60周年記念パネル討論概要

「情報社会の未来を拓く:情報技術と学会の過去・現在・未来」
第1部:学会のこれまでの振り返りと今後の展開

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司    会:江村 克己(情報処理学会第30代会長(現会長)、日本電気 NECフェロー)
パネリスト:白鳥 則郎(情報処理学会第25代会長、東北大学 名誉教授)
       古川 一夫(情報処理学会第26代会長、日本ガイシ 取締役、パソナグループ取締役)
       喜連川 優(情報処理学会第27代会長、国立情報学研究所 所長/東京大学 教授)
       富田 達夫(情報処理学会第28代会長、情報処理推進機構 理事長)

第1部では、歴代の会長をパネリストとしてお招きし、「学会のこれまでの振り返りと今後の展開」をテーマに議論が行われ、積極的に失敗をしてほしい、新しい芽、論文が書きにくいテーマに光をあててほしいなどの今後の学会に対する期待を語っていただきました。

「積極的に失敗をしてほしい」
世の中の速い動きに学会の提言が追い付いていないという司会からの問題提起に対して議論がなされました。学会は多くの提言をしているが、もっと主体で動くべきであり、まずやってみればそれを小中高や地方の大学、企業が真似できるとの意見をいただきました。また、日本は一度失敗すると再度立ち上がるのが難しい風土があるので、失敗事例を披露してそれをリカバーできる環境を作ってほしいとの意見や、もっとタイムリーに学会員の誰もが発信できる環境を作ってほしいなどの意見をいただきました。

「新しい芽、論文が書きにくいテーマに光を」
次に、論文が書ける領域が偏っているなか、従来の価値観を超えた次のチャレンジがどこにあるのかという司会からの問いかけに対し議論が行われました。論文の採択率だけで評価するのではなく、変わった研究をやっている人、OSや基盤など地味なところを頑張っている人を評価すべきであり、ここに力を入れてほしいと大学に発信すべきであるとの意見をいただきました。また、外から見て学会が面白い議論をしているコミュニティに見えるようになって欲しいとの期待や、論文特集号では、評価が不十分でも面白いものを採択すべきであるなどの議論がなされました。


「情報社会の未来を拓く:情報技術と学会の過去・現在・未来」
第2部:これからの学会のデザイン

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司    会:江村 克己(情報処理学会第30代会長(現会長)、日本電気 NECフェロー)
パネリスト:福田 敏男(IEEE会長、名城大学 教授)
       笠原 博徳(IEEE Computer Society 2018会長、早稲田大学 副総長)
       田島   玲(Yahoo! JAPAN研究所 所長)
       落合 陽一(筑波大学 准教授)

第2部では、多方面でご活躍の著名な方々をパネリストとしてお招きし、「これからの学会のデザイン」をテーマに、学会の外からの視点を取り入れた多様な議論が繰り広げられました。ダイバーシティの推進、学会の価値は研究の第三者評価を示すことなどのこれからの学会のありかたに対する意見が述べられました。最後にパネリストの方々よりみんなに開かれた学会になってほしいとのエールをいただきました。

「ダイバーシティの推進」
コミュニティ、ヒューマンネットワークを形成する場であることが学会の肝であり、ダイバーシティの中からアイデアが生まれてくるとの認識から、トップのレベルアップとともに、裾野を広げていくことが大事であるとの議論がなされました。また、ローカルならではの圧倒的手触り感や祝祭性を実現していくためには、発信の仕方は論文だけではなく、デモ、ビデオなどの形でもよいことや、研究者以外の人とどう対話するかが大事であるなどの議論がなされました。若い人が社会のニーズを産業界の人と触れ合うことで地球の将来のために研究していると思える場になってほしいなどの意見もいただきました。

「学会の価値は第三者評価」
研究成果を発信して的確なフィードバックを得る場は学会以外にはなく、情報処理学会が選別した論文はためになるものであると保証することが学会の価値であるとの意見から、クオリティの高いものを選定する、信頼できるレビュの仕組みを作ってしまえばよいなどの議論がなされました。


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