学会宣言

情報処理学会創立60周年宣言
~More local and more diverse for global values~

 1960年の設立以来、本学会は“コンピュータとコミュニケーションを中心とした情報処理に関する学術および技術の振興をはかることにより、学術、文化ならびに産業の発展に寄与すること”を目的として活動を続けてきた。この間の情報処理技術の進展には目を見張るものがあり、デジタル化を核に情報社会が実現されるに至っている。情報社会は私たちの暮らしに多くの利便性と快適性をもたらした。本学会は、情報処理に関わる国内最大の学会として、情報社会の進展に大きな貢献を果たしてきた。

 折しも本学会創立60周年にあたる2020年に、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックが世界を襲った。日本だけでなく世界的に最重要かつ喫緊の課題は、コロナ感染症防止と経済活動の両立である。また、コロナ禍の先には、持続可能な地球環境と経済活動の両立、更に日本では少子高齢化や過疎化をはじめとする長期的な課題が待ち受けている。

 これらの困難な社会課題を解決するには、多様な当事者と共に課題に取り組むローカルな活動が求められる。たとえば、コロナ禍を機に各地域の公的機関のデジタル革新を進める為に最初にすべきは、地域が抱える課題を地域の担い手である市民と共有することである。また、産業/医療介護/少子化対策等多様な分野における課題を解決するには、それぞれの分野の担い手と共に分野固有の課題に取り組まなくてはならない。情報処理は、これら課題を解決する為の強力なツールとして、次の深みへと深化し、社会へ受け入れられる必要がある。その為には、情報処理の最先端の新しい領域を開拓し続ける創造力と、多様な人々を繋ぐ場と情報に関する学びの場を社会全体に対して提供する推進力が求められる。

 そして、各地域における多様な活動を通して得られた課題解決のプラクティスは、ローカルにとどめてはならない。普遍化し発信することにより、グローバルに通ずる新価値創造に繋げていく。

 60周年の節目にあたり、国内に根ざす学会として我々が目指すところをここに宣言する。

  1. 情報社会において各地域や各分野の担い手と共に先端技術で社会課題を解決し,そのプラクティスをグローバルに通ずる新価値創造に繋げる
  2. 情報処理の最先端を先導する学会として常に新しい領域の開拓と人材ネットワークの構築に寄与する
  3. 情報に関する学びの場を提供し、生涯にわたる個々人の成長に寄与する

 以上


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