イベント企画
大学入学共通テスト「情報」が目指すもの
8/26(木) 9:30-12:00
第1イベント会場(オンライン)
【セッション概要】 2021年3月24日、大学入試センターは2025年に実施する大学入学共通テストの教科・科目の再編案を公表しました。プログラミングや、データサイエンスに必要な統計処理、情報リテラシーの知識などを試す「情報」を導入し、国語や数学などと並ぶ基礎教科とする案となっています。
日本学術会議情報学委員会情報学教育分科会は、情報処理学会と連携して、2018年に「情報学の参照基準」、2020年に「情報教育課程の設計指針―初等教育から高等教育まで」を公表し、情報科目の教育の方針を示してきました。
我が国の学術及び産業の推進に重要な案件であり、日本学術会議情報学教育分科会、情報処理学会、電子情報通信学会が主催し、関連する学協会と連携して公開シンポジウムを開催し、議論を行います。
司会:稲葉 利江子(津田塾大学 学芸学部情報科学科 准教授)
【略歴】 津田塾大学学芸学部情報科学科准教授.博士(理学).異文化コミュニケーション,高等教育におけるICT利活用データの分析に関する研究に従事.情報処理学会では,情報入試委員会,セミナー推進委員会などの委員として活動.
9:30-9:35 開会挨拶
徳山 豪(関西学院大学工学部 教授)
【概要】 情報学の教育は全世界的に非常に重要であり、個人の将来のキャリアはもちろん、市民の情報リテラシー、さらには情報学の学識が未来への発展のための必須基盤です。日本学術会議では、情報学委員会及び情報学教育分科会において、情報処理学会をはじめとする学協会と協力し、「情報学の参照基準」を2018年に、「情報教育課程の設計指針―初等教育から高等教育まで」を2020年に公表し、情報科目の教育の方針と指針を示してきました。
それらの指針の実現には、初等教育における情報教育の強化が不可欠です。その方策の一つとして、産業界などからの強い要請をうけ、入試における情報科目の導入が検討されてきました。
この度、大学入試センターより2021年3月24日付で「平成30年告示高等学校学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について」が発表され、情報を出題科目としての実施が示され、試作問題も示されています。本シンポジウムでは、情報科目の入試への導入について紹介し、さらに対応した情報教育の具体的な実施策を議論したいと思います。
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【略歴】 1979年東京大学理学部数学科卒業、1985年東京大学理学系研究科数学専攻博士課程卒業、理学博士
1986年-1999年IBM東京基礎研究所研究員(内1992年―1993年IBM T.J. Watson研究所研究員),
1999年-2019年東北大学大学院情報科学研究科教授(現、名誉教授)2019年-現在関西学院大学工学部情報工学課程教授.
1992年情報処理学会研究賞、1997年情報処理学会ベストオーサー賞、2002年IBM科学賞、2005年船井情報科学振興賞、2010年情報処理学会フェロー、2012年電子情報通信学会フェロー、2021年情報処理学会CS領域貢献賞. 日本学術会議会員(2017-2023)、同情報学教育分科会委員長
9:35-9:50 講演(1) 新学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テスト(令和6年度実施分)の出題教科・科目について
前田 幸宣(文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室長)
【概要】 令和4年度に高等学校に入学する生徒から平成30年3月に告示した新学習指導要領が適用されることに伴い、令和6年度に実施される令和7年度大学入学共通テストについては、新学習指導要領に沿った出題教科・科目とする必要がある。
特に情報科において全ての生徒がプログラミングのほか、ネットワーク(情報セキュリティを含む)やデータベースの基礎等について学習する共通必履修科目「情報Ⅰ」が新設されたことから、当該科目を新たに大学入学共通テストの出題科目とするかについて文部科学省において検討している。(6月時点)
本講演では、令和6年度に実施される入学者選抜の出題科目について、「情報Ⅰ」の活用方策も含め、各大学において検討するための契機となるよう、「情報Ⅰ」の出題に関するこれまでの経緯や背景、講演時点での検討状況(検討結果)等を御説明させていただく。
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【略歴】 2001年文部科学省入省。徳島県教育委員会学校政策課長、文部科学省生涯学習政 策局政策課課長補佐、ユネスコ日本政府代表部一等書記官、文部科学省振興局振 興企画課学術企画室長を経て 2019年12月より文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室長。
9:50-10:05 講演(2) 大学入学共通テスト「情報」のサンプル問題について
水野 修治(大学入試センター 試験問題調査官)
【概要】 2021年3月24日,独立行政法人大学入試センターは,平成30年告示高等学校学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について,これまでの大学等及び高等学校関係団体からの意見も踏まえ,出題科目を,現在の6教科30科目から「情報」を含む7教科21科目に再編するとの大学入試センターとしての結論をサンプル問題とともに公表した。
そこで,公表した新科目「情報」のサンプル問題とそのねらいについて解説する。
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【略歴】 外資系コンピュータメーカー勤務,愛知県立高等学校教諭,総合教育センター研究指導主事(兼務,教育委員会高等学校教育課指導主事,愛知県立大学情報科学部非常勤講師),高等学校教頭を経て2019 年4 月より(独)大学入試センター試験問題企画官(現:試験問題調査官).信州大学修士(工学).
