2016年05月16日版

「未来へのみちしるべ

守安 隆(監事)

 10年前も20年前ももっと以前も、「現在の急速なIT(ICT)の進化や普及が社会や産業に大きな変化をもたらす」と多くの識者が意見を述べてきたのではないでしょうか。現時点でもその通りなのですが、夢や期待だけでなく、従来とは少し違う一種の不安や恐怖感さえも内包しているように感じます。

 ITはいくつものイノベーションを重ねてきました。それにより人々の暮らしや産業も大きく変わってきました。政策におけるITの重要度も増してきました。2015年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2015(内閣府)では、「新時代への挑戦を加速する(「第四次産業革命」)」として「IoT・ビッグデータ・人工知能時代への産業構造・就業構造改革」と、生々しいIT用語を挙げ、これらが「ビジネスや社会の在り方そのものを根底から揺るがす」と予見し、対応について述べています。

 半世紀以上にわたって脈々と続けられてきた人工知能の研究開発、4半世紀前から次々に登場したIoT, Cyber-Physical Systems などのコンセプト、ここ数年急速に実用化が進んできたCloud Computingやビッグデータ処理などさまざまの情報処理技術の進化は、ビジネスや社会の在り方そのものを根底から変革するでしょう。つい数年前まで夢でしかなかった一般道路での自動運転、チェスより格段に難しい将棋や碁のトップ棋士に勝てるコンピュータ、音楽や文学、絵画など芸術の世界に進出する人工知能などをみると、ビジネスや社会の在り方にとどまらず、人間の在り方についても考え直す時期に来ているように感じます。

 2020年に情報処理学会は創立60周年を迎えます。2020年は東京オリンピック・パラリンピックも開催され、ITの活躍が期待されています。「平成26年度監事監査報告ならびに付帯意見」では、「2020年を学会のさらなる活性化・改革のメルクマールと定め、2016年から2020年までの学会5カ年計画を策定し、その長期計画のもとに継続性のある学会改革を進めることも一つの方法と考えます。」と意見を述べさせていただきました。そして理事会では長期戦略理事を中心に、会員が共有できる長期ビジョンと2020年までの5カ年計画の立案を進めています。

 情報処理学会は、会員のための組織であると同時に、社会の公器です。情報処理技術の急速な進化により期待と不安が入り交じる激しい変化の中にあって、会員の意志と活動により、社会の発展に寄与し未来への道標(みちしるべ)となる学会であってほしいと考えます。そこに情報処理学会会員であることの誇りと使命があるのだと思います。

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