「単板カラー撮像素子のRAWデータを利用した高精細画像復元」(Vol.45,No.SIG8(CVIM9))

平成16年度論文賞受賞者の紹介

「単板カラー撮像素子のRAWデータを利用した高精細画像復元」(Vol.45,No.SIG8(CVIM9))

[論文概要]
 撮像素子を用いた画像センサーの物理的分解能の限界を超える高精細画像を生成する方法が研究されてきた。複数画像から高解像度の画像を合成する従来の超解像法は、主にモノクロ画像を対象としていたため、近年の急速な普及をみる単板カラー撮像素子を用いて高解像度画像を生成する効果的な方法が望まれている。本論文では単板撮像素子のRAWデータを利用し、高解像度カラー画像を生成する手法を提案する。本手法はdemosaicking処理を内包する一般化されたカラー超解像問題の定式化を特徴とする。実験では合成画像と実画像を用いて、提案手法による信号処理の有効性を検証する。

[推薦理由]
 本論文は、ベイヤー配列の単板カラーカメラを対象とした超解像手法を提 案したものである。提案手法では,超解像の過程にカラーフィルタの配列パタ ーンを表す感度配列を想定することで,解像度の向上だけでなく,偽色の改善 を可能にした.ベイヤー配列のカラーフィルタを用いた単板カラーカメラは, デジタルカメラやハンディムービー,携帯電話など,市場で多数利用されてお り,偽色改善と超解像の両立は,実用性が高く評価できることから,論文賞に ふさわしい内容であると判断する.

後藤 知将君 2001年東京工業大学工学部制御システム工学科卒業.2003年東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻修士課程修了.同年 (財)理工学振興会プロジェクト研究員.現在東京工業大学大学院博士課程在学.コンピュータビジョン,信号処理に関する研究に従事.

奥富 正敏君 1981年東京大学工学部計数工学科卒業.1983年東京工業大学大学院理工学研究科制御工学専攻修士課程修了.同年キヤノン(株)入社,中央研究所勤務.1987年から1990年にかけカーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学科客員研究員.1994年東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻助教授.2002年同大大学院理工学研究科機械制御システム専攻教授.工学博士.コンピュータビジョン,画像処理,画像計測に関する研究に従事.情報処理学会,電子情報通信学会,計測自動制御学会,日本ロボット学会,画像電子学会,IEEE各会員.