イベント企画
トップコンファレンス 4-1 コンピューティングとアーキテクチャ
8/26(木) 9:30-12:00
第3イベント会場(オンライン)
座長:平澤 将一(国立情報学研究所)
座長補佐:鯉渕 道紘(国立情報学研究所)
9:30-9:50 講演(1) 【タイトル邦題】 GPUでハフマン符号を高速化するためのギャップ配列
中野 浩嗣(広島大学 先進理工系科学研究科 教授)
【原発表の書誌情報】 Naoya Yamamoto, Koji Nakano, Yasuaki Ito, Daisuke Takafuji, Akihiko Kasagi, Tsuguchika Tabaru: Huffman Coding with Gap Arrays for GPU Acceleration. ICPP 2020
【概要】 可逆圧縮手法として幅広く組み込まれているハフマン符号は,符号化の処理の並列化は容易であるが,復号化の処理の並列化困難である.並列化を容易にするギャップ配列を提案し,GPUで性能評価を行った.
【略歴】 1992年3月大阪大学 基礎工学研究科修了.博士(工学).日立製作所 基礎研究所,名古屋工業大学,北陸先端科学技術大学院大学を経て,2003年4月より広島大学教授.並列分散処理,GPUコンピューティング,FPGAコンピューティング,機械学習等の研究に従事.
9:50-10:10 講演(2) 【タイトル邦題】 複数GPUによる組合せ最適化問題QUBOの新解法アダプティブ・バルク・サーチ
安戸 僚汰(広島大学 大学院先進理工系科学研究科コンピュータシステム研究室 特任助教)
【原発表の書誌情報】 Ryota Yasudo, Koji Nakano, Yasuaki Ito, Masaru Tatekawa, Ryota Katsuki, Takashi Yazane, and Yoko Inaba, "Adaptive Bulk Search: Solving Quadratic Unconstrained Binary Optimization Problems on Multiple GPUs", Proc. of the International Conference on Parallel Processing (ICPP), August 2020.
【概要】 二次無制約二値最適化(QUBO)はイジングモデルの基底状態を求める問題と相互に変換できる問題で,近年量子アニーリングとともに注目を浴びている。本論文ではその新しい解法として,遺伝的アルゴリズムと二つの局所探索法(直進探索と循環最小探索)を組み合わせた効率的なアルゴリズムを提案し,複数GPUによる並列度の高い実装方式を示した。CUDAによるGPUのアーキテクチャを活かして計算性能を最大限に引き出した設計により,NVIDIA RTX2080Ti GPUを4基搭載したシステムで1秒間に1兆を超える解を探索する計算速度を達成した。本手法は,GPUの台数を増やすごとに線形的に性能が向上するという意味でスケーラブルである。
【略歴】 平成26年慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業。平成31年同大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了。博士(工学)。同年より,広島大学特任助教。計算機アーキテクチャ(特に結合網),FPGA/GPUを活かした計算手法に関する研究に従事。
10:10-10:30 講演(3) 【タイトル邦題】 CCBenchを用いたインメモリデータベース向け並行性制御プロトコルの分析
川島 英之(慶應義塾大学環境情報学部 )
【原発表の書誌情報】 Takayuki Tanabe, Takashi Hoshino, Hideyuki Kawashima, and Osamu Tatebe. 2020. An analysis of concurrency control protocols for in-memory databases with CCBench. Proc. VLDB Endow. 13, 13 (September 2020), 3531–3544. DOI:https://doi.org/10.14778/3424573.3424575
【概要】 本研究では224スレッド状況において近代的な並行性制御法(Silo, TicToc, MOCC, Cicada, SI, SI with latch-free SSN, 2PL)を分析するために、新しい分析システムCCBenchを開発した。CCBenchを用いて分析を行った結果、これらプロトコルの性能要因は、中央カウンタ、リトライ遅延、バージョン管理であることを突き止めた。
【略歴】 1999年,慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業.
2005年,同大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻後期博士課程 修了.
同年,慶應義塾大学理工学部助手.
2007年,筑波大学大学院システム情報工学研究科講師,並びに計算科学研究センター講師.
2016年,筑波大学計算科学研究センター准教授.
2018年,慶應義塾大学環境情報学部准教授.
博士(工学).データ基盤に興味を持つ.情報処理学会,電子情報通信学会,ACM,IEEE,各会員.
10:30-10:50 講演(4) 【タイトル邦題】 コストを意識したリレーショナルデータベース向けストレージエンジン
今村 智史(富士通株式会社 ICTシステム研究所 )
【原発表の書誌情報】 L. Vogel, A. van Renen, S. Imamura, V. Leis, T. Neumann, A. Kemper, "Mosaic: A Budget-Conscious Storage Engine for Relational Database Systems", Proceedings of the VLDB Endowment (VLDB 2020), Vol. 13, No. 11, pp. 2662-2657.
【概要】 性能やコストが異なる複数のストレージデバイスを単一階層にて管理し、細粒度なデータ配置自動最適化を行うRDB向けのストレージエンジンを提案する。本技術によりコスト制約下におけるI/O性能向上が可能である。
【略歴】 2017年九州大学システム情報科学府にて博士(工学)取得。2016年九州大学マス・フォア・インダストリ研究所にて大規模グラフ処理の研究に従事。2017年より株式会社富士通研究所にてメモリおよびストレージに関するシステムソフトウェアの研究開発に従事。2012年情報処理学会若手賞、2014年情報処理学会山下記念賞受賞。
10:50-11:10 講演(5) 【タイトル邦題】 水没コンピュータボードの研究
鯉渕 道紘(国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 准教授)
【原発表の書誌情報】 M. Koibuchi, I. Fujiwara, N. Niwa, T. Totoki, S. Hirasawa, The Case for Water-Immersion Computer Boards. Proc. of International Conference on Parallel Processing (ICPP), 29:1-29:10, Aug. 2019
【概要】 消費電力の大きいプロセッサは、温度制約により動作周波数が制限されうるため、
効率的な放熱技術が必要となる。水は熱伝達率が高い利点を持つ。そこで、本研究では水によるコンピュータボードへの直接冷却技術を提案し、試作等により有効性を提示する。
【略歴】 2003年慶大大学院理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。2009年より国立情報学研究所准教授。相互結合網と計算機システムの研究に従事。情報処理学会論文賞(2008年)、電子情報通信学会論文賞(2016年)、日本学士院学術奨励賞、日本学術振興会賞(2021年)など各受賞。