10:10-10:25 講演(3) 高等学校情報科と高大接続、教員養成について
鹿野 利春(京都精華大学 メディア表現学部 教授)
【概要】 文部科学省では,今回の学習指導要領改訂で,情報活用能力をすべての教科・科目ではぐくむものとしている。その要となる教科が,高校の情報科である。新しい情報科の授業は2022年4月から実施される。2021年までの情報科は「社会と情報」「情報の科目」の2科目から選択して履修する選択必履修であったが,内容としてプログラミング等を含む「情報の科学」を選択する生徒が全体の2割程度という状況であった。2022年からは,全員がプログラミング等を含む「情報Ⅰ」を履修する。その内容は,問題の発見・解決,情報デザイン,プログラミング,データの活用などであり,データの活用については,「数学1」と連携する。2023年からは,選択科目ではあるが,「情報Ⅱ」も始まり,データサイエンスや情報システムの開発などの,より高度な課題に生徒が取り組めるようになる。入試及び高大接続,教員研修としては,このような内容を踏まえて行うことが必要である。
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【略歴】 石川県の公立高等学校で理科,情報科を教える。教育委員会を経て文部科学省の教科調査官として,情報教育に携わり,「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」の学習指導要領及び解説をまとめ,現在は京都精華大学メディア表現学部で,メディアと情報の可能性を追求するとともに高校情報科の教員養成,教員研修,教材作成に携わる。公的役職は,文部科学省初等中等教育局視学委員など。
10:25-10:40 講演(4) 大学入学共通テスト新科目案「情報」への期待
河原 達也(京都大学 情報学研究科 教授)
【概要】 大学において情報工学・情報学の教育に従事してきた者の立場から、大学入学共通テスト新科目案「情報」への期待について述べる。
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【略歴】 1987年 京都大学工学部情報工学科卒業.
1989年 同大学院修士課程修了.
1990年 京都大学工学部助手.
1995年 同助教授.
2003年 同大学学術情報メディアセンター教授.
2015年 同大学大学院情報学研究科/工学部情報学科 教授.
2020年 同大学情報学研究科長.
現在に至る.
2014年〜2016年 情報処理学会理事.
2017年から日本学術会議連携会員.
10:45-11:50 総合討論
【概要】 2025年に実施する大学入学共通テストのに「情報」が教科として組み込まれ、単一科目「情報」を一つの時間枠で実施するとの案が、大学入試センターから提示されました。「情報」が大学入試共通テストの中で設けることの目指すもの、期待される効果、そして関係者が果たすべきことがらなどについて議論していきます。最初に、パネリストの方々にそれぞれの立場からこれらの事柄についてのご意見をお話しいただいた上で、フロアとの質疑応答を交えて議論を進めます。
司会:筧 捷彦(東京通信大学情報マネジメント学部 教授) 【企画資料はこちら】
【略歴】 1968年東京大学工学部計数工学科卒,立教大学などを経て,1986年から早稲田大学理工学部(現,基幹理工学部)教授,2016年に同校名誉教授.現 東京通信大学情報マネジメント学部教授.情報処理技術の標準化と情報教育推進に注力.情報オリンピック,ACM-ICPC,パソコン甲子園,U-22プログラミングコンテストの審査・運営に参与.情報オリンピック日本委員会・情報科学国際交流財団の理事長を兼任.現在,本会の情報入試委員長.
