 君 (学生会員)

発表時所属:慶應義塾大学大学院 理工学研究科 博士1年
受賞時所属:慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 松谷研究室
[推薦理由]
様々なロボットタスクの根幹となる重要な処理のひとつである点群特徴抽出は,さらなる高速化と省電力化が求められている.この実現のため本論文では,最も普及している特徴量であるFPFHを対象として,専用IPコアを設計し,FPGAボードに実装した研究が報告されている.設計には,アルゴリズムの特性を最大限活用するためのさまざまな最適化が施されており,その結果,既存研究と比較して約4倍の高速化と,約3倍のエネルギー効率改善を実現しており,価値ある重要な成果である.よって,CS領域奨励賞にふさわしい候補としてここに推薦する.
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●Nested SEV:ネストした仮想化へのAMD SEVの適用
  [ComSys2022(2022/12/5)] (システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)

瀧口 和樹 君 (学生会員)

発表時所属:九州工業大学 情報工学部 情報・通信工学科 4年
受賞時所属:九州工業大学大学院 情報工学府 博士前期課程1年
[推薦理由]
本研究は,ネステッド仮想化環境においてメモリ暗号化機能であるAMD SEVを適用する手法を提案している.内側のVMも丸ごと暗号化する透過的SEV,内側のVMが暗号化するページを選択できるSEVパススルー,内側と外側のVMで異なる暗号鍵を使えるSEV仮想化の3通りの方式を提案し,実際に下位のハイパーバイザとしてKVM,上位のハイパーバイザとしてXen, KVM, BitVisorの3種類の組み合わせのいくつかで提案方式を実装している.ネステッド仮想化機能とAMD SEV機能という単体でも高度な技術が要求される方式を組み合わせて実際に併用可能なことを示しており,非常に有用性の高い優れた研究成果であると言える.
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●Reboot-based Recovery を指向する Unikernel
  [2023-OS-158(2023/2/21)] (システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)

和田 健 君 (学生会員)

発表時所属:東京農工大学 工学府 情報工学専攻 1年
受賞時所属:東京農工大学 工学府 情報工学専攻 2年
[推薦理由]
本研究はUnikernelを再起動してソフトウェア若化をおこなう手法を提案している.Unikernelは,従来のOSとは異なりアプリケーションと密接に結びついて同じアドレス空間で動作するため,カーネル部分だけを再起動することが難しかった.本研究では,アプリケーションとUnikernelのやり取りを記録して,カーネルの再起動後に記録内容に従ってアプリケーションを再実行することで,Unikernel部分のみの若化に成功している.オーバーヘッドは比較的大きくはなるものの,実際にUnikraftで実装してその実現可能性を実証した点において,優れた研究であると言える.
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●MOSFETのサブスレッショルド電流を利用した適応的周波数変調によるディジタルLDOの低消費電力設計
 [DAシンポジウム2022(2022/9/1)] (システムとLSIの設計技術研究会) 

山口 駿 君 (正会員)

発表時所属:京都大学大学院 工学研究科 電気工学専攻 修士課程2年
受賞時所属:TSMCデザインテクノロジージャパン株式会社
[推薦理由]
多数の負荷回路の電源電圧を個別に管理するために,低電圧動作が可能なオンチップディジタル LDO (Low DropOut regulator) が注目されている.しかし,ディジタルLDOは消費電力と即応性にトレードオフ関係があり,この解決策としてクロック周波数を電圧誤差に応じて変調する手法がある.しかし従来の手法では,クロック周波数を大幅に変調することは難しいため,周波数変調回路が複雑化するという問題点がある.本論文ではMOSFETのサブスレッショルド電流を利用した適応的周波数生成回路によるディジタルLDOの設計および安定性について議論している.本論文は,安定性と効率に優れたディジタルLDOの設計指針を与える価値の高い論文であることから,CS領域奨励賞にふさわしい論文として推薦する.
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●LUTベースの光強度推定による高速なSRAF最適化手法
 [2022-SLDM-200(2022/11/30)] (システムとLSIの設計技術研究会)

齊藤 颯太 君 (正会員)

発表時所属:東京工業大学 工学院 情報通信コース 修士2年
受賞時所属:キオクシア株式会社 メモリ事業部 メモリ設計技術統括部 第三メモリ設計部 メモリリソグラフィ担当
[推薦理由]
近年,集積回路の微細化に伴い光リソグラフィにおいて転写パターンの忠実度の低下やプロセス変動耐性の低下が問題となっている.これに対し,光の近接効果を用いて転写パターンの忠実度を高め,ばらつきを抑える技術であるOPC(Optical Proximity Correction)が行われるが,OPCに必要な時間は大きく,高い忠実度,高いプロセス変動耐性を高速に達成するOPCが求められている.本論文ではOPC技術の一つであるSRAF (Sub Resolution Assisting Feature)と呼ばれる補助パターンの挿入に着目し,LUTをベースとした特定の点の光強度計算を用いてSRAFを高速に最適化する手法を提案している.本論文の内容は,集積回路の微細化を支える光リソグラフィ技術の更なる発展に寄与するものであり,CS領域奨励賞にふさわしい論文として推薦する.
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●A64FXプロセッサにおける電力・性能ばらつきの評価・分析
 [2023-HPC-188(2023/3/17)] (ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)

