クラウド

第2回:ビッグデータ利活用を支えるクラウド基盤技術

 

日  時 :
2016年7月22日(金)
会  場 :
【本会場】日本大学理工学部駿河台校舎1号館2F121大会議室(東京都千代田区)
【遠隔会場】大阪大学中之島センター7F 講義室702(大阪市北区)
受付開始 :
9:30~

 

オープニング[10:00~10:10]

ビジネス分野だけでなく学術分野でもビッグデータの利活用が進む中、データの収集、保存、分析のためにクラウドは欠かせない基盤となっています。本セミナーでは、ビッグデータの利活用を支えるクラウド技術について、アプリケーションおよび基盤技術の双方の視点で最新動向を紹介します。各セッションでは、産業界および学術界で活躍されている講師の方々をお招きし、IoT、機械学習、ゲノム情報解析といったアプリケーションと、これらを支えるクラウド基盤の最新技術について解説いただくとともに、クラウドストレージ技術の最新動向や、アカデミッククラウド基盤の事例についても解説いただきます。

合田 憲人様 コーディネータ:合田 憲人(大学共同利用法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 教授)
【略歴】1996年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程単位取得退学。1997年博士(工学)(早稲田大学)取得。早稲田大学情報科学研究教育センター助手、東京工業大学大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻助手、同大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻講師、同大学院総合理工学研究科物理情報システム専攻助教授を経て、現在、国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系教授。

セッション1[10:10~11:10]

クラウドストレージの動向

クラウドストレージは、可用性、性能、データ保護などに関して一定のサービスレベルを持つデータストレージが、必要な量だけ必要に応じて、事実上無限に、運用・管理の負担なく容易に利用できるサービスであると定義することができる。IaaS(Infrastructure as a Service)で提供されるストレージ資源から、個人向けのファイル共有サービス、企業向けのバックアップ・事業継続サービスなどの多様な提供形態を持ち、クラウド上でビッグデータを取り扱う際の基礎となる。ここでは、このクラウドストレージサービスの概要や実例、実現技術・実装方式に加えて、アクセスや管理のためのインターフェースの標準化動向、さらに、ビッグデータの長期保管において重要な意味を持つコールドストレージサービスなどについて論じる。

吉田 浩様 講師:吉田 浩(大学共同利用法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 クラウド基盤研究開発センター 特任教授)
【略歴】1980年東京大学大学院工学系研究科情報工学専門課程(修士)修了。同年富士通株式会社に入社し、ソフトウェア、ストレージシステム、クラウドサービス等の企画・開発に従事。その間、SNIA(Storage Networking Industry Association)日本支部および国際委員会の活動に参画。2015年から国立情報学研究所において、大学・研究機関のクラウド導入支援、クラウド技術の研究開発に従事している。

セッション2[11:20~12:20]

「IoT」におけるビッグデータの可視化の取組みとクラウドの役割
~IoT案件を100件やってみて分った事~

2015年7月「ニフティIoTデザインセンター」というサービスを始めました。デバイスのIoT化を目指す企業を、IoT専属チームがインターネットの知見・アセットを活用して、ご支援するサービスです。サービス開始後「デザインセンター」で80社を超える、様々なご相談を承りました。その中でも「ビッグデータ」を取り扱う、IoTの案件が多数ございました。事例から読み取れる「IoT・ビッグデータ」への取組みについて、考えて参りましょう。

佐々木 浩一様 講師:佐々木 浩一(ニフティ株式会社 IoT推進室 室長代理)
【略歴】2000年よりニフティ勤務。ポータルサイト・モバイルサイトや、スマートフォンアプリのシステム開発を担当。2011年度より、ニフティクラウドを担当。モバイルやIoT向けのサービスを開発。クラウドを通じて、モバイルやIoTに取り組む皆様をご支援します!

