連続セミナー2010 クラウドコンピューティングを自在に操る

「Webスケールとインターネットクラウド」
コーディネータ : 丸山 不二夫 (早稲田大学 情報生産システム研究科 客員教授)

  • 開催日時 : 2010年7月26日(月) 9:30 〜 17:00
  • 会場 : 東京電機大学 神田キャンパス7号館1F 丹羽ホール

この回では、インターネットの爆発的な拡大の一つの帰結としてクラウドを考えます。インターネットが可能とした「Webスケール」という、量的概念の新しさに注目し、それへの技術的な対応としてクラウドのいくつかの要素技術を位置付けることが出来ます。インターネットクラウドとエンタープライズクラウドの対比は可能なのですが、前者の発展こそが、後者を生み出したという視点を提供出来ればいいと考えています。

コーディネータ : 丸山 不二夫 (早稲田大学 大学院情報生産システム研究科 客員教授)
【略歴】 東京大学教育学部卒。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。稚内北星学園短期大学教授。同短大の四年制大学移行に伴い、稚内北星学園大学学長を二期務める。その後、早稲田大学情報生産システム研究科客員教授、公立はこだて未来大学情報科学部特任教授。日本Javaユーザ会会長。クラウド研究会代表。日本Androidの会会長。

プログラム

Session.1 9:30 〜 11:00
「クラウドの成立過程と、その技術的特徴について」
丸山 不二夫 (早稲田大学 大学院情報生産システム研究科 客員教授)

【講演概要】 インターネットの発展の一つの形態として、クラウドの成立の過程をふり返る。インターネット・クラウドとエンタープライズ・クラウドを、相対的に区別する立場から、後者の成立に果たした、前者の基底的な役割を述べる。クラウドの技術的な特徴では、ScalabilityとAvailabilityの二つに、特に注目したい。あわせて、大規模な分散システムの成立が提起した、CAP定理やEventuall Consistency等の理論問題のいくつかを紹介する。最後に、巨大なクラウドと無数のクラウド・デバイスからなる、新しいネットワーク・メディアの成立過程として、現在のクラウドの動きを考える視点を提起する。ここでは、コミュニケーションと情報共有への強い志向が、こうした過程をドライブしているという見方が示される。

【略歴】
東京大学教育学部卒。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。稚内北星学園短期大学教授。同短大の四年制大学移行に伴い、稚内北星学園大学学長を二期務める。その後、早稲田大学情報生産システム研究科客員教授、公立はこだて未来大学情報科学部特任教授。日本Javaユーザ会会長。クラウド研究会代表。日本Androidの会会長。
Session.2 11:10 〜 12:40
「key-valueストアの基礎知識」
首藤 一幸 (東京工業大学 大学院情報理工学研究科 准教授)

【講演概要】 クラウド、特にPaaS向けのソフトウェア開発が現実のものとなり、そこではリレーショナルデータベースとは違ったデータベースが勢いを増しています。その代表であるkey-valueストアを解説します。

【略歴】
1998年 早稲田大学助手。2001年 早稲田大学博士後期課程修了。同年 産業技術総合研究所入所。2006年 ウタゴエ(株)取締役最高技術責任者。2008年12月より現職。2009年度 IPA未踏人材発掘・育成事業プロジェクトマネージャー。博士(情報科学)。主な著書に「Binary Hacks」「Javaによるアルゴリズム事典」。SACSIS2006最優秀論文賞。IPA未踏ソフト2006年度上期スーパークリエータ認定。情報処理学会平成18年度論文賞。情報処理学会平成19年度山下記念研究賞。平成21年度 船井学術賞。
お昼休憩 12:40 〜 13:40
Session.3 13:40 〜 15:10
「OSS分散フレームワーク「Hadoop」のエコシステム」
太田 一樹 (株式会社Preferred Infrastructure N/A Chief Technology Officer)

【講演概要】 Google, Incを支える大規模分散ミドルウェアのオープンソース実装「Hadoop」がここ数年注目を集めている。また、近年では分散ストレージ「HDFS」、計算フレームワーク「MapReduce」の進化に加え、それらを強化する周辺プロジェクトが様々な形で発展を遂げており、一つのエコシステムが構築されている。本講演では、Hadoopの基礎から周辺プロジェクトの紹介、そして進む応用・ビジネスの展開までを広く扱う。

【略歴】
東京大学、情報理工学系研究科コンピューター科学修士課程修了。(株) Preferred Infrastructure CTO。Data
Intensive Computing/分散並列技術に強い関心を持つ。日本Hadoopユーザー会を立ち上げ。
Session.4 15:30 〜 17:00
「楽天インターネットスケーラブルコンピューティング」
吉岡 弘隆 (楽天株式会社 DU 技術理事)

【講演概要】 インターネットの巨大ショッピングモール楽天市場のビジネスを支えるITインフラついてご紹介いたします。1997年にサービスを開始して以来10年強で、3万店舗をこす出店を得ています。その規模のメガサイトを運用するにあたっての、技術的な取り組みなどをご紹介します。また、同時に、今後解決すべき様々な課題についてもお話する予定です。

【略歴】
1984年慶応義塾大学大学院修了。日本ディジタルイクイップメント株式会社を経て、米国OracleでOracle8エンジンの開発に従事した後、2000年にミラクル・リナックスの創業に参加、 取締役CTO。2009年8月より楽天株式会社。技術理事。カーネル読書会主宰。セキュリティ&プログラミングキャンプ、プログラミングコース主査。 著書にDebug Hacks (共著)。