パネリスト:鹿野 利春(京都精華大学 メディア表現学部 教授)
【略歴】 石川県の公立高等学校で理科,情報科を教える。教育委員会を経て文部科学省の教科調査官として,情報教育に携わり,「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」の学習指導要領及び解説をまとめ,現在は京都精華大学メディア表現学部で,メディアと情報の可能性を追求するとともに高校情報科の教員養成,教員研修,教材作成に携わる。公的役職は,文部科学省初等中等教育局視学委員など。
パネリスト 大学入学共通テスト「情報」への期待:須田 礼仁(東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授)【企画資料はこちら】
【概要】 2025年度の大学入学共通テストから「情報」が加わることが発表された。これが大学の入学試験、大学教育、そして日本の社会の未来に与えうる貢献について考える。
【略歴】 1991年東京大学理学部卒、1993年同理学系研究科修士、東京大学理学部助手。1996年東京大学博士(理学)。1997年名古屋大学工学研究科講師、2000年助教授。2002年東京大学情報理工学系研究科助教授、2010年同教授、現在に至る。2010~2013年度情報処理学会HPC研究会主査。2013~14年度情報処理学会論文誌ACS論文誌編集委員長。専門は並列・高性能数値計算。
パネリスト:徳山 豪(関西学院大学工学部 教授)
【略歴】 1979年東京大学理学部数学科卒業、1985年東京大学理学系研究科数学専攻博士課程卒業、理学博士
1986年-1999年IBM東京基礎研究所研究員(内1992年―1993年IBM T.J. Watson研究所研究員),
1999年-2019年東北大学大学院情報科学研究科教授(現、名誉教授)2019年-現在関西学院大学工学部情報工学課程教授.
1992年情報処理学会研究賞、1997年情報処理学会ベストオーサー賞、2002年IBM科学賞、2005年船井情報科学振興賞、2010年情報処理学会フェロー、2012年電子情報通信学会フェロー、2021年情報処理学会CS領域貢献賞. 日本学術会議会員(2017-2023)、同情報学教育分科会委員長
パネリスト:高岡 詠子(上智大学理工学部 教授)【企画資料はこちら】
【略歴】 慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業,同大学大学院理工学研究科計算機科学専攻博士課程修了,博士(工学).現在,上智大学理工学部教授.専門分野は外国にルーツのある人々が安心・安全に必要な医療・介護ケアにアクセスするためのフレームワーク構築、新たな検索パラダイムの構築.2007年情報処理学会山下記念研究賞受賞,2013年度情報処理学会学会活動貢献賞受賞,主な著書:チューリングの計算理論入門,シャノンの情報理論入門(講談社ブルーバックス),「計算の科学と手引き(’19)」,「計算事始め('13)」および「情報科学の基礎('07)」(放送大学教科書).
パネリスト:中野 由章(工学院大学附属中学校・高等学校 校長)【企画資料はこちら】
【略歴】 1990年芝浦工業大学大学院工学研究科電気工学専攻修了。技術士(総合技術監理・情報工学)。情報処理学会初等中等教育委員会委員長、同情報入試委員会幹事、情報オリンピック日本委員会理事。日本IBM大和研究所、三重県立高等学校、千里金蘭大学、大阪電気通信大学、神戸市立科学技術高等学校を経て、2021年より工学院大学附属中学校・高等学校校長兼工学院大学教育支援機構教育開発センター特任教授。2015年情報処理学会山下記念研究賞、2016年情報処理学会学会活動貢献賞、2017年科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞、2018年情報処理学会大会優秀賞。
11:50-12:00 閉会挨拶
中山 泰一(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授)【企画資料はこちら】
【略歴】 1988年東京大学工学部計数工学科卒業.1993年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了.博士(工学).同年より電気通信大学において, 計算機システム,並列分散処理,情報教育の研究に従事.情報処理学会において,論文誌ジャーナル編集委員会編集長,初等中等教育委員会副委員長などを務める.2020年度より教育担当理事.2014年度学会活動貢献賞,2016年度山下記念研究賞,2017年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞受賞.日本学術会議特任連携会員.