イベント企画
データサイエンティスト等先端IT人材育成に関する情報処理学会の取り組み
8/26(木) 15:30-17:30
第2イベント会場(オンライン)
【セッション概要】 コロナ禍に於いて日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが明らかになり、政府や企業がDXに向けた歩みを進める中、その歩みを担う先端IT人材育成が重要な課題となっている。数理・AI・データサイエンスを駆使できる先端IT人材を育成する為、初等~大学でのリテラシー教育や大学応用基礎レベルのカリキュラム整備が急ピッチで進められる中、情報処理学会においても学校教育だけでなくデータサイエンティスト等先端IT人材に向けた教育/資格等の施策を検討してきた。
本シンポジウムでは今DXが必要な理由を日本の国際競争力ランキングから考察、更にDX推進に求められるIT人材と現状のギャップを認識し、このギャップを埋めるデータサイエンティスト協会や情報処理学会の施策を紹介、よりよい施策にする為のパネルディスカッションを行う。
15:30-15:35 司会 情報処理学会の先端IT人材育成/資格認定に関する取組み
中川 八穂子(情報処理学会, 日立製作所 技術応用運営委員会 委員長)
【概要】 本シンポジウムでは、今なぜDXが必要なのかを日本の国際競争力ランキングから 考察、更にDX推進に求められるIT人材と現状のギャップを認識し、このギャップ を埋めるデータサイエンティスト協会や情報処理学会の施策を紹介、よりよい施 策にする為のパネルディスカッションを行う。
【略歴】 東京大学理学部卒業後昭和56年日立製作所入社、日本初ベクトル型スーパコンピュータS-810やM-880等大型メインフレーム、ベクトルスカラ融合型スーパーテクニカルサーバ「SR8000/SR11000」開発に従事。平成20年中央研究所に異動、組込みシステム基盤研究所長等を歴任。現在、研究開発グループ Chief Digital Officer 兼 デジタルプラットフォームイノベーションセンタ シニアプロジェクトマネージャ。情報処理学会、IEEE 各会員。
15:35-16:05 Part I 講演 IMD「世界競争力年鑑2021」からみる日本の競争力低下要因とIT人材への期待
酒井 博司(株式会社三菱総合研究所  政策・経済センター 主席研究員)
【概要】 国際経営開発研究所(IMD)「世界競争力年鑑」2021年版によれば、日本の競争 力総合指数は64カ国・地域で31位と低迷している。
競争力総合指数を構成する要素をみると、「企業の意思決定の迅速性」「機会と脅威への素早い対応」「ビッグデータ分析の意思決定への活用」「変化に対する柔軟性や適応性」がいずれも最下位グループとなっている。
この点は、同年鑑のデジタル化の活用面に関する「デジタル化を活用した業績改善」「ビッグデータ分析の意思決定への活用」「企業がICT技術を活用し、事業の対象を積極的に変化させるデジタルトランスフォーメーション」の弱さと関連している。
IT環境は整備されているものの、それをビジネスに有効活用できる人材の育成が急務である。
【略歴】 三菱総合研究所 政策・経済センター 主席研究員 博士(経済学)。大阪大学大学院経済学研究科客員教授兼務。
IMD, World Competitiveness Yearbook(世界競争力年鑑)では、日本担当として2005年より編集に協力している。三菱総合研究所では多様なデータを用いた経済分析に基づく政策研究を担当している。最近の論文はSakai, H. (2020), Did financing constraints cause investment stagnation in Japan after the 1990s? Journal of Corporate Finance, 64: 101673, Elsevier.
16:05-16:15 Part II 講演(1) データサイエンティスト検定のご紹介
佐伯 諭(一般社団法人 データサイエンティスト協会 スキル定義委員会 副委員長)
【概要】 データサイエンティスト協会の活動紹介や情報処理学会との関連の動き、2021年より開始するデータサイエンティスト検定の発足経緯や目的などを基軸に、民間企業でのDX人材育成、データサイエンティスト人材育成の動向なども踏まえ、ディスカッションします。
【略歴】 1998年早稲田大学大学院理工学研究科修了。SIer、外資系金融での経験を経て2007年より電通にてデジタルマーケティング領域の業務に携わる。電通デジタル創業期に執行役員CDOとしてデータ戦略や組織育成に貢献。2021年より独立。データサイエンティスト協会では創立時より理事を7年務め、DS検定推進メンバーの一人
16:15-16:25 Part II 講演(2) 情報処理学会の先端IT人材育成/資格認定に関する取組み
中川 八穂子(情報処理学会, 日立製作所 技術応用運営委員会 委員長)
【概要】 情報処理学会は設立当初より情報処理教育分野における人材育成に関 する活動を行なってきた.情報処理を経済成長や生産性向上に活かすことが喫緊の課題となっている現在, データサイエンティスト(DS)等の高度IT人材へのニーズが高まっている.国内外 のデータサイエンス分野の教育/資格についての取組み調査や関連機関へのアン ケートを行なったところ,高等教育カリキュラムや社会人向け学び直しプログラ ムは既に存在しているが,相互の関係が明確になっているとは言い難い状況である.そこで情報処理教育や実務家向け資格制度(CITP)に取組んできた当会のスキルノ ウハウを活かし,初等教育から社会人学び直し向け迄を対象として,データサイ エンティスト育成戦略を令和2年3月より約1年をかけてまとめ,既に企業認定等 を開始したところである.本発表ではその戦略概要と主に社会人向けの施策につ いて説明する.
