イベント企画
ビッグデータ時代の医療と情報
9月19日(水) 9:30-12:00
第2イベント会場(C棟C31講義室)
【セッション概要】 本シンポジウムでは、ビッグデータ時代の医療情報を体系的に把握し、健康と生体にかかわる情報とそのセキュリティに関する問題を議論いたします。参加者の皆さんと、近未来の適正な医療情報の利活用について、健康情報学、遠隔医療、e-Health / m-Health等を中心に、未来医療に期待される技術や制度についての理解を深めたいと思います。
9:30-9:35 司会
須川 賢洋(新潟大学 法学部 助教)
【略歴】 新潟大学大学院法学研究科修了。修士(法学)。専門は情報法政で、コンピュータ犯罪、デジタル知的財産、情報セキュリティ制度、デジタル・フォレンジックなど、先端技術と法律/政策の関係を中心に研究。共著に「ITセキュリティカフェ—見習いコンサルの事件簿」(丸善)、「実践的eディスカバリ—米国民事訴訟に備える」(NTT出版)、「デジタル・フォレンジック事典」(日科技連)など。NPOデジタル・フォレンジック研究会理事など。
9:35-9:55 講演(1) 医療データの利活用とデータ保護法(個人情報保護法、GDPR)上の課題
加藤 尚徳(株式会社KDDI総合研究所 アソシエイト)
【概要】 センシングデバイスの普及等、医療データ活用の必要性は益々高まってきている。一方で、国際的なデータ保護の潮流も大きく変化してきている。我が国では、2017年に改正個人情報保護法が施行され、要配慮個人情報と呼ばれる新たな定義が加えられた。また、欧州では、一般データ保護規則(General Data Protection Regulation、GDPR)が2018年5月に有効となった。GDPRのデータ保護に対する高い要求水準は、世界的なデータ利用環境に一石を投じており、今後の影響は計り知れない。他方で、個人情報2000個問題等、利活用に向けた旧来の課題も残っている。本講演では、医療データを利活用における昨今の法制度の要請について概観すると共に、近時のデータ利活用における注意点についても整理、検討を行う。
【略歴】 (株)KDDI総合研究所 フューチャーデザイン1部門3グループ アソシエイト。1986年生まれ。(株)KDDI総研を経て、2016年より現職。専門は「情報法」。情報法制(プライバシー・個人情報・知財等)を中心とした法制度や技術の調査・研究・コンサル業務に従事。また、大学の非常勤講師として、情報法、知的財産法、情報セキュリティに関する講義を担当。神奈川大学経営学部および神奈川工科大学情報学部非常勤講師、慶應義塾大学SFC研究所上席所員。新潟大学法学部卒業、総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻単位取得満期退学、修士(情報学)。
9:55-10:15 講演(2) 法制度・政策面から見た医療ビッグデータ
須川 賢洋(新潟大学 法学部 助教)
【概要】 医療・生体情報や医療ビッグデータに関して、法律や制度といった社会科学の側面から検討する。この5月に施行された次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律)や個人情報保護法、プライバシーといった側面からだけでなく、広義の知的財産としての医療・生体情報の価値的側面や、様々な医療システムや医療ビッグデータ収集システム構築時におけるセキュリティや記録保全に関するガイドラインなどについても検討する。また、Ai(Autopsy imaging)などのように既存の法医学領域がデジタル化された際には、どのような留意点が出てくるのかについても考察したい。
【略歴】 新潟大学大学院法学研究科修了。修士(法学)。専門は情報法政で、コンピュータ犯罪、デジタル知的財産、情報セキュリティ制度、デジタル・フォレンジックなど、先端技術と法律/政策の関係を中心に研究。共著に「ITセキュリティカフェ—見習いコンサルの事件簿」(丸善)、「実践的eディスカバリ—米国民事訴訟に備える」(NTT出版)、「デジタル・フォレンジック事典」(日科技連)など。NPOデジタル・フォレンジック研究会理事など。
10:15-10:35 講演(3) 医療データのガバナンスについて
原田 要之助(情報セキュリティ大学院大学 教授)
