イベント企画
オープンサイエンスを支える研究データ基盤 ~デジタルプラクティスライブ~
8/25(水) 15:30-17:30
第3イベント会場(オンライン)
【セッション概要】 オープンサイエンスを実践するには、研究者が創り出したデータを安心して蓄積・公開し、別の研究者が容易に検索・利用できるデータ流通基盤の存在が不可欠です。今後、より多様な研究分野において、より学際的なデータ流通を促進するためには、既存のデータ流通基盤を整備・運営するなかで培われた技術的・組織的なノウハウを共有し、基盤整備に携わる人材を広めていかなければなりません。本イベントでは、デジタルプラクティス46号「オープンサイエンスを支える研究データ基盤」特集号の論文著者とゲストエディタを迎えて、インフラ運営の理想と現実を語っていただくとともに、インフラに携わる人材育成のあり方を討論します。
15:30-15:35 司会
藤原 一毅(国立情報学研究所 オープンサイエンス基盤研究センター 特任准教授)
【略歴】2011年、総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻を修了。同年より、国立 情報学研究所アーキテクチャ科学研究系特任研究員として計算機ネットワークを 研究。2016年より、情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所 データ駆動知能システム研究センター主任研究員として自然言語処理向け高性能 計算システムを設計。2018年より現職にてNII Research Data Cloudを構成する データ解析システムを開発している。博士(情報学)。情報処理学会、電子情報 通信学会 各会員。
15:35-16:00 講演(1) 情報学研究データリポジトリIDRにおける研究用データセット共同利用の取り組み
大須賀 智子(国立情報学研究所 データセット共同利用研究開発センター 特任研究員)
【概要】 データサイエンス研究の進展には現実性のある十分な規模のデータが不可欠ですが,企業が保有するデータや顔画像が含まれるデータなど,情報学分野ではオープンにするのは難しいデータが多いのも実情です。我々は,このようなデータでも多くの研究者が共通に利用できるよう,産学界と大学等の研究者とをつなぐ窓口として「情報学研究データリポジトリ(IDR)」を運営しています。本講演では,IDRの活動を紹介するとともに,課題やそれに対する取り組み等を紹介します。
【略歴】 2006年千葉大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。2003年日本学術振興会特別研究員(DC1)。2006年より国立情報学研究所勤務。現在,データセット共同利用研究開発センター特任研究員。音声言語資源の構築・整備やデータセットの共同利用に関する事業に従事。
16:00-16:25 講演(2) 材料データプラットフォームDICEー研究データフローの構築と実践にみる課題
谷藤 幹子(物質・材料研究機構 材料データプラットフォームセンター センター長)
【概要】 データ駆動型の材料研究の進展を受けて,データ流通の基盤として材料データプラットフォームシステム(サービス名:DICE)の開発に2017年に着手し,2020年から所内運用を開始した.DICEはオープンサイエンスに応えるデータ基盤であると共に,データ駆動型研究の一つの手法であるマテリアル・インフォマティクスに利用する想定でデータを「つくる」「あつめる」「つかう」の3つを基本コンセプトとしている.そのためFAIR(Findable,Accessible,Interoperable,Reusable)なデータ流通基盤であることが必要である。さらに材料分野の場合は、データの質・量を担保し、安心を担保する必要があるため,FAIRに繋がる研究ワークフローの設計,構築も並行して実施した.所内運用2年目を迎えての課題を紹介する。
【略歴】 2005年物質・材料研究機構に入所,2017年より統合型材料開発・情報基盤部門 材料データプラットフォームセンター長, 材料データプラットフォームDICEの構築に携わる.応用物理学会会員.内閣府オープンサイエンスの推進に関する検討会委員
16:25-16:50 講演(3) データ駆動型農業に向けた研究データ基盤の構築
川村 隆浩(農業・食品産業技術総合研究機構 企画戦略本部 データマネジメント統括監)
【概要】 近年、研究データの有効活用による研究の加速化や共創的研究の促進を目的に、国研や大学では研究データ基盤の整備が進められている。そこで,農研機構では農研機構統合DB、およびそれと一体的に運用するAI計算用スーパーコンピュータを構築し、2020年より運用を開始した。統合DBでは、農業に関する様々な研究データ(ゲノムや品種、病害虫や環境に関する情報)にFAIR原則に基づく共通メタデータを付けてカタログ化する。一方、自然科学における複雑に絡み合ったデータ間の関係をグラフDBやRDBで記述し、統計分析や機械学習の適用を容易にする仕組みも提供している。また、これらデータカタログから機構内クラウドDB、データ解析用スパコン、さらにはビジネス向けサービスポータルとをパイプラインのように接続した構成としている。今後は、ゲノム解析から育種、生産、加工・流通に至るフードチェーン上のさまざまなシーンにおいてデータ駆動型農業研究を加速していきたい。
