抄録
K-030
色覚異常者支援のためのAR技術を利用した物体色識別補助システムの試作
近藤祐矢・新谷虎松・大囿忠親(名工大)
日本国内に300万人いると言われる色覚異常者は、実生活において色による識別が困難な物体が多くあり、不便をきたしている。特に程度が重い2色型色覚者は、赤と緑の色が識別できない場合があるため、同一物体でも赤と緑の二種類が存在する際にはそれを差別化することが困難である。
この問題を解決するために、対象とする物体に応じて物体間の識別が可能となるような色相に画面を変更するアプリケーションを作成した。
変更する色相の値は、色覚健常者に用意してもらった2種類のサンプルを元に、色覚異常者であるユーザ自身が調整する。この値を記憶し、システムの実行時に認識した物体に応じて画面上のカラーバランスを調節する。ユーザ自身が、自分にとって見やすい色相を選択できるため、色覚異常の程度によらずに使用することが可能である。
これにより色覚異常者が色覚健常者の補助を必要とせずに、物体の色による識別が可能となるようなシステムの実現を目指す。