【概要】 医療データ(診断、処置、投薬)はさまざまな機関で収集されて、個人の医療に使われています。現在は、異なる機関で個別に収集され、使われています。このデータは将来的に共有され、活用されることが求められています。今後、複数の機関で情報が活用されるようになることが求められています。医療機関が独自に管理するときには、機関の責任で進める事になりますが、広く活用されるようになると、責任の境界や権限の委譲、データを提供する際の制限(個人情報保護法やGDPRが要求するOpt inなど)を考慮する必要があります。これを全体として、ガバナンスできれば、利用者の不安も少なくなり、データの共有や活用が高まると考えられます。現状の問題の整理とこのような全体をガバナンスする仕組みなどについて標準化などの動向を紹介いたします。
【略歴】 1979年京都大学大学院工学部数理工学専攻修了。電信電話公社(現NTT)研究所で通信ネットワークの監視、制御システム、通信ネットワークのセキュリティアーキテクチャの研究等に従事。1999年より情報通信総合研究所にてコンサルやセキュリティ監査に従事。OPCWの情報セキュリティ監査にも従事し、2000年から2008年までチームリーダを務める。2010年4月情報セキュリティ大学院大学教授に就任。セキュリティマネジメント学会会長、情報処理学会電子化知的財産社会基盤研究会幹事、システム監査学会理事、電子情報通信学会、経営情報学会、IEEE Computer Society等所属。元ISACA国際本部副会長。日本セキュリティ監査協会資格認定委員長。日本ITガバナンス協会理事、iMISCA理事 ISO/IEC SC40/WG1の国内委員会主査及びISO/IEC38503のEditor、ISO/IEC SC27/WG1の国内委員会委員及びISO/IEC27021のCo-editor。 中央大学大学院非常勤講師、サイバー大学非常勤講師、フェリス女学院大学非常勤講師。 2013年ISC2より、Senior Information Security Professional Categoryで表彰。
10:35-10:55 講演(4) MPEG Genomic Information Representation に見るICT国際標準化の医療分野へとの協調
金子 格(東京工芸大学 工学部コンピュータ応用学科 准教授)
【概要】 現在の情報処理産業は多くの情報技術標準に支えられている。一方で医療においても映像、画像をはじめとする様々な情報技術標準が使われているが、標準化において必ずしも医療用とは主たる応用としては考えられていない。MPEG Genomic Information Representation は遺伝子工学分野とMPEG標準化の始めての共同標準化作業であり現在CD (委員会標準)のレビューが始まっている。この例をみながら、医療分野の情報技術と標準化の関係について議論する。
【略歴】 1980年早稲田大学卒。2004年博士(情報科学)。(株)アスキーにてパソコンシステムソフトウエア、システムLSI、ASIC、ゲーム機ソフトウエアの開発に従事。その後グラフィックスコミュニケーションラボラトリーズでMPEG標準化の策定等に従事。SC 29/WG11 オーディオ小委員会幹事、SC29/WG11システム小委員会主査等を歴任。2004年より東京工芸大学准教授。
10:55-11:15 講演(5) バイオメディカル・ビッグデータ分析を用いたEOL/QODの検討
湯田 恵美(名古屋市立大学 大学院医学研究科 医学・医療教育学分野 研究員)
【概要】 個人の長寿化と社会の高齢化は、新たな価値観の創造と社会システムの構築を要求する。近時、QOL(Quality of Life)に加えて、ヒトはどのように死の過程を経るのかーQOD(Quality of Death)が加わり、一生の最後(End of Life)を対象とした研究が様々な領域を網羅している。ビッグデータ分析に基づいた定量的な評価は、新しい知見を示唆し、ヒトの意思決定に影響し、人間により良い選択・判断をもたらすことが期待されている。情報学とデータサイエンスの視点から、バイオメディカル・ビッグデータを有効活用するための最新の研究を紹介する。