【略歴】 東京大学理学部卒業後昭和56年日立製作所入社、日本初ベクトル型スーパコンピュータS-810やM-880等大型メインフレーム、ベクトルスカラ融合型スーパーテクニカルサーバ「SR8000/SR11000」開発に従事。平成20年中央研究所に異動、組込みシステム基盤研究所長等を歴任。現在、研究開発グループ Chief Digital Officer 兼 デジタルプラットフォームイノベーションセンタ シニアプロジェクトマネージャ。情報処理学会、IEEE 各会員。
16:25-16:35 Part II 講演(3) 情報処理学会のデータサイエンス教育に関する取組み
加藤 浩(放送大学 教養学部 教授)
【概要】近年、データサイエンス・AI人材の育成に関して大きな動きがある。 我が国ではAI戦略2019において、大学・高専卒業者全員に対してリテラシーレベ ル、さらにその半数に対して応用基礎レベルの教育を実施することが具体的目標 として掲げられたことに伴い、モデルカリキュラムの発表や、数理・データサイ エンス・AI教育プログラム認定制度の開始などの動きがある。しかし、エキス パートレベルの育成に関してはまだこれからである。他方、欧米ではEDISONプロ ジェクトがデータサイエンスプロフェッションを定義したり、ACMが学部のデー タサイエンスカリキュラム標準を発表したりしていたりする。そこで、情報処理 学会データサイエンス教育委員会では我が国の実情に合わせた専門教育レベルの データサイエンスカリキュラム標準を策定し、本年4月に発表した。本講演では 同カリキュラム標準の狙い・特長・構成についてその概要を説明する。
【略歴】 1983年慶應義塾大学大学院工学研究科修士課程修了。同年、日本電気(株)入社。1999年東京工業大学大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻博士課程、博士(工学)。2000年メディア教育開発センター助教授。2009年放送大学教授。一貫して教育工学分野の研究、とくに協調学習支援のための教育システムや評価の研究に従事。2019年より情報処理学会データサイエンス教育委員会委員長。
16:35-16:55 Part III 講演 デジタル時代のスキル変革と人材育成について
片岡 晃(独立行政法人 情報処理推進機構 社会基盤センター センター長)
【概要】 産業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進には、従来のIT 人材だけではなく、 経営層や事業部門所属者を含むすべてのビジネスパーソンがデジタル時代のコア・リテラシーを身につけていくことが求められます。
IPAでは、IT人材の学び直しや流動実態の把握に加え、DXを推進するための組織や人材マネジメントのあり方を考察することを目的として各種調査を行い、スキル変革の促進要因、阻害要因などを分析しました。
この結果を踏まえ、学び続けることの重要性やその具体方法をについて解説します。また、それらを通して、個人の学びの動機づけ、さらには、企業の人材育成や採用基準、組織・人材マネジメントの改善に必要なことについてもお話しします。
【略歴】 京都大学工学部卒業後、日産自動車、パナソニックを経てIPAで勤務。イノベーション人材センター長、産業サイバーセキュリティ副センター長、ソフトウェア高信頼化センター所長を歴任。2018年からは、社会基盤センター センター長。
その他、 (一社)コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)次世代AI人材育成訓練プログラム 委員(~2020年度)、文科省enPiT外部評価委員会委員(~2020年度)、(一社)情報サービス産業協会(JISA)技術革新委員会委員、日経コンピュータIT Japan Award審査員などを務める。
16:55-17:30 Part III パネルディスカッション 司会 求められる先端IT人材スキルの現状と需要のGapを如何に埋めるか
西 直樹(情報処理学会 資格制度運営委員会 委員長)
【略歴】 情報処理学会の認定情報技術者(CITP: Certified IT Professional)の制度設計に参画し2014年度からの制度運用に従事、2018年から資格制度運営委員会の委員長を拝命。1984年4月~2019年11月:日本電気株式会社に勤務、2018年4月~2019年11月:理化学研究所(日本電気からの出向)、2019年12月より株式会社理研鼎業において理研の産学連携支援に従事。