2019年度業績賞の表彰

◆世界トップクラスの性能を実現したオープンな高次元ベクトル近傍検索の開発

 [推薦理由] 

昨今深層学習により画像やテキストだけでなく様々なデータから容易にベクトルデータが得られるようになった反面,高次元のベクトルデータを高速高精度に検索することが課題となっている.受賞者らは,グラフ構造を用いたベクトル近傍検索技術(NGT)を研究開発し保有特許を開放した上でオープンソースとして公開した.本技術を用いることで数億規模レベルのベクトルデータを検索でき,類似画像検索,物体認識はじめ様々な分野の基盤技術として利用が可能となる.本技術は海外も含め企業,技術者,エンジニアなど多数の利用者がいるだけでなく,近傍検索のベンチマークにおいて世界トップの検索性能が実証され,世界的にも注目される存在となっている.

岩崎 岩崎雅二郎 君(正会員)

1987年早稲田大学理工学部工業経営学科卒業. 1989年同大学院理工学研究科機械工学専攻修士課程修了. 同年日本電気株式会社入社. 1990年株式会社リコー入社. 研究所にて全文検索, 構造化文書データベース, 画像検索の研究開発に従事. 2007年ヤフー株式会社入社. Yahoo! JAPAN研究所にて画像認識・画像検索・高次元ベクトル近傍検索の研究開発に従事. 博士(工学)
 
宮崎 宮崎 大輔 君

2005年ヤフー株式会社に新卒入社.フロントエンドサービスの開発保守運用や,全文検索ライブラリ・エンジンの開発保守に従事.ベクトル近傍検索ライブラリの開発に参加し、現在は全社の課題を解決するSWATチームに在籍.
 
加藤 加藤 優介 君

2016年ヤフー株式会社に新卒入社.CTO直下部隊SWATを経て2019年にR&Dの領域へ.同年ヤフーにおける各技術領域の第一人者を認定する黒帯(第9代.Go言語)に就任.Founder of Vald (https://github.com/vdaas/vald) .
 

森本 森本 浩介 君

2011年早稲田大学大学院基幹理工学研究科修士課程修了.同年ヤフー株式会社に入社し,類似画像検索システムやウェブクローリングシステム,機械学習プラットフォームの研究・開発に従事し,現在は分散密ベクトル類似検索エンジンValdの開発業務に従事.
 
菅原 菅原 晃平 君

2012年横浜国立大学大学院環境情報学府修士課程修了.同年ヤフー株式会社に入社し,検索サービスに配属.以来クエリ解析に関するプロダクトの研究開発等に従事.

◆低被ばく化X線透視診断装置向け映像処理技術の研究開発と実用化

[推薦理由]

がんの患者数は年々増加しており, 早期発見や負担の少ない治療向けに, X線透視装置が利用されている. 今回, 映像処理によって低被ばく化と滑らかな高画質動画像を実現するという, これまでなかった手法に着目して研究開発に取り組み, X線照射撮影の頻度と線量を減らしつつ, 高画質化と中間画像の補間生成を行う技術を確立し, 画質向上とX線量を最大1/4まで低減することの両立に成功した. これにより, 従来適用不能であったX線感受性が高い小児に対してもX線透視装置を利用できるようになり, また医療従事者の不要な被ばく抑制を実現した. 産業への貢献も高く評価されており, 業績賞にふさわしいと判断する. 
 
荻野 荻野 昌宏 君(正会員)
1998年,金沢大学大学院博士前期課程修了.同年,株式会社日立製作所に入社.家電、医療機器などの映像処理に関する研究開発を経て,現在,同社研究開発グループに勤務し,画像信号処理,機械学習を用いた人工知能技術に関連する研究・開発に従事.2014年情報処理学会CDS9優秀発表賞,2019年第51回市村産業賞功績賞受賞.
takanohashi 高野橋健太 君
2006年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程修了. 同年株式会社日立製作所入社. 2015年から2016年 VTT Technical Research Centre of Finland 客員研究員. 家電や医療機器などの映像処理に関する研究開発を経て, 現在, 帝人ファーマ株式会社で医療技術の研究開発に従事. 2017年関東地方発明表彰 特許庁長官賞, 2018年全国発明表彰 日本弁理士会会長賞, 2019年市村産業賞 功績賞など受賞. 
鈴木 鈴木 克己 君
1989年新潟大学理学部物理学科卒業.同年株式会社日立メディコ技術研究所入社. 以来X線画像診断装置のX線検出器やデジタル画像処理の研究開発に従事. 2016年以降株式会社日立製作所ヘルスケアビジネスユニットにて放射線画像診断装置の研究開発に従事. 2019年市村清財団市村産業賞功績賞受賞. 

◆防災や交通渋滞等の社会課題解決に寄与する「リアルタイム人口統計

[推薦理由]

本技術は日本初のリアルタイム国内人口分布統計であり, 約7800万ユーザの携帯電話ネットワークの運用データから, 人口分布の推移を500mメッシュ単位で10分ごとに推計するものである. 高精度・リアルタイム性を実現するため, 大規模データの高速計算技術, 時系列データ解析技術を確立するとともに, 差分プライバシーと呼ばれる数学的安全性を備えた大規模データ向けプライバシー保護技術を確立した. 応用面では, AI渋滞予知やAIタクシーなど, 本統計データと各業界のデータをAI 予測モデルにより統合したサービスを実証. 幅広い産業分野で本技術が社会課題を解決する新たなデータインフラとして期待される. 

寺田 寺田 雅之 君(正会員)

1995年神戸大学大学院工学研究科修士課程修了, 同年日本電信電話 (株) 入社, 2003年 (株) NTTドコモへ転籍. 博士(工学). 大規模データに基づく統計作成と社会最適化, およびプライバシー保護技術に関する研究開発に従事. 2015年度論文賞, 2015年度山下記念研究賞, DICOMO2014最優秀論文賞, DICOMO2009, 2018優秀論文賞受賞. 2017-2018年度コンピュータセキュリティ研究会 (CSEC) 主査. 電子情報通信学会会員. 
 
赤塚 赤塚 裕人 君

2013年東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了, 同年(株)NTTドコモ入社. 大規模データに基づく人口推計技術および社会最適化技術の研究開発に従事. 

 
深澤 深澤 佑介 君(正会員)

2004年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了. 同年株式会社NTTドコモ入社. 2011年東京大学大学院工学系研究科博士後期課程修了. 同年10月より東京大学人工物工学研究センターにて協力研究員, 2017年-2019年客員研究員兼任. 機械学習・時空間分析・深層学習のビジネス活用およびモバイルヘルスケアに関する研究開発を推進. IEEE, 電子情報通信学会, 情報処理学会, 人工知能学会各会員. 博士(工学). 
 

石黒 石黒 慎 君

2014年東京大学大学院学際情報学府修士課程修了. 同年株式会社NTTドコモ入社. 2018年より東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程に在籍. 人流データ分析に基づいた位置情報サービスに関する研究開発に従事.