草場 智也 君 (学生会員)

発表時所属:電気通信大学 情報理工学域 I類 コンピュータサイエンスプログラム 4年
受賞時所属:電気通信大学大学院 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 博士前期課程1年
[推薦理由]
スーパーコンピュータ(スパコン)に搭載されたCPUは,同一製品仕様であっても同一のアプリケーションを実行した際に電力ばらつきが存在することが知られている.そこで本研究では,スパコンに搭載されたA64FX プロセッサの電力・性能ばらつきの評価と分析を行った.評価の結果,電力ばらつきは先行研究で報告されているCPU の電力ばらつきよりも大きく,最大26.4%になることを確認した.さらに電力ばらつきを考慮して縮退運転を行うことで,最大10.2%の消費電力を削減できることがわかった.本成果は,CS領域奨励賞を受けるに値する成果であり,本賞に推薦する.
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●MN-Coreアクセラレータ上での高速フーリエ変換の実装と評価
  [2023-HPC-188(2023/3/16)] (ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)

諸戸 雄治 君 (学生会員)

発表時所属:東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻
受賞時所属:東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 グラフィックスと工学研究室
[推薦理由]
ディープラーニング向けアクセラレータである MN-Core 上で倍精度の高速フーリエ変換(FFT)を実装し性能評価を行った.MN-Core の行列演算ユニットおよび大容量スクラッチパッドメモリの有効な利用により,最新GPU 上でのFFTライブラリと比較していくつかのパラメータで 6 倍以上のスループットの実現を確認した.本成果は,CS領域奨励賞を受けるに値する成果であり,本賞に推薦する.
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●C++におけるポインタベースのデータ構造のためのFar Memoryアロケータ
  [PRO-2022-2(2022/7/28)] (プログラミング研究会)

秀島 宇音 君 (学生会員)

発表時所属:東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 修士2年
受賞時所属:東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 鵜川研究室
[推薦理由]
Far Memoryとはネットワーク越しの他マシンのメモリにデータを保存することを許し,手元のメモリ資源を超える大規模なデータを少ないプログラミングコストで扱えるようにする技術である.本論文では,C++などの低水準操作が可能な言語において,Far Memory領域を通常のメモリ領域と同様にアクセスすることができ,かつFar Memoryと通常のメモリを使い分けることができるようなFar Memoryの実装を提案している.提案された実装は,局所性を意識したメモリ確保により高い性能を保ちながらFar Memoryを利用するプログミングを小さな負担で可能にするもので,その実用性は高く評価できる.実装や評価実験もしっかり行われており,提案内容が論文や研究会発表でわかりやすく示されていたことも評価し,本論文をCS領域奨励賞にふさわしいものと推薦する.
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●Type checking data structures more complex than trees
  [PRO-2022-2(2022/7/28)] (プログラミング研究会)

佐野 仁 君 (正会員)

発表時所属:早稲田大学大学院 基幹理工学研究科  情報理工・情報通信専攻2年
受賞時所属:NTT研究所 ソフトウェアイノベーションセンタ 開発・運用技術プロジェクト
[推薦理由]
グラフは木より複雑な接続関係を表現できるデータ構造として多く利用され,グラフを扱うプログラミング言語も提案されているが,型を用いたプログラムの検証は発展途上にある.グラフ固有の,単純な帰納的定義では対応し難い性質に対応するためグラフ文法を用いる方法も提案されているが,双方向連結リストの型チェックに失敗するといった問題があった.本研究では,正規グラフ文法に基づく制約をグラフ文法に導入し,双方向連結リストなどの実用的なデータ構造の自動的な検証に成功しており,型チェッカの実装もしている.論文では,構文や推論規則を用いた意味論の形式的記述だけでなく,複雑なデータ構造への適用例を図で丁寧に説明しており,議論も活発に行われた発表であったことから,本発表をCS領域奨励賞にふさわしいものとして推薦する.
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●多面体の共通展開図の非存在性
 [2022-AL-189(2022/9/15)] (アルゴリズム研究会)

鎌田 斗南 君 (正会員)

