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2013年度論文賞受賞者の紹介

大規模ソフトウェア保守のための影響波及量尺度インパクトスケール

[情報処理学会論文誌 Vol.54, No.2, pp.870-882]
[論文概要]

 ソフトウェア保守での障害予測において,近年はソースコード情報に開発プロセス情報を加えることで予測性能の向上が図られてきた.しかし,実際の保守現場ではプロセス情報は入手性が低く,それに頼らず予測性能を高めるため,我々はソースコードから抽出した依存関係グラフ上で障害発生の一因とされる変更の影響波及をモデル化し定量化するメトリクス「インパクトスケール」を提案した.その有効性検証のため,大規模企業システムを対象として,ポアソン回帰分析による予測と工数考慮モデルによる評価法を用いて評価し,10%検査工数における障害検出数が50%以上上昇したという結果を得た.

[推薦理由]

 大規模ソフトウェア保守のために障害予測の精度向上を目的として,変更の影響波及量を定量化するメトリクス「インパクトスケール」が提案されている.インパクトスケールは,プロセスメトリクスの得られない状況で従来のプロダクトメトリクスより効果的な障害予測を実現し,その影響波及モデルは確率的な波及と関係依存的な波及という特徴を持つ.インパクトスケールはまた,ソースコードから解析可能なプロダクトメトリクスであり,その適用範囲も広い.大規模な企業システムを利用した障害予測を行う実験を実施し,提案するインパクトスケールの有効性について高い効果を確認している.新規性ならびに有用性ともに極めて高い論文と評価でき,論文賞として推薦する次第である.
小林健一 君

 平成4年東京大学工学部計数工学科卒業.平成6年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了.同年,富士通研究所入社.現在まで富士通および同研究所に勤務.平成20年オーストラリア国立ICT研究所(NICTA)客員研究員.ソフトウェア工学(特にソフトウェア保守,理解,可視化),データマイニング,HPC,ビッグデータの研究に従事.

松尾昭彦 君

 昭和62年東京理科大学物理学科卒業.同年,富士通研究所入社.ソフトウェア保守効率化技術(特にソフトウェアテスト技術,仕様抽出技術,影響検索技術),クラウド間連携技術,コンピュータグラフィックスの研究に従事.

井上克郎 君

 昭和59年大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了(工学博士).同年,大阪大学基礎工学部情報工学科助手.昭和59年~61年,ハワイ大学マノア校コンピュータサイエンス学科助教授.平成3年大阪大学基礎工学部助教授.平成7年同学部教授.平成14年大阪大学大学院情報科学研究科教授.平成23年8月より大阪大学大学院情報科学研究科研究科長.ソフトウェア工学,特にコードクローンやコード検索などのプログラム分析や再利用技術の研究に従事.

早瀬康裕 君

 平成14年大阪大学基礎工学部情報科学科卒業.平成19年同大学大学院博士後期課程修了.同年,同大学特任助教.平成22年東洋大学総合情報学部助教.平成23年筑波大学システム情報系助教.博士(情報科学).オープンソースソフトウェア開発,ソフトウェア保守の研究に従事.IEEE会員.

上村学 君

 平成12年上智大学理工学部機械工学科卒業,平成14年同大学大学院博士前期課程修了.同年,富士通研究所入社.平成23年上智大学大学院理工学研究科理工学専攻情報学領域博士後期課程修了.博士(工学).平成24年ブリティッシュコロンビア大学客員研究員.現在,富士通研究所にてソフトウェア工学,モデリング,プログラム分析の研究に従事.

吉野利明 君

 昭和55年九州工業大学情報工学科卒業,昭和57年九州大学大学院総理工情報システム学修士課程修了.同年富士通研究所入社.平成21年富士通に転籍、フィールド・イノベータ.平成26年九州大学研究戦略企画室准教授,リサーチ・アドミニストレーター.ソフトウェア工学,エージェント技術,自然言語処理,データベース開発の研究に従事.平成4~8年情処会誌編集委員.

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