2026年07月02日版:⾚澤 紀⼦(教育担当理事)

  • シェアする
  • ポスト
  • noteで書く
  • LINEで送る
  • 2026年07月02日版

    ジュニア会員制度と中高生情報学研究コンテストの歩みと未来

    ⾚澤 紀⼦教育担当理事)

     みなさまが本会に入会されたきっかけは、どのようなものでしたでしょうか。私自身のことを振り返りますと、大学院生のころに研究室の先生から勧められて入会したのが始まりでした。当時、憧れであった研究室の先生方や、第一線で活躍される先輩方に一歩近づけたような、何とも言えない高揚感と嬉しさを覚えた記憶は、今でも鮮明に残っています。

     それから年月が経ち、現在、情報学を取り巻く環境は大きく変化しています。とりわけ、次世代を担う子どもたちへのアプローチとして、本会が2015年度から開始した「ジュニア会員制度」は、学会の未来を支える重要な柱の一つになりつつあると思っています。


    拡充を続けるジュニア会員制度

     本会のジュニア会員制度は、おもに小学生から大学3年生までを対象としています。2026年3月現在、会員数は3,550名に達しました。非常に幅広い年齢層の若者たちが本会に集ってくれています。

     ジュニア会員の特典として、電子版学会誌や論文誌、研究会報告の無料購読、さらには学会イベントへの無料またはジュニア会員価格での参加など、早くから最先端の情報学に触れられる環境を提供しています1)。そして、中高生が日頃の探究成果を発揮する舞台の一つに「中高生情報学研究コンテスト」があります。


    雑談から始まった、探究発表の場

     じつは、このコンテストが誕生した背景には、ちょっとした「雑談」がありました。2018年の初頭、中山泰一先生(現・監事☆1)とお話しする機会があり、「情報処理学会の全国大会に、中高生が探究活動の成果を発表する場は設けられていないのですか?」と、アイデアベースでご相談させていただいたのです。

     すると、中山先生をはじめとする先生方の大変な熱意により、なんと翌2019年3月の全国大会において、第1回「中高生情報学研究コンテスト」が実現することとなりました2)。以降、参加チーム数は回を重ねるごとに右肩上がりで増えており、今年2026年3月に開催された第8回コンテストでは、じつに152件もの熱意あふれる作品が寄せられるまでに至りました。一歩を踏み出すきっかけを作らせていただいた身として、これほど大きな規模に成長したことに私自身が一番驚き、深い感銘を受けています。

    ☆1 本記事掲載時点.


    教育改革の波と、情報学への期待

     現在、我が国の初等・中等教育における情報教育は歴史的な転換期を迎えています。高等学校では2003年度に教科「情報」が設置されましたが、さらに一歩進んで、2022年度からは情報の科学的な理解に重きを置いた「情報Ⅰ」が必履修科目となりました。また、2025年度からは大学入学共通テストに「情報」が追加されています。

     同時に、高等学校では「総合的な探究の時間」をはじめとする探究活動にも重きが置かれており、情報学と探究活動の双方にまたがる「中高生情報学研究コンテスト」は多方面から注目を集めています。今後、さらに多くの中高生にとって、自らの研究成果を社会に発信する貴重な場になっていくと思っています。


    コンテスト会場で見つめる、頼もしい未来

     自ら問いを立て、研究を重ね、発表の準備をして本番に挑んだ生徒さんたちがコンテスト会場にて、目を輝かせ発表する姿や、来場の研究者の皆さんや他校の生徒さんと語り合う姿は、とても頼もしいものでした。彼らの熱気溢れる姿を見ていると、情報学の未来は本当に明るいと確信させられます。


    会員のみなさまへのお願い

     本会会誌『情報処理』67巻8月号(2026年7月15日発行)の「ぺた語義」には、2026年3月の全国大会で開催された第8回中高生情報学研究コンテストの報告記事がございますので、ぜひご覧になってください。

     また、今年度の全国大会(名城大学)においても第9回情報学研究コンテストが開催されます3)。中高生の皆様にはコンテストにて日頃の研究の成果をご発表いただくとともに、会員の皆様にはご来場いただき、ぜひ彼らの熱意ある発表に触れ、意見交換を行っていただけると幸いです。皆様からいただく温かいアドバイスや第一線のプロとしての視点は、中高生にとって何よりの励みとなり、次なる探究への原動力になります。

     本会のジュニア会員制度が、将来、情報社会を牽引する人材の育成や、情報通信技術に理解を持つ人々が増えることに貢献できることを願っています。会員の皆様におかれましても、引き続きのご支援とご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。


    1)情報処理学会 ジュニア会員のページ:https://www.ipsj.or.jp/junior/index.html
    2)中山泰一:中高生ポスターセッションの報告 ─企画と概要─、情報処理、Vol.60、No.7、pp.660-662(2019)。
       http://id.nii.ac.jp/1001/00197662/
    3)情報処学会 中高生情報学研究コンテスト:https://www.ipsj.or.jp/event/event_chukousei.html
     

  • シェアする
  • ポスト
  • noteで書く
  • LINEで送る