電子情報通信学会情報・システムソサイエティ,ヒューマンコミュニケーショングループおよび情報処理学会が共同開催する情報科学技術フォーラム(FIT: Forum on Information Technology)は,2002年に創設され今回が第11回となる日本の情報科学分野最大の学会大会である.査読採択論文は各分野の講演論文集に収録されている.
FIT2012では,本フォーラムで最も特徴となるFIT査読付き論文について,情報分野のより一層の活性化を目指すべく,前回と同様の「コンファレンスペーパー」としての査読に加えて,優秀な論文をFITとして電子情報通信学会または情報処理学会の論文誌へ推薦する「論文誌推薦制度」を継続した.査読はこれまでと同様,各分野に分野責任者を置き,各研究会から推薦された担当委員と協力して,それぞれの分野および研究会で独立に論文査読を行った.
以上の過程を踏まえて,6月11日に査読会議を開催し,採択論文の決定,船井ベストペーパー賞・FIT論文賞候補論文の決定,論文誌への推薦論文候補を決定し,それに引き続きプログラム編成会議でFIT2012プログラムを策定した.論文査読を行った各分野の投稿数,採択件数,採択率は次の通りである.
分野 | 投稿数 | 採択件数 | 採択率 | |
---|---|---|---|---|
A | モデル・アルゴリズム・プログラミング | 11 | 4 | 36.4% |
B | ソフトウェア | - | - | - |
C | ハードウェア・アーキテクチャ | 7 | 5 | 71.4% |
D | データベース | 4 | 2 | 50.0% |
E | 自然言語・音声・音楽 | 5 | 2 | 40.0% |
F | 人工知能・ゲーム | 12 | 6 | 50.0% |
G | 生体情報科学 | 1 | 1 | 100.0% |
H | 画像認識・メディア理解 | - | - | - |
I | グラフィクス・画像 | 13 | 1 | 7.7% |
J | ヒューマンコミュニケーション&インタラクション | 17 | 8 | 47.1% |
K | 教育工学・福祉工学・マルチメディア応用 | 22 | 11 | 50.0% |
L | ネットワーク・セキュリティ | 4 | 2 | 50.0% |
M | ユビキタス・モバイルコンピューティング | 3 | 2 | 66.7% |
N | 教育・人文科学 | 4 | 2 | 50.0% |
O | 情報システム | 13 | 9 | 69.2% |
合計 | 116 | 55 | 47.4% |
以下の6編は,FIT2012学術賞選定委員会が候補論文の中から所定の選定手続きを経て選んだ船井ベストペーパー賞3編・FIT論文賞3編である.
・RC-005 | ポリフェーズ・フィルタ・バンクを用いた基数2kFFTに関して: 電波望遠鏡用分光器への適用 ◎中原 啓貴・中西 裕之(鹿児島大学)・笹尾 勤(九州工業大学) |
・RJ-008 | 折り返し翻訳は本当に役に立たないのか? ~人間の観点からみた折り返し翻訳の妥当性評価~ ◎宮部 真衣(東京大学)・吉野 孝(和歌山大学) |
・RK-007 | 影を利用したポインティングシステムの開発 ○土江田 織枝(釧路工業高等専門学校)・財原 ちひろ(SEIKO EPSON)・林 裕樹(釧路工業高等専門学校)・宮尾 秀俊(信州大学) |
・RA-001 | Two Compact Codes for Rectangular Drawings with Degree Four Vertices ◎斎藤 雅士・中野 眞一(群馬大学) |
・RF-005 | ポピュレーションコーディングを適用したSpikePropネットワークの耐ノイズ性の向上 ◎新 友太・高瀬 治彦・川中 普晴・鶴岡 信治(三重大学) |
・RI-001 | ウェーブレット多重解像度成分のレジストレーションによるデジタルシネマから超高精細映像への空間超解像法の検討 ○松尾 康孝(早稲田大学/NHK)・岩崎 真也・山村 勇太・甲藤 二郎(早稲田大学) |
最後になったが,多忙の中,査読プロセスの運営および論文賞候補選考にご尽力頂いたFIT2012プログラム委員会およびFIT2012学術賞選定委員会の方々,限られた短期間で論文査読の責務を果たして頂いた査読者の方々に深く感謝する.
FIT2012プログラム委員会
FIT2012学術賞選定委員会
委員長 橋田 浩一