イベント企画
トップコンファレンス 6 教育学習支援とマルチメディア
8/27(金) 9:30-12:00
第4イベント会場(オンライン)
座長:西岡 千文(京都大学)
座長補佐:川村 正樹(山口大学)
9:30-9:50 講演(1) 【タイトル邦題】 ユーザ人気度を考慮したソーシャルネットワークで人気度を高めるタグ推薦
Xueting WANG(株式会社サイバーエージェント AI Lab リサーチサイエンティスト)
【原発表の書誌情報】 Wang X., Zhang Y., Yamasaki T., User-Aware Folk Popularity Rank: User-Popularity-Based Tag Recommendation That Can Enhance Social Popularity, Proc. of ACM International Conference on Multimedia (ACMMM), pp.1970-1978 (2019)
【概要】 本研究では,ソーシャルネットワークなどのコンテンツ共有サービスで,視聴回数のような人気度を高めるハッシュタグを推薦するアルゴリズムを提案した.これまで考慮されていないユーザの人気度とタグの使用傾向を考慮して,投稿コンテンツの人気度とタグとの共起関係も合わせて利用し,人気度への影響力に基づいてタグをスコアリングして推薦する.その効果を,実際のソーシャルネットワークにアップロードして人気度の変化を評価する実験を行うことで実証した.
【略歴】 2018年に名古屋大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了.2018年から東京大学大学院情報理工学系研究科で特任研究員,特任助教として,マルチメディア処理・ソーシャルネットワーク解析などの研究活動に従事.2021年にサイバーエージェント入社し,マルチメディアに関する研究に従事.
9:50-10:10 講演(2) 【タイトル邦題】 結託戦略推定によるバイナリTardos符号の準最適な検出器
栗林 稔(岡山大学 大学院自然科学研究科産業創成工学専攻 准教授)
【原発表の書誌情報】 T. Yasui, M. Kuribayashi, N. Funabiki, and I. Echizen: Near-optimal detector for binary Tardos code by estimating collusion strategy, IEEE Transactions on Information Forensics and Security, vol.15, pp.2069-2080, (2020)
【概要】 不正コピーから不正者を特定するために設計された電子指紋符号において,最適な検出器は実現が困難であると考えられていた.本研究では,符号語内のビットの偏りを解析することにより,結託攻撃の戦略と不正に関わったユーザ数を高精度で推定する手法を提案し,最適な検出器に極めて近い性能を示す検出器の実現方法を紹介する.
【略歴】 2004年神戸大学大学院自然科学研究科にて博士(工学)を取得.神戸大学工学部助手,神戸大学大学院自然科学研究科助教を経て,2015年より岡山大学大学院自然科学研究科准教授.2014年度IEEE関西支部Young Professional Award受賞
10:10-10:30 講演(3) 【タイトル邦題】 秘密分散の最適性について
吉田 真紀(情報通信研究機構 )
【原発表の書誌情報】 Maki Yoshida, Toru Fujiwara, Marc P. C. Fossorier: Optimal Uniform Secret Sharing, IEEE Transactions on Information Theory 65(1), pp.436-443 (2019). Maki Yoshida, Satoshi Obana: Verifiably Multiplicative Secret Sharing, IEEE Transactions on Information Theory 65(5), pp.3233-3245 (2019).
【概要】 秘密分散とは秘密を複数の情報 (シェア) に分散し,あらかじめ許可されたシェア集合から秘密を復元する暗号技術であり,データの安全な利活用に応用されている.
本研究では秘密分散における重要課題である,シェアサイズの最適化と,シェア上の計算結果の検証における結託耐性の最適化を達成している.
【略歴】 2001年大阪大学大学院基礎工学研究科情報数理系専攻博士課程修了.博士(工学).2001年より大阪大学基礎工学研究科助手および同大学情報科学研究科助教を経て,2013年より情報通信研究機構主任研究員,現在に至る.情報セキュリティの研究に従事.IIH-MSP 2008 Best paper award, 2008年SITA奨励賞, 電子情報通信学会第67回 (平成22年度) 論文賞などを受賞.
10:30-10:50 講演(4) 【タイトル邦題】 情報系カリキュラムの視覚的理解に向けて
高田 眞吾(慶應義塾大学 理工学部情報工学科 教授)
【原発表の書誌情報】 Takada, S., Cuadros-Vargas, E., Impagliazzo, J., Gordon, S., Marshall, L., Topi, H., van der Veer, G., and Waguespack, L.: Toward the visual understanding of computing curricula, Education and Information Technologies, Vol. 25, pp.4231-4270 (2020).
【概要】 情報系の教育分野の中には,計算機科学やソフトウェア工学など個別の分野がある.
これらの分野の理解や比較は,情報系の専門家であっても,難しいことである.
本論文は,理解・比較のために視覚化に着目し,視覚化に必要なデータ取得の可能性と,
個別分野のカリキュラムを視覚化により探究する例を示している.
【略歴】 1995年慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了.
博士(工学).同年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助手.
1999年より慶應義塾大学理工学部情報工学科専任講師,
現在,同大学教授.主にソフトウェア工学の研究に従事.