セッション3[13:25~14:25]

Googleスケールの機械学習テクノロジー

現在のディープラーニング技術の最大の課題はスケーラビリティです。1台のGPUサーバを使っている限り、学習結果が得られるまで数時間や数日待つ必要があります。プロダクションでの利用には分散学習の導入が不可欠です。Googleは過去数年に渡ってクラウド上での大規模なニューラルネットワーク学習のためのインフラを構築し、その成果を外部の開発者に提供し始めました。このセッションでは、Cloud Vision APIやSpeech APIなど、学習せずにすぐに使えるMLサービスを紹介します。また、TensorFlowやCloud Machine Learningなど、Googleの分散学習インフラにより10~40倍の高速学習を実現するサービスについて解説します。

佐藤 一憲様 講師:佐藤 一憲(Google Inc. デベロッパーアドボケイト)
【略歴】Google Cloud Platformチームのデベロッパーアドボケイトとして、TensorFlow、Vision API、BigQuery等のデータ分析および機械学習プロダクトの開発者支援チームのグローバルリードを担当。Strata+Hadoop World 2016 San Jose、Google Next 2015 NYCおよびTel Aviv、DevFest Berlin等の主要イベントでスピーカーを務める。Googleクラウドの開発者コミュニティを7年以上にわたり支援してきたほか、ハードウェアやIoTにも興味を持ちFPGA技術の勉強会を2013年より主宰している。

セッション4[14:35~15:35]

クラウドを活用したゲノム情報解析の現状

生命科学分野において、ゲノム情報解析は基礎/応用の両面において重要な要素である。近年のDNA塩基配列測定装置の技術革新により、低コストで大規模なゲノム情報を得ることが可能となった。多様な生命科学の分野において多くのデータが生み出されているが、その情報解析のための計算機環境には課題も多い。国内ではゲノム情報解析に特化した共用大型計算機の整備と運用が進められているが、計算機資源に対する需要は年々高まっている。特に米国をはじめとした諸外国では、既にクラウドを利用した効率のよい計算機環境の運用が進められており、国内でもクラウド活用の機運が高まっている。そこで本講演では、ゲノム情報解析分野におけるデータ解析の概要と、それに伴う計算機資源の課題、それを解決するためのクラウドを利用したアプローチについて紹介する。

大田 達郎様 講師:大田 達郎(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 ライフサイエンス統合データベースセンター 特任研究員)
【略歴】2007年、大学院在学中より現所属にてアシスタントとして研究開発に従事。2009年より同特任技術専門員、2015年より現職。大規模塩基配列情報のデータベース、データ解析技術の研究開発などに携わる。

セッション5[15:45~16:45]

ビッグデータ時代におけるアカデミッククラウドの課題と変革

日本初の試みおよび国内最大規模の学術クラウドとして、2011年11月より「北海道大学アカデミッククラウド」が稼働している。また、2014年4月より「ペタバイト級データサイエンス統合クラウドストレージシステム」も追加で稼働している。現在、両者のシステムをあわせて約2,000コアが常時使用されている状況にあり、ユーザおよび活用事例について紹介する。一方で、学術研究・教育やクラウドを取り巻く状況は急速に変わりつつあり、完全な普及期に入ったパブリッククラウド、さまざまな分野におけるビッグデータの蓄積や活用、昨今の研究不正に対応した改ざん防止や長期データ保存など、これらを考慮した「北海道大学ハイパフォーマンスインタークラウド」として発展させる計画である。現在のアカデミッククラウドの活用状況や課題を明らかにし、また次期のアーキテクチャについても紹介する。

杉木 章義様 講師:杉木 章義(北海道大学 情報基盤センター 准教授)
【略歴】2007年電気通信大学電気通信学研究科博士後期課程修了。博士(工学)取得。科学技術振興機構CREST研究員、筑波大学学術情報メディアセンター助教を経て、2015年より現在、北海道大学情報基盤センター准教授。OS/システムソフトウェア、並列分散処理、ミドルウェア、サーバの性能チューニング、クラウドコンピューティングに関する研究に従事。