【略歴】 1994年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。2001年米国カーネギー・メロン大学ロボット工学研究所客員研究員。2003年電気通信大学大学院客員准教授。2007年より大阪大学大学院非常勤講師。2015年科学技術振興機構情報分析室主任調査員。2019年より農業・食品産業技術総合研究機構データマネジメント統括監。2020年より産業技術総合研究所人工知能研究センター招聘研究員。博士(工学)。人工知能学会理事、代議員、研究会主査などを歴任。主に非構造化データからの知識抽出とナレッジグラフ構築および分析・活用に従事。
16:50-17:30 パネル討論
村山 泰啓(情報通信研究機構 NICTナレッジハブ 研究統括・ナレッジハブ長(兼))
【略歴】 1993年京都大学大学院工学研究科博士課程修了,博士(工学).同年,郵政省通信総合研究所入所.アラスカ大学との北極域観測に関する日米国際共同研究などを経て,2011年国際科学会議世界データシステム事業国際事務局ホストを担当,その後内閣府「国際動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会」有識者委員,G7科学大臣会合オープンサイエンス部会共同議長,日本学術会議国際サイエンスデータ分科会委員長,日本地球惑星科学連合理事などを歴任.
16:50-17:30 パネル討論
林 和弘(文部科学省科学技術・学術政策研究所 データ解析政策研究室 室長)
【略歴】 東京大学大学院に在籍中の1995年ごろより取り組んだ日本化学会の英文誌の電子ジャーナル化と事業化をきっかけに、学術情報流通の変革を軸とした科学、社会、科学と社会の変容(オープンサイエンス)の調査研究と実践に取り組む。2012年から文部科学省科学技術・学術政策研究所(現)に着任。G7、ユネスコ、OECDや日本学術会議、内閣府等のオープンサイエンス専門委員を歴任しつつ、研究データ利活用協議会やJapan Open Science Summitの立ち上げ等の草の根活動にも取り組む。
16:50-17:30 パネル討論
梶田 将司(京都大学 情報環境機構 教授)
【略歴】 様々な学問分野の人々が多様な活動を行う大学を「研究フィールド」と位置づけ,大学における教育・学習活動や学術研究活動を情報技術により質的転換するための研究開発・実践活動を行うことを通じて,実際の社会生活を豊かにする新しい情報技術や利用技術の実現・普及を目指している.平成7年同大学院工学研究科情報工学専攻博士課程満了.平成14年同情報連携基盤センター助教授,平成23年10月京都大学情報環境機構IT企画室教授,現在に至る.情報処理学会,電子情報通信学会, IEEE,ACM 各会員.博士(工学).
16:50-17:30 パネル討論
大須賀 智子(国立情報学研究所 データセット共同利用研究開発センター 特任研究員)
【略歴】 2006年千葉大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。2003年日本学術振興会特別研究員(DC1)。2006年より国立情報学研究所勤務。現在,データセット共同利用研究開発センター特任研究員。音声言語資源の構築・整備やデータセットの共同利用に関する事業に従事。
16:50-17:30 パネル討論
谷藤 幹子(物質・材料研究機構 材料データプラットフォームセンター センター長)
【略歴】 2005年物質・材料研究機構に入所,2017年より統合型材料開発・情報基盤部門 材料データプラットフォームセンター長, 材料データプラットフォームDICEの構築に携わる.応用物理学会会員.内閣府オープンサイエンスの推進に関する検討会委員
16:50-17:30 パネル討論
川村 隆浩(農業・食品産業技術総合研究機構 企画戦略本部 データマネジメント統括監)
【略歴】 1994年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。2001年米国カーネギー・メロン大学ロボット工学研究所客員研究員。2003年電気通信大学大学院客員准教授。2007年より大阪大学大学院非常勤講師。2015年科学技術振興機構情報分析室主任調査員。2019年より農業・食品産業技術総合研究機構データマネジメント統括監。2020年より産業技術総合研究所人工知能研究センター招聘研究員。博士(工学)。人工知能学会理事、代議員、研究会主査などを歴任。主に非構造化データからの知識抽出とナレッジグラフ構築および分析・活用に従事。