祝辞

岸本 喜久雄(公益社団法人 日本工学会 会長)

このたび一般社団法人情報処理学会がここに創立六十周年を迎えられましたことは誠に喜ばしく、心からお祝い申し上げます。貴会は1960年に情報処理分野で指導的役割を果たすことを目的とした学術団体として設立され、1970年には本会の正会員に加入していただきました。貴会は創立以来60年の長きにわたりコンピュータとコミュニケーションを中心とした情報処理に関する我が国の最大の学会として、その発展に多大な貢献をされてきており、歴代会長はじめ会員の皆様のたゆみないご努力に深く敬意を表する次第であります。

我が国では、第5期科学技術基本計画において、人々が質の高い生活を送ることのできる超スマート社会をSocciety5.0として提唱し、サイバー空間とフィジカル空間の高度な融合により、その実現を目指すこととしています。情報技術は、その要ともいえる技術であり、その学術分野の発展は、超スマート社会の実現のために欠かすことができないものです。その中核を担う貴会の役割は益々大きなものとなっています。

日本工学会は、1879年の創立から140年の歴史を有し我が国の工学の発展とともに歩んできた学術団体です。発足当初から、工学全般、さらには工学に関連する分野の会員で構成されてきた組織で、貴会を含めて約100の学協会で構成されています。日本工学会は、我が国の工学系学術団体の原点であるとの認識のもとに、会員学協会とともに工学及び工業の包括的な振興と学際的な連携を図り、人々の幸福を希求し、社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。

人類が直面している複雑で多様な問題を解決し、より良い社会を築いていくためには、学術の発展と普及を担う学協会には、専門分野の深耕と専門分野の枠を超えた共創が求められています。創立六十周年を迎えられました貴会がさらなる進化を遂げられるとともに、他の学術団体との連携も一層深められ、人々の暮らしと社会の発展に大きく貢献されることを期待し、祝辞といたします。このたびは誠におめでとうございます。

 

2020年11月吉日

公益社団法人 日本工学会 会長

岸本喜久雄

岸本喜久雄
略歴

1975年東京工業大学工学部卒業、1977年同大学院理工学研究科機械物理工学専攻修士課程修了、1982年工学博士(東京工業大学)。東京工業大学助手、助教授、ケンブリッジ大学客員研究員などを経て1995年より東京工業大学教授。同大学副学長(教育運営担当)、大学院理工学研究科工学系長・工学部長、環境・社会理工学院長などを歴任し、2018年より名誉教授。2018年より国立教育政策研究所フェロー、2020年より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)技術戦略研究センタ-長。研究分野は機械工学、材料力学、計算力学。日本学術会議会員、日本機械学会会長、日本技術者教育認定機構副会長などを歴任。2019年より日本工学会会長


お問合せはこちら