東 孝文 (正会員) 東京電機大学システムデザイン工学部デザイン工学科 助教 |
キーワード
芸術制作支援 | ステアリングの法則 | フロー理論 |
[背景]制作活動に要する技能や難易度を初心者が読み解くことが困難
[問題]初心者の技能向上や初心者向けの難易度を定量的に評価すること
[貢献]圧力制御の訓練,初心者向けの難易度での制作による技能向上の促進
芸術創作における制作段階では,初心者の多くは書籍やインターネットなどからデザインを利用することが多い.しかし,公開されているデザインには「初心者向け」などで難易度が表記されるも,その基準は曖昧で自分に適切な難易度がどの程度かを理解することは困難である.デザインの創作には初心者向けや熟練者むけの難易度があり,さまざまな難易度の中でも,自身の技能に見合った難易度での練習が推奨されている.しかし,未経験者ほど自身の技能と不釣り合いな難易度で挑戦をし,取り組む難易度が高すぎてしまい失敗や挫折から始まる人も多い.そのため,技能向上を目的とした練習では,自身の技能と制作課題の難易度との組合せが重要な要素であるされている.
本研究テーマは芸術創作の1つである「切り絵」の制作に着目した初心者への制作を支援である.切り絵はデザインナイフで紙の不要な部分を切り落とすことで,絵を制作する絵画手法の1つである.芸術創作に関する研究では,コンピュータを利用することで人の手を介さずに自動で絵を生成する研究は多くある.しかし,人の手による制作は文化的活動の1つとして世界中に根付いているため,その文化を継承し,守ることも重要な課題であると考える.そのため,本研究では,切り絵を制作するときのナイフの使い方や切り抜くために使用する下絵の難易度を分析する研究を目指す.
1. 熟練者らしい制作技能の習得支援に関する課題
この課題の目的は熟練者が持つ暗黙的な技術の1つを分析することで初心者にも効率的に技能を習得することである.この課題では,利用者と熟練者との裁断圧力の差を提示することで裁断技能の効果的な向上に評価する.初心者と熟練者に同じ絵柄を切ったときの圧力を分析した結果をもとに,初心者のための裁断圧力を練習するシステムを開発した.システムの効果を検証した結果,システムを利用することで利用しない場合やこれまでにワークショップなどで利用されている練習法よりも効果的な技能の向上を確認した.
2. 制作難易度の分析と技能向上への影響に関する課題
この課題の目的は人間動作のモデルを応用することで制作のための難易度と制作者の技能を評価することである.この課題では,初心者が各難易度のデザインで練習したときのモデルの変化を比較することで技能を効果的に向上させる難易度を評価する.制作難度を数値化するために,ステアリングの法則をもとに裁断する線の難易度と裁断する時間から初心者と熟練者との差を分析した.この結果をもとに,初心者がさまざまな難易度の下絵を制作したときの制作時間の変化を分析することで,初心者向けの制作難易度を評価した.
3. 難易度と技能との組合せによる制作時のフローに関する課題
この課題の目的は制作活動における心理学分野のフローを評価することである.この課題では,「技能と難易度との組合せ」をもとに,制作時の技能向上とフロー(没頭)状態の変化について評価する.フローを評価する手段の1つにアンケート調査があり,本研究では切り絵制作を想起するためのアンケート項目を新たに作成した.先述した技能と難易度に関する課題をもとに技能と難度との組合せによる技能向上とフローを評価した.
[貢献]圧力制御の訓練,初心者向けの難易度での制作による技能向上の促進
芸術創作における制作段階では,初心者の多くは書籍やインターネットなどからデザインを利用することが多い.しかし,公開されているデザインには「初心者向け」などで難易度が表記されるも,その基準は曖昧で自分に適切な難易度がどの程度かを理解することは困難である.デザインの創作には初心者向けや熟練者むけの難易度があり,さまざまな難易度の中でも,自身の技能に見合った難易度での練習が推奨されている.しかし,未経験者ほど自身の技能と不釣り合いな難易度で挑戦をし,取り組む難易度が高すぎてしまい失敗や挫折から始まる人も多い.そのため,技能向上を目的とした練習では,自身の技能と制作課題の難易度との組合せが重要な要素であるされている.
本研究テーマは芸術創作の1つである「切り絵」の制作に着目した初心者への制作を支援である.切り絵はデザインナイフで紙の不要な部分を切り落とすことで,絵を制作する絵画手法の1つである.芸術創作に関する研究では,コンピュータを利用することで人の手を介さずに自動で絵を生成する研究は多くある.しかし,人の手による制作は文化的活動の1つとして世界中に根付いているため,その文化を継承し,守ることも重要な課題であると考える.そのため,本研究では,切り絵を制作するときのナイフの使い方や切り抜くために使用する下絵の難易度を分析する研究を目指す.
1. 熟練者らしい制作技能の習得支援に関する課題
この課題の目的は熟練者が持つ暗黙的な技術の1つを分析することで初心者にも効率的に技能を習得することである.この課題では,利用者と熟練者との裁断圧力の差を提示することで裁断技能の効果的な向上に評価する.初心者と熟練者に同じ絵柄を切ったときの圧力を分析した結果をもとに,初心者のための裁断圧力を練習するシステムを開発した.システムの効果を検証した結果,システムを利用することで利用しない場合やこれまでにワークショップなどで利用されている練習法よりも効果的な技能の向上を確認した.
2. 制作難易度の分析と技能向上への影響に関する課題
この課題の目的は人間動作のモデルを応用することで制作のための難易度と制作者の技能を評価することである.この課題では,初心者が各難易度のデザインで練習したときのモデルの変化を比較することで技能を効果的に向上させる難易度を評価する.制作難度を数値化するために,ステアリングの法則をもとに裁断する線の難易度と裁断する時間から初心者と熟練者との差を分析した.この結果をもとに,初心者がさまざまな難易度の下絵を制作したときの制作時間の変化を分析することで,初心者向けの制作難易度を評価した.
3. 難易度と技能との組合せによる制作時のフローに関する課題
この課題の目的は制作活動における心理学分野のフローを評価することである.この課題では,「技能と難易度との組合せ」をもとに,制作時の技能向上とフロー(没頭)状態の変化について評価する.フローを評価する手段の1つにアンケート調査があり,本研究では切り絵制作を想起するためのアンケート項目を新たに作成した.先述した技能と難易度に関する課題をもとに技能と難度との組合せによる技能向上とフローを評価した.
(2020年5月29日受付)