発表時所属:北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 博士後期課程2年
受賞時所属:北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 日本学術振興会特別研究員PD
[推薦理由]
多角形を立体に折る,あるいは立体を多角形に展開する操作は,日常生活から工学的な領域まで広く利用される技術である.このような折りと展開の技術について,計算機科学的側面を扱う分野に「計算折り紙」がある.当該発表は,当該分野の1トピックである多面体の展開図の理論において,未解決の課題に新たな証明法を提案するものである.具体的には,特定の条件を満たす多面体のペアに対して,「それぞれの表面をどのように切り開いたとしても,合同な多角形となることがない」という主張を示している.連続的な幾何学問題に離散構造を導入して分析する手法は,極めて高い新規性と独創性を持っている.よって,本発表をCS領域賞候補として推薦する.
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●動画からの表情変化特徴の抽出と雰囲気・個性のモデリングのための表情の解析
 [2022-MPS-138(2022/6/28)] (数理モデル化と問題解決研究会)

小竹山祐輝 君 (正会員)

発表時所属:株式会社コーセー 研究所
受賞時所属:博報堂DYホールディングス マーケティングテクノロジーセンター
[推薦理由]
本発表では,動画からの表情変化特徴の抽出および表情の解析のための新たな応用性の高い解析フレームワークの提案を行っている.本提案では,顔の造形に頑健な表情変化特徴量設計と正面化補正,表情強度による 1 段階目分類,主成分分析による特徴量の次元圧縮後,周辺化ギブスサンプリングによってガウス混合モデルを用いた 2 段階目分類を行う枠組みを提案し,実際の現場データに近い(化粧品販売カウンセリング研修動画)動画データに対して有効性の検証をしており,表情分類および雰囲気の定量化に関して優位な結果を示している.よって数理モデル化と応用研究会として,CS領域奨励賞受賞候補としてふさわしいと判断し,ここに推薦する.
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●クラウド連携を対象としたアーキテクチャ中立なROSランタイムの検討
 [2023-EMB-62(2023/3/25)] (組込みシステム研究会)

柿本 翔大 君 (正会員)

発表時所属:公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ科 4学年
受賞時所属:株式会社Olivier システム部
[推薦理由]
ロボットや自動運転等のソフトウェア環境において,各機能モジュール(ノード)間の通信を実現するRobot Operating System(ROS)の利用が拡大している.現在のROSの実装では各ノードの配置をシステム起動時に決定する必要がある.一方,ロボットの制御において知能・制御系のノードを計算能力の高いクラウドへ配置し,実行時にノードの配置を変更したいという要求がある.本論文では,組込みデバイス向けのROS2ランタイム実装であるmROS2をWebAssemblyランタイム上で動作させることで実行時のノードの配置の変更を実現することを目的に,実行時性能とメモリ消費量の比較実験を実施している.本論文は,ロボットシステムのシステムソフトウェア技術の発展に大きく貢献する論文であることから,CS領域奨励賞にふさわしい論文として推薦する.
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●Quantum-enhanced mean value estimation via adaptive measurement
 [2022-QS-7(2022/10/28)] (量子ソフトウェア研究会)

和田 凱 君 (学生会員)

発表時所属:慶應義塾大学大学院 理工学研究科 修士課程1年
受賞時所属:慶應義塾大学大学院 理工学研究科 修士課程2年
[推薦理由]
ある量子状態に対してオブザーバブルの平均値 (期待値とも呼ぶ) を効率よく推定することは量子計算において重要な役割を果たす.これは平均値推定手法の持つ効率が量子計算のパフォーマンスを直接的に決定するためである.また,現在の量子計算機に存在するノイズは平均値推定の効率を悪化させてしまう.そのため,平均値推定をノイズ存在下で可能な限り効率良く実行する手法の開発が求められている.本研究では,量子振幅増幅と測定の適応的最適化を用いて,ノイズのある環境下で推定効率の理論限界を達成する平均値推定の手法を提案している.提案手法は標準的な量子計算機で簡単に実装できる測定を用いており,多くの量子計算のパフォーマンスを改善することが期待できる成果と考えられるため,CS領域奨励賞に推薦する.
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●量子と古典のハイブリッドな計算機構に関するオラクルによる最適な計算量クラスの分離
 [2023-QS-8(2023/3/14)] (量子ソフトウェア研究会)

長谷川敦哉 君 (学生会員)

発表時所属:東京大学大学院 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻 博士課程2年
受賞時所属:東京大学大学院 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻 博士課程2年
[推薦理由]
近年大学や企業などによって量子コンピュータが実装されているが,それらはノイズの影響を受けやすく量子演算を行える回数が少ないことが課題になっている.そのような量子コンピュータの計算能力を引き出すために,古典コンピュータと組み合わせることが考えられる.本研究はそのようなハイブリッドな計算機の計算能力の限界を理論的に証明したものであり,今後他の計算問題に対しても同じようなことが成り立つかどうかなどが進展として期待される.将来的な量子計算機のアプリケーションにも影響を与えうる先駆的な結果であると考えられるため,CS領域奨励賞に推薦する.
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