2015年02月02日版

「異論争論 ─ 講義中のツィートを認めるか?

菊池 浩明(調査研究担当理事)

 大学生になって嬉しかったことの1つは、着るものも自由、教室の席も自由、講義を受けるのもサボるのも自由という、自由な空気だった。高校や予備校では禁じられていたノートPCやスマホの利用も自由である。なので、新入生が自分のノートPCやタブレット端末を教室で広げたくなる気持ちはよく分かる。 ましてや、私の学科は情報系。ノートに鉛筆を走らせるよりも素早くタイプできる学生にとって、ノートPCはすでに筆記用具の1つである。教員にもSNSやツィートの利用者も多く、その便利さと楽しさを理解しているので、授業中にツィートすることも認めている。

 確かにツィートの解析サービスは旬な話題を的確に表してくれて、トレンドがよく分かる。イベントの広報や即時性のあるニュースの宣伝にもってこいで、本学会の事務局長も上手に学会からの情報発信に活用している。授業中に学んだことを直ぐに確認してみたり、ログにして後から思い出すのに使ったり、不明な点を他の人と情報交換するのにも有効なことだろう。これからの時代、IT教材の活用や反転授業、ツィート講義など新しいメディアを活用しないと遅れてしまうよ。

 しかしながら、どうも授業そっちのけで、フリックに夢中になっている子が多い(君のことだよ)。指使いが違うから、ゲームをしているわけではなさそうだけれど、講義が始まった瞬間から長時間にわたって続けているのでどうも気になる。教員の務めとして、教室は学問をする空気を保たなくてはなるまい。少なくとも、授業中は講義に集中するべきである。そこの君、私の話を聞いているかね、PCを止めて答えなさい。

 「今教えてもらったキーワードをググっていました。」

 なるほど優等生の回答だ。でも、なんでもネットに頼らないで、質問があれば手を挙げて先生に聞いてみたらどうかね。

 「大丈夫です。私の質問で講義を中断させては申し訳ないです。」

 何が大丈夫なのかよく分からないけど、お心遣いをどうもありがとう。お行儀がよく、和を重んじる日本人的な姿勢がしっかり身についている。おしゃべりして他の人に迷惑をかけているわけではないでしょう。しかし、先生は質問されることが好きな人種なのである。ケンブリッジ白熱教室とまでいかなくてもいいけど、その忌々しいスマートフォンから顔を上げて、多少的外れでも疑問に思ったものをどんどん質問してほしいものだ。

 一度試しに禁じてみた。

 PCを閉じて、疑問があれば手を上げなさい。ローカルなコミュニケーションはしないで、意見があればみんなで議論しよう。しかし、白熱教室はおろか、教員が話し続ける一方的な講義になってしまい、はなはだ評判が悪かった。禁断症状が出て、こっそり隠れてツィートしていたものもいるらしい。これでは、国際的に情報発信できる人材育成なんて夢のまた夢だ。

 でも、消極的な学生が悪いのだろうか。講義をする側には問題はないだろうか。学生が授業中にツィートや動画を観ているのは、教授の話がくだらないか、難しくて分からなくて退屈だから。

 授業の内容を、先生の冗談まで含めて、たんたんと実況中継、いわゆる、「ツダる」学生がいる。こうしておくと、講義を休んでいても内容が分かってレポートを書ける。ツィートの利点を上手に活かしている。しかし、ツィートを追っているだけで、中身が分かってしまうような薄い講義になっているのではないかと気になる。

 さて、教壇に立つ機会のある会員諸兄、みなさんの講義ではPCの利用を認めていますか? 情報処理の活用を推進する本学会の理念にのっとり、教室でのPCやツィートの利用を導入しますか? そして、ツィートされて済むようなつまらない講義をしていませんか?

 学生会員の諸君、授業中にツィートできると楽しいですか? もっと多くの大学でツィートを認めてもらうべきだと思いますか?

 「先生、もうツィートの時代じゃないでしょ。これからはインスタグラムですよ。」

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