会長挨拶

学会創立60周年記念週間とメモリアルページ

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 新型コロナウイルス感染症の終息がなかなか見通せないため、10月30日に予定していたオンサイトでの60周年記念式典は中止をし、11月23日から27日を学会創立60周年記念週間として、様々なコンテンツをオンラインで発信することにしました。11月26日にはIEEE会長の福田敏男先生による記念講演も予定されています。また中止した式典に代えて同日に開催した60周年記念パネル討論や、各界からのご祝辞、特別寄稿等もアップされます。オンサイトのイベントでは参加者が限られますが、オンラインではその制約から解放されます。是非多くの方にメモリアルページを訪れていただき、学会の来し方、行く末に思いを馳せていただければと思います。このタイミングで、「情報処理学会60年のあゆみ」と「情報処理技術遺産とパイオニアたち」の2冊の書籍も刊行されました。こちらも是非ご参照ください。

 記念週間にも関連しますが、このひと月ほどで私にとって学会のあり方を考えさせられるイベントがいくつもありました。ひとつは、創立記念週間に向けて収録を行った学会歴代会長・有識者による上記のパネル討論です。第1部では第25代から28代の白鳥、古川、喜連川、富田の歴代会長と議論を行いました。第2部では外部有識者としてIEEE会長福田先生、IEEE-CS前会長笠原博徳先生、Yahoo! JAPAN研究所田島玲所長、メディアアーティスト他多様な顔を持つ落合陽一さんを迎え議論しました。詳しくはオンライン配信を見ていただきたいのですが、その中で学会と社会のつながりの強化、尖った人材を引き立て、新しい技術分野を拓くなど難しいことに積極的にチャレンジすることの重要性、ローカルな問題解決に貢献するためにダイバーシティを高め、外部連携を強化すべきことなどについて意見をいただきました。

 11月2日には、学会のアドバイザーの皆様にオンラインでお集りいただきアドバイザリーボードを開催しました。ここでもコロナ禍で情報の重要性が明らかになってきた中で、情報を扱う学会として情報発信や提言の機能を強化すべきとの指摘がありした。女性やジュニア会員への対応を含めダイバーシティを高めることの重要性、技術のみならず情報の利活用への取り組みを強化することの必要性などについても議論がありました。

 10月23日には、中国最大の情報系の学会Chine Computer Federationの全国大会CNCC2020で情報処理学会会長としてリモートで招待講演を行いました。昨年はCNCC2019 に現地参加し、参加者数が約8000名というその規模の大きさに驚かされました。今年は北京で規模を縮小して開催と聞いていたのですが、北京以外にも5か所に特別会場を設置、全6か所で7000名が参加、加えてオンラインで2万名が参加したそうです。環境変化に素早く対応し新しい開催方法を模索しながらも、多くの人が情報技術に取り組んでいることを見るにつれ、グローバルな中での情報処理学会の立ち位置を明確にするとともに、グローバルな連携をどう進めるかを再度明確にすることの必要性を感じました。

 情報処理技術が成熟し、世の中に浸透するとともにデータの時代へのシフトが起きています。新型コロナウイルスや気候変動が大きな問題となる中で世の中の変化も激しくなり、不確実性も高まっています。学会も、従来の姿にとらわれることなく、新しい形に変化を遂げていくことが必須になっています。そこで学会60周年のこのタイミングで、これからの学会の進むべき方向をまとめ“情報処理学会創立60周年宣言”として発することにしました。多くの皆様とともに、これからも広く社会に寄与する学会となるべく活動を進めていきますので、よろしくお願いします。

 以上


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