特集論文募集

61号「生成AIの実社会への導入と乗り越えるべき壁」論⽂募集

論文誌デジタルプラクティス編集委員会

 

経済社会環境が大きく変化する現代において,企業や団体が生産性や付加価値の向上等を通じて大きなビジネス機会を引き出すとともに,さまざまな社会課題の解決に資する技術として生成AIに大きな期待が寄せられている. これまでのAI技術においては,AIの研究者,開発者,技術者を中心にその研究や実装,ユースケース検討が進んできたが,生成AI,特に大規模言語モデル(LLM)は経営層から利用者まで,多くの人々がAIが持つ可能性を感じられる技術であり,AI技術が社会への受容・導入が進む動因となった. 企業による調査*1によると90%近くのCEOが生成AIを自社の投資に組み入れており,また別の調査*2では今後,日本の労働人口の70%がAIの影響を受けると予測されている.

生成AIが社会に浸透することで企業や団体の価値創造,社会課題の解決と付加価値の創出を実現してゆくためには,現在の生成AI活用検討の中心である事務や法務など決まったルールや過去の事例に基づく業務だけではなく,新たなユースケースやアプリケーションの登場が期待されている.生成AIの「創造的」な能力をAIの新しい可能性として捉えた場合,その可能性はさらに広がる.

一方で企業や政府,団体の中における生成AIの導入では,ハルシネーションなどの誤回答リスク,個人情報や機密情報の漏洩リスク,著作権侵害の訴訟リスク,不公平や差別などの学習データの偏見リスクなども指摘されるようになっており,生成AIの可能性や未来について,必ずしも楽観的な予測だけではなくなっているのも事実である.生成AIの導入・運用に伴い,今まで検討されてきた課題がより大きくなったり,新しい課題が顕在化してきていることが想像され,前述のような懸念やリスクを解消するためのメソッドやノウハウの共有は重要になると考える.

そこで,本特集では生成AIの実践活用について,特に生成AIの導入事例や,導入・運用に際して直面した課題,その解決方法に関する論文を幅広く募集する.

以下は,具体的なトピックの例であるが,上記の範疇で,その他のトピックも歓迎する.

  • 従来のAIと比較して,生成AIを導入・運用することで,より大きくなった課題や,顕在化した新しい課題,そしてそれらへの対応に関する知見.
  • 生成AIを業務に利用し,業務効率化につなげた知見.
  • 生成AIを業務に利用し,その際のリスクを適切に管理し,競争力強化につなげた知見.
  • 生成AIを導入する際の,社内部門間・社外関係者との調整,法律・規制の遵守に関する経験・知見.
  • 生成AIやオープンソースを利用しながら,その性能・リスクを評価・管理した知見.
  • 基盤モデル・生成AIを構築し,業務に活用した事例,およびその際の課題に関する知見.
  • 機密性の高いデータを,生成AIの構築や,生成AIでの処理に利用した事例,およびその際の配慮に関する知見.
  • AI人材の育成,または生成 AI を適切に使うためのスキル取得に関する知見.

*1 : EY Japan : The CEO Outlook Pulse survey July 2023, https://www.ey.com/ja_jp/news/2023/09/ey-japan-news-release-2023-09-22 (2023)
*2 : Access Partnership : 生成AIの経済的影響:日本の働き方の未来,p.18, https://accesspartnership.com/the-economic-impact-of-generative-ai-the-future-of-work-in-japan/ (2023)

投稿要領

(1) 論文の執筆要領
論文執筆にあたっては、 「論文誌デジタルプラクティス」原稿執筆案内をご一読のうえ、 「論文誌デジタルプラクティス」原稿テンプレートによりご投稿ください。提出の際は、投稿者チェックリストをチェックし、原稿と合わせて提出ください。原稿は電子メールでデジタルプラクティス担当(tdp@ipsj.or.jp)宛てにSubjectに特集名を記載して送信してください。

(2) 投稿締切: 2024年5⽉13⽇(月) 9:00

(3) 掲載特集号:2025年1月号 (Vol.6 No.1)

(4)特集ゲストエディタ:倉⽥ 岳⼈(IBM東京基礎研究所)

編集委員⻑:倉⽥ 岳⼈ (IBM東京基礎研究所)、佐藤 聡(筑波大学)

副編集委員⻑:坂下 秀(アクタスソフトウェア)、藤瀬哲朗(三菱総合研究所)

編集委員:斎藤彰宏(日本IBM)、青木学聡(名古屋大学)、荒木 拓也(日本電気(株))、
飯村 結香子(NTTソフトウェアイノベーションセンタ)、石井一夫(公立諏訪東京理科大学)、今原修一郎((株)東芝)、
岩倉友哉(富士通(株))、江谷典子(ANA)、鬼塚 真(大阪大学)、小野田弘士(早稲田大学)、
鎌田真由美(日本マイクロソフト(株))、上條浩一(東京国際工科専門職大学)、佐藤裕一(富士通(株))、
坂下幸徳(ゼットラボ(株))、澤邉知子(日本大学)、立床雅司(三菱電機(株))、
土屋英亮(電気通信大学 情報基盤センター(UEC-CSIRT兼務))、戸田貴久(電気通信大学)、長坂健治(キンドリルジャパン)、
西尾直也((株)日立製作所)、新田 清(ヤフー(株))、服部雅一((株)東芝)、濱崎雅弘(産業技術総合研究所)、
平井千秋((株)日立製作所)、平山 毅(日本IBM)、福原知宏(マルティスープ(株))、藤原一毅(国立情報学研究所)、
藤原真二((株)日立製作所)、細野 繁(東京工科大学)、水田秀行(日本IBM)、三宅悠介(GMOペパボ(株))、
宮下健輔(京都女子大学)、山口大輔(NTT ソフトウェアイノベーションセンタ)、横井直明((株)日立製作所)、
横山和秀(日本IBM)、吉野松樹((株)CIJ)、除補由紀子(NTT ソフトウェアイノベーションセンタ)
(論文募集公開時点(2023年11月))