2020年04月20日版

「新型コロナウイルスとの3カ月間」

高橋 克巳(長期戦略担当理事


 新型コロナウイルスの中この原稿を4月6日に書いています。幸いにして私は無事です。このパンデミック対応に関する私からのメッセージは「冷静に」と「長期戦を覚悟しよう」の2つです。情報処理学会理事会における私の担務である長期戦略についてお話しする予定でしたが「しっかりと検討しています」だけとします。「コロナ後の情報分野のことを今から一緒に深く考えましょう」を付け加えます。

 以下は、自分の心の整理のためのメモです。この3カ月に起きたことと、情報分野は何ができるか感じたことを書いています。ご時世、不安を煽るようなことはやめて、どちらかというとくだらない話です。

この3カ月間に起きたこと(世の中)

 振り返ってみます。3カ月前の1月頭の時点ではまだ武漢市場発の謎の感染症と言われていました。最初の死者が出たのが1月9日。ヒトヒト感染が確認となったのが1月20日。武漢封鎖が1月23日から。1月31日にWH0が公衆衛生上の緊急事態を宣言。2月5日ダイヤモンドプリンセス号が横浜に到着。2月21日日本での感染者が百人に。2月25日東京都知事が週末の外出自粛を要請。2月29日世界の感染者数8,500人、死者2,900人。3月2日から日本の学校が臨時休校に。3月12日アメリカが欧州からの入国を停止。3月20日から3連休。3月24日オリパラ東京大会の延期が決定。3月25日東京都知事、夜間の外出も控えるよう要請。3月29日志村けんさん死去。3月31日世界の感染75万人、死者3.6万人。4月4日東京の1日あたりの感染者数100人超え。4月5日現在世界の感染113万人、死者6.2万人。同、日本の感染3,800人、死者93人。4月6日朝、緊急事態宣言首相が意向を固めると報道。驚くべき3カ月間です。

この3カ月間に起きたこと(個人)

 続いて私個人の体験です。2月3日ある会議を遠隔参加にしてもらう。2月13日勤務先食堂での懇親会で「組織で対応をしっかりやろう」と〆で挨拶。2月17日自宅籠城を予見してフルトヴェングラーCD107組を購入。同週、狭い部屋での打ち合わせの是非が出始める。2月25日開幕戦をしたばかりのサッカーJリーグが試合延期を決定。2月25日週、外部の会議キャンセルが出始める。3月5日からIPSJ全国大会をオンライン開催。3月9日自分の勤務先が基本テレワークに。3月19日職場の親友の訃報届く、死因はコロナと無縁もお見舞いも焼香もできず悲しむ。3月21日毎年恒例の故大滝詠一の「新譜」発売日もレコード店に行けず通販。3月23日ラグビートップリーグ、残り2/3の今期日程を断念。3月26日会社同僚の送別会のレストランをキャンセルしウェブ会議で飲み会。3月27日IPSJ理事会をオンライン開催。3月27日自宅籠城を覚悟してバリカンを購入。4月1日会社の入社式が対面でできず新入社員はいきなりテレワーク。私も本日まで4週間テレワークを続けています。

 後半は、現在の対応にIT、すなわち情報処理やデータがどんな役に立つのか、感じたことを書きます。

ITで何ができるか(治療)

 感染者への治療で情報分野ができることは限られています。現場の医師、医療従事者のみなさんに心から感謝し、武運を祈っています。ただし、これだけ患者が増え、あらゆる医療リソース(医師、病棟、人工呼吸器、マスク等々)が逼迫してくると、リソースの情報管理と優先順位づけが必要です。これはITそのものです。ただ医療リソースの管理を医療専門外が関与すべきなのか? 実はリソースは専門に閉じません。人工呼吸器は3Dプリンターで作れるかもしれないし、軽症者の対応はホテルや一般回復者の活用の検討があるし、マスクに至っては専門と一般が取り合いをしています。リソースの供給元はオープンです。我々もできることはあるはずです。

ITで何ができるか(自衛)

 感染しないために密閉・密集・密接の「3つの密」を避けることが推奨されています。3密を自分で可視化して自衛できるでしょうか? これ残念ながら「ひたすら避ける」以外の方法が現時点でありません。なぜなら相手が未知のウイルスなので安全閾値がわからないのです。しかし今後の段階的復旧のためには必要です。測定(IoTですね)、評価(例、ソーシャルディスタンスの適正距離)、データ共有(究極のプライバシー保護問題)など広範囲にわたる知見を集めていく必要があります。なお、この可視化の一部は、モビリティレポートの統計としてネットのプラットフォーマーから提供・公表が始まっています。この意味を考えていきたいと思います。

ITで何ができるか(情報)

 まずウイルスの猛威のメカニズムがなかなか分かりません。感染契機から感染後のリスクまで。いままでの疫病知識が通じません。正確な情報は行動変容に直結するはずですが、過少・過剰、さまざまな受け取られ方があるようです。そういう自分自身も正しくこのウイルスを分かっているのかと自問。次に事態の経過がなかなか分かりません。推移の把握は、希望においても、我慢においてさえも鍵を握ります。東日本大震災の東京は放射線モニタリング情報を気にしていました。いま報道では感染者数と死亡者数の国別、都道府県別統計が主で、それに検査実施数、入院・退院者数が続きます。しかし、これだけでは各人が希望や辛抱をコントロールできるとは言えません。情報分野から必要な情報の種類を特定して、理由付きで示せないものかと考えています。なお、一次情報がこのような状況なので、解釈を含む二次情報は放送・ネットを問わず混乱の状況にあります。情報を伝える技術をもっと考えましょう。

 IT屋の恵まれた環境に感謝しつつ(仕事が続けられ、テレワークができるって素晴らしい)、力を合わせて難局を乗り越えましょう。

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