【略歴】 筑波大学大学院博士前期課程修了。2013年 サンタモニカ大学コンピュータサイエンス専攻 リサーチアシスタント、2015年 名古屋市立大学大学院医学研究科 NEDOプロジェクト研究員。2018年 情報処理学会 EIP研究会幹事、ISO/SC29専門委員会 委員、IEEE GCCE 2018 OS-IHP(Informatics of Healthcare & Health Promotion) Chair、IEEE Life Tech 2019 Treasure兼Vice-TPC Chair. 医療情報学、生体信号処理に関する研究に従事。
11:15-12:00 パネル討論
司会:湯田 恵美(名古屋市立大学 大学院医学研究科 医学・医療教育学分野 研究員)
【略歴】 筑波大学大学院博士前期課程修了。2013年 サンタモニカ大学コンピュータサイエンス専攻 リサーチアシスタント、2015年 名古屋市立大学大学院医学研究科 NEDOプロジェクト研究員。2018年 情報処理学会 EIP研究会幹事、ISO/SC29専門委員会 委員、IEEE GCCE 2018 OS-IHP(Informatics of Healthcare & Health Promotion) Chair、IEEE Life Tech 2019 Treasure兼Vice-TPC Chair. 医療情報学、生体信号処理に関する研究に従事。
パネリスト:加藤 尚徳(株式会社KDDI総合研究所 アソシエイト)
【略歴】 (株)KDDI総合研究所 フューチャーデザイン1部門3グループ アソシエイト。1986年生まれ。(株)KDDI総研を経て、2016年より現職。専門は「情報法」。情報法制(プライバシー・個人情報・知財等)を中心とした法制度や技術の調査・研究・コンサル業務に従事。また、大学の非常勤講師として、情報法、知的財産法、情報セキュリティに関する講義を担当。神奈川大学経営学部および神奈川工科大学情報学部非常勤講師、慶應義塾大学SFC研究所上席所員。新潟大学法学部卒業、総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻単位取得満期退学、修士(情報学)。
パネリスト:須川 賢洋(新潟大学 法学部 助教)
【略歴】 新潟大学大学院法学研究科修了。修士(法学)。専門は情報法政で、コンピュータ犯罪、デジタル知的財産、情報セキュリティ制度、デジタル・フォレンジックなど、先端技術と法律/政策の関係を中心に研究。共著に「ITセキュリティカフェ—見習いコンサルの事件簿」(丸善)、「実践的eディスカバリ—米国民事訴訟に備える」(NTT出版)、「デジタル・フォレンジック事典」(日科技連)など。NPOデジタル・フォレンジック研究会理事など。
パネリスト:原田 要之助(情報セキュリティ大学院大学 教授)
【略歴】 1979年京都大学大学院工学部数理工学専攻修了。電信電話公社(現NTT)研究所で通信ネットワークの監視、制御システム、通信ネットワークのセキュリティアーキテクチャの研究等に従事。1999年より情報通信総合研究所にてコンサルやセキュリティ監査に従事。OPCWの情報セキュリティ監査にも従事し、2000年から2008年までチームリーダを務める。2010年4月情報セキュリティ大学院大学教授に就任。 セキュリティマネジメント学会会長、情報処理学会電子化知的財産社会基盤研究会幹事、システム監査学会理事、電子情報通信学会、経営情報学会、IEEE Computer Society等所属。元ISACA国際本部副会長。日本セキュリティ監査協会資格認定委員長。日本ITガバナンス協会理事、iMISCA理事 ISO/IEC SC40/WG1の国内委員会主査及びISO/IEC38503のEditor、ISO/IEC SC27/WG1の国内委員会委員及びISO/IEC27021のCo-editor。 中央大学大学院非常勤講師、サイバー大学非常勤講師、フェリス女学院大学非常勤講師。 2013年ISC2より、Senior Information Security Professional Categoryで表彰。
パネリスト:金子 格(東京工芸大学 工学部コンピュータ応用学科 准教授)
【略歴】 1980年早稲田大学卒。2004年博士(情報科学)。(株)アスキーにてパソコンシステムソフトウエア、システムLSI、ASIC、ゲーム機ソフトウエアの開発に従事。その後グラフィックスコミュニケーションラボラトリーズでMPEG標準化の策定等に従事。SC 29/WG11 オーディオ小委員会幹事、SC29/WG11システム小委員会主査等を歴任。2004年より東京工芸大学准教授。