祝辞

益田 隆司(公益財団法人船井情報科学振興財団 副理事長)

情報処理学会の創立60周年、誠におめでとうございます。改めて、本学会の創立に尽力された初代会長故山下英男、それに故和田弘の両氏に敬意を表します。

1960年はIFIP(International Federation for Information Processing)が結成された年であり、本学会はわが国を代表してそれに加盟しました。「情報処理」という名称はIFIPの「Information Processing」に由来すると聞いています。当時はまだ商用ベースのコンピュータがやっと軌道に乗り始めていたときです。ソフトウェアはハードウェアの付属物で独立した価値は認められていませんでした。学会創立後の20年間、コンピュータは大型化の道を歩みましたが、1980年代に入って、技術の発展は、小型高性能化、個人利用コンピュータ、コンピュータと通信技術の結び付き、ネットワーク化を可能にし今日に至っています。この間の技術の発展は目覚ましく、現在に至っても飽和の兆しは見えません。学会が対象とする分野も広範囲になっています。現在本学会が対象とする分野は、まさに社会の基盤となっています。過去に経験したことのない負の影響を社会に与えている新型コロナウイルス感染症のもとでも、在宅勤務等で何とか社会が機能しているのは、情報技術の活用なくしてはあり得ません。私たちの生活は情報技術に支えられている時代になりました。

学会創立から60年が還暦なら、次の60年は大還暦に向けての60年になります。情報技術の重要性が一層増すことは間違いありません。そんな中で、学会が社会にどんな貢献ができるのかは真剣に考える必要があります。本学会の役割は、新しい技術の普及に貢献すること、それに新しい技術、分野を創造していくことです。次の60年に向けて本学会が対象とする分野にどんな質的変化、発展を創造するか、本学会の最重要な使命です。

公益財団法人船井情報科学振興財団 副理事長

益田 隆司

益田隆司
略歴

専門分野:情報科学(計算機科学)

1965年 東京大学工学系修士課程修了

1965年 株式会社日立製作所

1977年 筑波大学

1988年 東京大学

2000年 電気通信大学

2008年4月 船井情報科学振興財団

情報処理学会会長(2003年5月〜2005年5月)

東京大学名誉教授、電気通信大学名誉教授、情報処理学会名誉会員


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