現在,IPSJ情報処理教育委員会や情報システム教育委員会の各委員.
IPSJ, IEICE, JSSST,ACM,IEEE CS 各会員.
10:50-11:10 講演(5) 【タイトル邦題】 知識構築の対話における学習者のアイディアと概念的アーティファクトの分析
大島 純(静岡大学 大学院総合科学技術研究科 教授)
【原発表の書誌情報】 Oshima, J., Oshima, R., & Saruwatari, S. (2020). Analysis of students’ ideas and conceptual artifacts in knowledge‐building discourse. British Journal of Educational Technology, 51(4), 1308-1321.
【概要】 本研究では、学習者の知識構築対話を評価するための新しい方法論を提案する.まず,学習における知識創造のメタファーについて議論する.このメタファーでは,学習者が協調的対話の結果として具現化した集合知の対象や成果物を考慮すべきであると言及している.第二に,学習者の学習を評価するための新しい分析法を開発する必要性を論じる.特に,学習者のアイデアとその概念的アーティファクトを対話分析でどのように調べることができるかの分析方法を説明する.第三に,実際の対話データに我々の分析法を適用して実証的な結果を提示する.そこでは,学習者がどのようにして自分のアイデアを継続的に改善していくかを調べるために,新しいタイプの対話のソーシャルネットワーク分析を行った.さらに,Epistemic Network Analysisと呼ばれる別のネットワーク分析を用いて,学生のエピステミックな行動を概念的アーティファクトとしてコーディングすることで,もう一つのネットワーク分析を行った.
【略歴】 1995年,トロント大学大学院教育学研究科博士課程を修了(Ph.D.).トロント大学オンタリオ教育研究所での博士研究員を経て,1996年より静岡大学教育学部助教授.その後,2006年より同大情報学部教授,2015年より現職.
11:10-11:30 講演(6) 【タイトル邦題】 電子テキストからグラフィックオーガナイザーを作成することで議論型のリーディング&ライティングを支援するソフトウェアの開発
望月 俊男(専修大学 ネットワーク情報学部 准教授)
【原発表の書誌情報】 Mochizuki, T., Nishimori, T., Tsubakimoto, M., Oura, H., Sato, T., Johannson, H., Nakahara, J., & Yamauchi, Y. (2019). Development of software to support argumentative reading and writing by means of creating a graphic organizer from an electronic text. Educational Technology Research and Development, 67(5), 1197–1230.
【概要】 小論文を書く際に読者が文章に基づき知識マップを作成し、既有知識を使ったり文章中の構成要素を用いて、新しい情報として自分の意見を知識マップ上で構築する、議論型の読み書きを支援するソフトウェアを開発した。大学1・2年生を対象に評価した結果、より論述型の小論文を作成できることがわかった。さらに、知識マップを描くことで、文章の論旨を捉えることができ、知識マップ上で自分の考えと文章の論旨を結びつけることで、より建設的なエッセイを書くことができることがわかった。
【略歴】 2004年総合研究大学院大学文化科学研究科メディア社会文化専攻博士後期課程修了.博士(学術).神戸大学学術情報基盤センター助手,東京大学大学総合教育研究センターマイクロソフト先進教育環境寄附研究部門特任准教授を経て,現在,専修大学ネットワーク情報学部准教授.専門分野は,協調学習支援システム(CSCL),認識的認知(epistemic cognition)など.国際学習科学学会(ISLS),米国教育学会(AERA),欧州教授学習学会(EARLI),日本教育工学会,教育情報システム学会,日本認知科学会,日本科学教育学会,日本教育心理学会各会員.
11:30-11:50 講演(7) 【タイトル邦題】 非負値行列分解を用いて隠れた閲覧パタンを発見するための教育データマイニング
毛利 考佑(広島市立大学 )
【原発表の書誌情報】 Kousuke Mouri, Fumiya Suzuki, Atsushi Shimada, Noriko Uosaki, Chengjiu Yin, Keiichi Kaneko and Hiroaki Ogata, Educational Big Data Mining of Hidden Browsing Patterns using Non-Negative Matrix Factorization, Journal of Interactive Learning Environment, 1-13 (2019).
【概要】 本研究では、学習者がデジタル教科書のどのページのどの箇所を閲覧しているかのログを収集するために、スクラッチと呼ばれる機能を有したデジタル教科書システムを研究開発した。その提案したスクラッチ機能を使用することで、閲覧パタンが複雑化される問題点があるが、本研究では非負値行列分解を用いることで、学生の閲覧パタンを分析し、発見した閲覧パタンと成績との関係性の考察を行なった。
【略歴】 2014年、徳島大学大学院博士前期課程修了。2016年、九州大学大学院後期課程 早期修了、博士(工学)。2017年、東京農工大学工学研究院助教。2020年、京都大学学術情報メディアセンター講師。2021年、4月より広島市立大学情報科学研究科准教授、現在に至る。モバイル・ユビキタス学習、教育データマイニング、ラーニングアナリティクス等に関する研究に従事。ICCE 2014 Best Student Paper Award (2014)、GCCCE 2019 Best Teacher Forum Paper Award (2019)、IIAI 2019 Best Poster Award (2019)などを受賞。