2008年度(平成20年度)長尾真記念特別賞の表彰

 


鹿島 久嗣 君(正会員)

「構造データ解析のための機械学習手法」

1997年, 京都大学工学部数理工学科卒業.1999年, 同大学工学研究科応用システム科学専攻修士課程修了.同年より,日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所研究員.2007年, 京都大学情報学研究科知能情報学専攻博士後期課程修了(博士(情報学)).機械学習,データマイニング手法の研究と,バイオインフォマティクス,オートノミックコンピューティング,ビジネスインテリジェンス, センサーデータ解析等への応用に従事.2007年, 人工知能学会論文賞受賞. 2004年, 2008年に人工知能学会研究会優秀賞受賞.情報処理学会,人工知能学会,電子情報通信学会の各会員.

[推薦理由]
近年, HTMLやXMLなどの半構造データの普及, 生物学・化学分野における配列データや分子構造データの増加, WWWやソーシャルネットワークなどのネットワーク構造をもったシステムへの関心の高まりなどによって, いわゆる「構造をもったデータ」を扱う解析手法の重要性が増している. しかしその一方で, 従来のデータ解析の方法論において, その効率的かつ妥当な扱いは, 必ずしも十分に議論されてはこなかった. この重要な問題に対して, 鹿島久嗣君は, 木構造やグラフ構造をもったデータを, 見通しよく, また効率的に扱うことのできる解析手法を開発した. 数多くの後続研究を生みだした彼の一連の研究の, 機械学習研究の発展への貢献は大きく, 本賞を贈るにふさわしい.

 

神田 崇行 君(正会員)

「ヒューマンロボットインタラクションに関する研究」

1998年 京都大学 工学部情報工学科卒業.2003 年同大学大学院情報学研究科社会情報学専攻博士課程修了.博士(情報学).同年よりATR 知能ロボティクス研究所研究員,2004年より同研究所上級研究員.ヒューマンロボットインタラクション,特にロボットの自律対話機構や社会的能力,人間型ロボットの身体を利用した対話研究に従事.情報処理学会,日本ロボット学会,電子情報通信学会,ヒューマンインタフェース学会,IEEE,ACMの各会員.

[推薦理由]
情報処理研究の対象は,コンピュータネットワークの世界から,人間が生活する実世界へと広がってきてる.神田崇行君は,数多くの実証実験を通して,日常生活の場において,人々と情報システムとのインタフェースにロボットを利用する研究に取り組んできた.また実証実験に取り組む一方で,人間型の身体を活用したコミュニケーション基礎技術の研究,発話機能を備えるロボットの人間との対話機能の研究等,擬人的なロボットの利用に関する一連の研究に関して先駆的な業績を上げ,ヒューマンロボットインタラクションという新しい研究領域の確立に貢献した.

後藤 真孝 君(正会員)

「計算機による音楽・音声の理解とそれに基づく音インタフェースの研究」

1998年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年、電子技術総合研究所に入所し、2001年に改組された産業技術総合研究所において、現在、情報技術研究部門メディアインタラクション研究グループ長。2000年から2003年まで科学技術振興事業団さきがけ研究21研究員、2005年から筑波大学大学院 准教授(連携大学院)、2008年から統計数理研究所 客員教授(2009年3月まで客員准教授)、2009年からIPA 未踏IT人材発掘・育成事業 未踏ユースプロジェクトマネージャーを兼任。ドコモ・モバイル・サイエンス賞 基礎科学部門 優秀賞、科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞、情報処理学会論文賞等、本賞を含めて24件受賞。

[推薦理由]
後藤真孝君は、基礎研究として「音楽の複雑な混合音に対する自動理解」という新たな研究領域を切り開き、その応用研究として人間の音楽の聴き方を豊かにする数々の独創的な「能動的音楽鑑賞インタフェース」を実現してきた。さらに、世界初の著作権処理済み音楽データベースを公開し、分野の共通基盤を確立した。音声インタフェースの研究でも斬新なアプローチにより優れた成果を上げてきた。その一連の独創性の高い先駆的な仕事は国内外で広く認知されており、学術的に卓越しているだけでなく、大きなインパクトと影響力を与え続けている。分野外からも極めて高く評価されており、本賞を贈るにふさわしいものである。



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