イベント企画
クラウドソーシング/ヒューマンコンピュテーション
~デジタルプラクティスライブ~
9月20日(木) 9:30-12:00
第2イベント会場(C棟C31講義室)
【セッション概要】 情報処理学会では実践に重きを置いたIT技術者向け論文誌として「デジタルプラクティス」を発行している。その最近の特集テーマの中からホットなものを選んで、FITや情報処理学会全国大会の際に講演・討議の場を設けることで、そのテーマに関する知見の共有促進や議論の深耕につなげる「デジタルプラクティスライブ」を開催している。今回は10月発行予定の「クラウドソーシング/ヒューマンコンピュテーション」特集号と連動し、特集号のエディタと招待論文著者を中心に、このテーマの動向や最新事例に関する4件の講演をお願いした。
司会:福島 俊一(科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー)
【略歴】 1982年東京大学理学部物理学科卒業、NEC入社。以来、中央研究所にて自然言語処理・サーチエンジン等の研究開発・事業化および人工知能・ビッグデータ研究開発戦略を担当。工学博士。2005~2009年NEC中国研究院副院長。2011~2013年東京大学大学院情報理工学研究科客員教授(兼任)。2016年4月から科学技術振興機構研究開発戦略センターフェロー。2015~2017年人工知能学会理事、2018年~人工知能学会監事。1992年情報処理学会論文賞、1997年情報処理学会坂井記念特別賞、2003年オーム技術賞等を受賞。
9:30-9:40 挨拶 デジタルプラクティスについて
吉野 松樹((株)日立製作所 IoT・クラウドサービス事業部 シニアプロジェクトマネジャ)
【概要】 IT技術者向け論文誌「デジタルプラクティス」の紹介。
【略歴】 1982年東京大学理学部数学科卒業。同年、(株)日立製作所入社。1988年米国コロンビア大学大学院修士課程修了(コンピュータサイエンス専攻)。2011年大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了。博士(情報科学)。情報処理学会フェロー。IEEE、電気学会会員。2015年~情報処理学会デジタルプラクティス編集委員長。
9:40-10:10 講演(1) ヒューマンコンピュテーションとクラウドソーシング
鹿島 久嗣(京都大学 大学院情報学研究科 教授)
【概要】 インターネットを通じて不特定多数の人に仕事を依頼するクラウドソーシングは、これを支えるプラットフォームの出現によってその利用が拡大しています。依頼者にとっては必要に応じた労働力調達の手段として、働き手にとっては場所や時間にとらわれない新しい働き方として注目され、現在では労働力市場の一つの形として定着してきています。一方、人工知能研究においては、コンピュータには困難であるが人間には比較的容易な課題を、後者の助けを借りて実施するというアプローチとしてヒューマンコンピュテーションの考え方が提唱され、盛んに研究が行われています。ヒューマンコンピュテーションの実施プラットフォームとしてクラウドソーシングプラットフォームが利用され、その発展を支えています。本講演では、クラウドソーシングやヒューマンコンピュテーションの基本的な考え方を紹介するとともに、その様々な事例を紹介します。
【略歴】 1999年より日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所勤務。2007年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了。博士(情報学)。2009年より東京大学大学院情報理工学系研究科・准教授。2014年より京都大学大学院情報学研究科・教授。2016年より理化学研究所革新知能統合研究センター・チームリーダー(兼任)。
10:10-10:40 講演(2) 10年間のクラウドソーシング事業運営から見る働き方の変化
横井 聡(ランサーズ(株) 執行役員CTO)
【概要】 Lancersは、国産のクラウドソーシングプラットフォームとして2008年から運用されており、これまでに数十万のクライアント、100万人以上のワーカーを介した依頼件数190万件超、依頼総額2000億円超の利用実績がある。本セッションでは、汎用のクラウドソーシングプラットフォームの開発・運用にまつわる様々な試みと、10年間を通じて生まれてきた事業的課題や、社会的課題、今後の課題と取り組みについて述べる。
【略歴】 2010年早稲田大学商学部卒業。Webデザイナー、サーバサイドエンジニア、フロントエンドエンジニアとしての経験を経て、2014年シアトルコンサルティング株式会社にてWebサービス事業部長に就任。2016年6月にランサーズ株式会社にてCTO兼開発部長。ランサーズ社において、企画部長等も歴任し、2018年4月より開発執行役員を務める。
10:40-11:10 講演(3) ソーシャル創薬プロジェクト -人智(創薬知)と計算(IT創薬)の融合、創薬エコシステムの社会実装を目指して-
山本 一樹((株)シャルクス 代表取締役)
【概要】 新薬を生み出す営みである創薬を取り巻く現状は、製薬産業の構造的にも学術的にも今まさに激しく変化している。我々はソーシャル創薬と銘打って、クラウド(群衆)の智慧と資本を巻き込み創薬に活用する創薬エコシステムの社会実装を目指している。創薬スクリーニングの実務においては、計算による予測と人智に基づく創薬知をバランス良く駆使することが求められるが、それをクラウドソーシングし万人で創薬に取り組むことは可能であろうか? 本講演では、IT創薬の実務的背景の概説と共に、創薬に群衆の力を活用するための試み、実証実験について紹介する。
【略歴】 2009年東京大学医学部医学科卒業。2011年東京大学医学部附属病院初期臨床研修修了。2015年東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻修了、博士(医学)。プロテオミクス解析及び創薬スクリーニングに携わる。2015年より東京大学アイソトープ総合センター所属、現 特任助教(非常勤)。2017年4月、創薬エコシステムの社会実装を目指し株式会社シャルクス設立。
11:10-11:40 講演(4) クラウドソーシングを利用したアンケートデータ収集のノウハウと課題
白木 優馬(神戸学院大学 心理学部 実習助手)
【概要】 社会科学領域ではアンケートによるデータ収集が頻繁におこなわれている。しかし、その主な対象は大学生であり、得られた知見の一般化可能性に関する課題があった。近年、こうした課題を解消する方法の一つとしてクラウドソーシングを利用したデータ収集が着目されている。幅広いサンプルからの迅速なデータ収集を可能にするクラウドソーシングを利用してきた経験を踏まえ、そこで直面した課題およびそれらを解消するノウハウについて紹介する。
【略歴】 2018年名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程後期課程修了。博士(心理学)。2015年4月から2018年3月まで日本学術振興会特別研究員DC1、2018年4月から神戸学院大学心理学部実習助手、現在に至る。感謝の喚起が認知・行動に与える影響について、特に親切行為との関連から検討をおこなっている。
11:40-11:50 総合質疑