田中 英彦 君

2004年度(平成16年度)功績賞受賞者の紹介

田中 英彦  君 (たなか ひでひこ)

本会正会員 田中英彦君は東京大学工学部に職を得られて以来,情報工学分野(特に計算機アーキテクチャ)での研究に専念され,情報機器学講座の担当教授に任ぜられて以降,たとえば推論型プログラミング言語Flengを始めとするソフトウェア,あるいは超並列計算機PEI64を含むハードウェアなどの開発研究を通じ,多数の学生を育て鍛え,幾多の英俊を送り出されてきました.またネットワーク,マルチメディア,ヒューマンインタフェースの分野でも学生の独創的な研究をいくたびも指導されました.

 講座の運営に加え,学科長,専攻長をも兼任されただけでなく,近年では情報理工学系研究科の創設に心を砕かれ,初代の研究科長に選出されて同研究科を軌道に乗せるべく力を尽くされました.

 同君はまた第五世代コンピュータプロジェクト(FGCS),リアルワールドコンピューティングプロジェクト(RWC)など国家規模の研究を推進する委員会の委員長,並列分散処理研究推進機構(PDC)の大学横断の重点領域研究の代表者として,研究の強力な展開,成功の評価の獲得に注力されました.

 本会の関係では,理事(1987年~1989年),各種委員会の委員などを歴任されて会の運営に携わられ,規格調査の方面では, ISO/IEC JTC 1/SC 21専門委員会委員長(1987年~1993年)として規格の制定整備にかかわってこられました.これらの業績に対し,本会からフェローの称号(2001年度)および標準化功績賞(2000年度)を授与されています.

 2004年3月東京大学を定年退官し(東京大学名誉教授),同年4月からは情報セキュリティ大学大学院の教授,情報セキュリティ研究科長として指導にあたっておられます.