抄録
RJ-008
折り返し翻訳は本当に役に立たないのか?~人間の観点からみた折り返し翻訳の妥当性評価~
宮部真衣(東大)・吉野 孝(和歌山大)
機械翻訳を介したコミュニケーションでは,翻訳精度が低い場合,十分な相互理解ができない可能性が高い.現在,母語のみを用いて自分の発言がどのように伝わっているのかを把握するための手法として,折り返し翻訳が用いられている.しかし,対象言語翻訳と折り返し翻訳の精度不一致が頻繁に発生する場合,折り返し翻訳を精度確認手法として用いることは適切でない.本論文では,人間による精度確認手法としての折り返し翻訳文の妥当性について検証した.翻訳精度の評価実験を行い,人間による翻訳精度の評価結果の差異に基づき,精度不一致の許容範囲を定義し,許容範囲の拡張に伴う精度不一致発生率がどのように変化するかを明らかにした.